北朝鮮による5回目の核実験強行で、北朝鮮の核ミサイルが、日本国民にとり深刻な脅威となろうとしている。日本政府も、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載するための核弾頭小型化を実現した可能性があると分析している。もし北の核ミサイルが弾道ミサイル防衛網を突破し、日本が広島、長崎に続く核の惨禍に見舞われたらどうなるのか。専守防衛の制約の下で自衛隊が取り得る対抗手段は極めて限定されているのが現状だ。
「今までとは異なるレベルの脅威ということで認識が一致した」
安倍晋三首相は9日、オバマ米大統領との電話会談後、首相官邸で記者団にこう語った。これは、核攻撃の脅威にさらされることに他ならない。
北朝鮮が日本に核攻撃すれば、自衛隊には防衛出動が発令されそうだが問題はその先だ。たとえば、北朝鮮を支配する金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の居場所を突き止めて自衛隊が反撃することは憲法上認められていない。「海外での武力行使」を禁ずる憲法9条の下で、自衛隊は報復攻撃できないという解釈のためだ。
ミサイルを迎撃して相手の攻撃を失敗させる「拒否的抑止」だけでは、抑止力としては十分ではない。
それでも、憲法上許される北朝鮮領内への攻撃はミサイル基地などに限定されている。
日本への第2撃、第3撃の核攻撃を防ぐために敵のミサイル発射台、発射車両をたたくことは望ましい。また、日本に敵基地攻撃能力があれば北朝鮮は日本が方針転換して、北の政権中枢を攻撃してくる可能性まで想定せざるを得ない。
日本を攻撃すればそれ以上の報復を受けるかもしれない。こう思わせて攻撃を抑止する。この「懲罰的抑止」の態勢が、平和の維持には本来欠かせない。
しかし、専守防衛一辺倒の日本は、自衛隊に、初歩的な「懲罰的抑止」につながる敵基地攻撃能力さえ政策的に認めていない。北朝鮮領内を攻撃できる戦闘機や長射程の弾道・巡航ミサイルは一切ない。
政府は平成25年12月決定の防衛計画大綱に、敵基地攻撃能力保有の検討を盛り込んだが議論は進んでいない。反撃は、米軍頼みだ。
「(核攻撃されても)米国に反撃してもらうしかない…」
北朝鮮核実験の対応に奔走した政府高官は9日夜、こうつぶやいた。
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■真価問われる米「核の傘」 北へ反撃・外交に限界
「米国が持つすべての能力を使ってわが国、そして日本を守る用意がある」
9日に稲田朋美防衛相と防衛省で会談したラッセル米国務次官補は、ゆっくりとした口調で確かめるように語った。
オバマ米大統領のアジア歴訪に同行していたラッセル氏は給油のため立ち寄った米軍横田基地(東京都福生市)でオバマ氏と別行動を取り、稲田氏とケネディ駐日米大使の会談に急遽(きゅうきょ)参加した。
同じ日の日米電話首脳会談ではオバマ氏も「(核の傘を含む)拡大抑止を含め、米国の日本の安全保障に対するコミットメントは揺るぎない」と強調した。
同盟国への攻撃を自国への攻撃とみなして大規模に反撃するのが「拡大抑止」だ。核攻撃があれば核兵器で報復するのが「核の傘」で、拡大抑止の柱となる。
9日の米政府挙げての働きかけは、拡大抑止を再確認することで、北朝鮮に日本防衛の意志を示し、同時に日本の動揺を鎮める狙いがあったとみられる。
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北朝鮮が米領グアムなどに核攻撃する能力を持てば米国が自国民を犠牲にするリスクを冒して核報復するとはかぎらない。米本土への核攻撃能力を持てばなおさら懸念が募る。北朝鮮の核・ミサイル能力が向上するほど、米国と同盟国の間では核の傘の信頼性が低下しかねない。
核攻撃ではないが、2010年11月に発生した、北朝鮮による韓国・延坪島(ヨンピョンド)砲撃でも米軍は報復攻撃をしなかった。23人の死傷者を出したにもかかわらず、韓国軍を含む戦時作戦統制権を握る米軍は報復攻撃をせず、米政府は非難声明を出す対応にとどめた。
もちろん、核攻撃と延坪島砲撃とでは被害の大きさも、国際社会に与える影響も比較にならない。
日本が三度(みたび)核の惨禍に見舞われることは決してあってはならない。北朝鮮の無法がまかり通る事態も許されない。核の傘の真価が問われるのはこれからだ。
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核弾頭を搭載していなくても、北朝鮮の弾道ミサイルが日本の領土・領海に着弾して犠牲者が生じる可能性も否定できない。
北朝鮮は先月3日と今月5日、日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイルを着弾させた。付近は日本の漁船が操業する海域だった。万一直撃して死傷者が出ればどうなるか。
信じがたいことだが、北朝鮮による「組織的、計画的な武力行使」として武力攻撃事態とするハードルは高いとされる。
「損害賠償の請求」「関係者の厳正な処分の要求」「国連安全保障理事会決議に基づく経済制裁や日本独自の制裁」…。
複数の政府関係者によると、日本政府が取り得る措置は外交手段によるものが中心となるという。自衛隊が北朝鮮の領域へ反撃できないことからくる限界だ。自衛隊にできることは「警戒・監視の強化」の名目で艦艇や航空機を北朝鮮近海へ展開したり、米軍との合同演習で北朝鮮を牽制(けんせい)する行動だという。
問題は、これで北朝鮮の脅威を抑止できるかどうかだ。北朝鮮が「意図的に日本のEEZを狙った」(防衛省筋)とされるミサイル発射は、日本の足元を見透かした敵対行為だった恐れもある。
北朝鮮が日本を核攻撃する理由は特にはないと思うが、敢えて言えば米軍基地を狙ってその被害を被ると言うパタンだろうか。でも北のバカ大将も核を使えば、通常弾頭のミサイルであれ、撃てば国がなくなることは百も承知だろう。外圧で国が崩壊の危機に瀕すればやけくそで撃ちまくるかもしれないが、・・。しかし、危ない国ではあるが、日本もなんともややこしい国になってしまったものだ。「何とかは元から絶たなきゃダメ」とか言うCMがあったが、脅威というものは基本的に元から絶たなければいけない。急迫不正な侵害を行う国に対して自衛のために武力を行使できないと言う国はやはりどこかおかしい。
Posted at 2016/09/11 09:13:45 | |
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