平成31年度の沖縄振興予算をめぐり、政府と玉城(たまき)デニー沖縄県知事(59)の間で神経戦が繰り広げられている。翁長雄志(おなが・たけし)前知事時代から減額傾向が続く中、物腰柔らかに増額を要求する玉城氏に対し、政府は「アメとムチ」ともいえる対応で臨む。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾=ぎのわん=市)の名護市辺野古移設が火種としてくすぶる中、予算編成が終わる年末に、水面下の攻防はどう決着するのか。
■増額の言質与えず
玉城氏は就任から8日後の10月12日、首相官邸で、知事として安倍晋三首相(64)と初めて面会した。9月の知事選で辺野古移設阻止を掲げて当選しただけに冒頭の発言が注目されたが、面会は玉城氏の意外な言葉から始まった。
「沖縄振興予算に内閣府の要求以上の増額をお願いしたい」
実は、玉城氏は直前の9日、県庁で宮腰光寛沖縄北方担当相(67)と会談した際、振興予算の確保を要望していた。知事選で訴えた「補助金頼みの県政からの脱却」を翻した上、安倍首相に対しては要求のトーンを強めたといえる。
玉城氏は首相との面会で、肝心の辺野古移設について「今回の選挙で『新基地建設は認められない』という民意が改めて示された。基地建設に反対する」と原則論を述べながら、記者団を前に政府批判は控えた。対立ではなく対話重視の姿勢を打ち出した。
首相は「今後も沖縄の振興に力を入れていきたい」「沖縄の発展のために知事としっかり協力していきたい」と応じたが、同席した菅義偉(すが・よしひで)官房長官(69)を含め、玉城氏の増額要求に
対する言質は与えなかった。
玉城氏の融和モードの裏には、予算編成の本格化を前に、辺野古移設をめぐって政府と対立するのは県政運営上、得策ではないとの打算が透ける。首相に面会する本当の目的は振興予算の増額要望だったのでは、と邪推したくなるほどだ。
玉城氏が面会で低姿勢を貫いた背景には、33年度までの10年間で達成すべき施策を盛り込んだ沖縄振興計画がある。施策の遂行に予算は不可欠だが、翁長県政時代の振興費は当初予算ベースで、27年度3340億円(前年度比162億円減)▽28年度3350億円(同10億円増)▽29年度3150億円(同200億円減)▽30年度3010億円(同140億円減)-と減額傾向にあった。
振興予算のうち、県が自主的な選択に基づいて事業を実施でき、県内自治体からの要請も強いとされる「一括交付金」は30年度予算で1188億円(前年度比171億円減)だった。過去5年で最も多額だった26年度の1759億円と比べ、3割以上減っている。内閣府は31年度予算の概算要求で、沖縄振興予算を3190億円としているが、玉城氏の増額要求は通るのか。
政府高官は「33年度までは3千億円台を維持する」と話す。これは安倍首相が25年12月24日の閣議で「沖縄振興計画期間内、つまり平成33年度まで毎年3千億円台を確保する」と述べたことを踏襲しているが、裏返せば34年度以降は「白紙」という見方もできる。
■アメとムチ
政府内で玉城氏と直接向き合うのは宮腰沖北相だ。琉球泡盛を愛飲し、離島振興をライフワークとするだけに、入閣後は「沖縄振興に必要な予算を確保したい」「クルーズ船を活用した琉球泡盛の輸出促進に努める」などと前向きな姿勢を示している。
玉城氏も10月12日の首相面会に先立ち、宮腰氏に個別に会った際は「(宮腰氏には)島をいっぱい回っていただいている。もう泡盛通だ」と軽口をたたき、和やかなムードを演出した。
ただ宮腰氏の後ろには、沖縄基地負担軽減担当相も務める菅氏が控え、にらみをきかせている。
政府は、辺野古移設をめぐる県の対応と振興予算の算定との関連性を否定するが、「辺野古移設阻止」を掲げる玉城県政に厳しい視線が注がれるのは必至だ。
永田町関係者は「沖縄県にとって宮腰氏と菅氏は、まさにアメとムチのような存在だ。玉城氏は34年度からの次期沖縄振興計画を策定する立場にあり、今後を見据えて首相に振興予算の話をしたのだろう」との見方を示す。(政治部 清宮真一)
国の補助金は当てにしないと言ってもやはり地方自治体は国の財部が気になるんだろう。しかし、国の方針に真っ向から異を唱えながら金は増やしてくれと言うのもずい分と都合のいい話ではある。そう言えば翁長前知事も金の話になると満面笑みを浮かべて対応していたなあ、・・(^。^)y-.。o○。
Posted at 2018/11/02 15:20:11 | |
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