「患者にわいせつ」男性医師に無罪判決
「私は100日以上、警察あるいは拘置所で身体拘束をされて社会的信用を失い、職を失い、大変な思いをしました。悪意あるネット上の書き込みについても、私あるいは私の家族、私の周りの方が大きく傷つきました」
たんたんと悲痛な思いを語った43歳の男性医師。
男性は、2016年5月、担当していた手術の後で、全身麻酔から目覚めかけていた30代の女性患者に対し、「傷口を見ます」と診察を装って左胸をなめるなどした準強制わいせつの罪に問われていた。
20日、東京地裁で男性に下された判決は「無罪」だった。
女性の胸の唾液DNA一致 弁護側は「女性の幻覚」と主張
警視庁は当時、女性の胸から検出された唾液が、男性医師のDNAと一致したことなどから、男性医師の犯行と判断。
一方、弁護側は「女性が麻酔から覚めるときに生じる幻覚に陥っていた」などとして無罪を主張していた。
裁判の争点は2つ。
ひとつは、女性の証言の信用性。
そしてもうひとつは、胸に付着していた唾液の鑑定の信用性が争われていた。
“女性の証言にせん妄の影響の可能性”
2月20日の判決では…
「女性は、麻酔覚醒時のせん妄の影響を受けていた可能性があることなどからすれば、その証言の信用性には疑問をさしはさむことができる」(判決文)として、証言の信用性については、せん妄の影響を指摘した。
「せん妄」とは、注意力や思考力の低下を伴う意識障害のこと。幻覚が生じることもあるという。
裁判後の会見で、男性医師側の弁護士は「麻酔が覚める過程で患者さんがせん妄状態になる。これを術後せん妄と言うが、性的幻覚が生じる可能性が高く、本件はまさにそういう症例である。海外では100年以上前から症例として医学ジャーナルに報告されている。今回の判決は、私たちの主張がほぼ全面的に入れられた」と語った。
唾液鑑定の信用性にも裁判所が疑問
さらに、唾液鑑定の信用性についても、裁判所は疑問を提起した。
判決文は、「会話による飛沫や、触診の汗によってもたらされた可能性を排斥できない」としている。
男性医師側の弁護士も唾液鑑定についてこう主張した。
「手術の前に助手をつとめられた外科医の先生とご本人が、胸をはだけた患者を挟んで、手術の前のディスカッションをした。その時に唾液の飛沫が飛んで、その唾液の中に口腔内細胞が含まれるので、それが付着した可能性がかなり高いという主張をしている。
それを裏付けるために実験をした。その実験の結果からも、触診やそうしたディスカッションによる唾液の飛沫が胸にかかって、そこからDNA型が検出された可能性が極めて高い」
無罪となった医師「正直ほっとしている」
初公判から「外科医のプライドにかけてわいせつ行為などありません」と、涙ながらに無罪を主張していた男性医師。
無罪判決に「今正直なところは、ほっとしている、あるいは少し肩の荷が下りたという気持ちでいます」と語った。
さらに記者から、今後気をつけたいことを問われ「女性と2人にならないこと」と答えた。
また、男性医師を支援していた東京保険医協会は、ごく日常的な手術後の処置をめぐる今回の判決の意義を評価し、こう語った。
「患者さんの診療なりもしくは手術をした後にこんなことに巻き込まれるかもしれない医療者がたくさんいる、いつ警察に逮捕されるかもしれないということになると、それで医療やってられますか」
女性患者「うそではない せん妄状態ではなかった」
判決を聞いた被害者の女性は涙ながらに次のように語ったという。
「びっくりした、うそではない。せん妄状態ではなかった。気持ち悪いけど舐められた部分をそのままにして鑑定してもらった。判決は何だったんだ。また医師が性犯罪する。また被害者が出る。あの人は何回もやる。許してはいけない」
この事件、状況的にはちょっとあり得ないと思う。手術の直後、病室でそんなことをするのは異常者だろう。ただ、警察、検察は被害者の供述が具体的かつ客観的で信ぴょう性が高いことと患者の胸から被告のDNAが検出されたことで起訴に踏み切ったんだろう。刑事裁判は捜査側において被告が犯罪を行ったことを100%立証する責任があり、それに疑義を挟む余地が残れば無罪となるので無罪と無実はその意味するところが違うが、この事件に関しては被害者のせん妄状態がその疑義に該当してしまったこととDNA鑑定の方法にも疑義が生じてしまったのが捜査側にとって致命的だったんだろう。しかし、医者も大変ではある。似たようなことをして捕まる医者も多いが、今後は何らかの予防手段を検討すべきだろう、・・(^。^)y-.。o○。
Posted at 2019/02/21 12:46:43 | |
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