2020年のスーパーGTシリーズ最終戦。今年のGT500クラスはホンダ、トヨタ、日産の実力が拮抗し、ランキング上位5台は優勝すれば無条件で年間王者決定となる状況のなか、富士スピードウェイで決戦を迎えた。
◆トヨタが意地の逆転劇「スープラ」の名を汚すわけにはいかない
チャンピオン獲得の可能性が高い上位5台のポイント差は、わずか「3」。そのため、予選からさっそく篩(ふるい)がかけられた。まず予選では、ランキング1位のKEIHIN NSX-GT(ナンバー17/塚越広大/ベルトラン・バケット)と5位のARTA NSX-GT(ナンバー8/野尻智紀/福住仁嶺)がQ1で敗退し、王者争いから一歩後退。ポールポジションはランキング2位の平川亮が駆るKeePer TOM'S GR Supra(ナンバー37)が獲得した。
そして決勝戦。6番グリッドからスタートした3位のMOTUL AUTECH GT-R(ナンバー23/松田次生/ロニー・クインタレッリ)が1周目で攻め、一気にトップへと浮上。ただ、序盤はレースをリードするも、徐々に順位を下げていった。そんななか、序盤から順調な走りを見せたのが、37号車(平川亮/山下健太)のトヨタGRスープラだった。レース後半に差しかかった40周目の段階で後続に対して16秒ものリードを築き、シリーズチャンピオンまであと一歩と迫った。しかし、それに待ったをかけたのが、ランキング4位のRAYBRIG NSX-GT(ナンバー100/山本尚貴/牧野任祐)だ。
7番グリッドからスタートした100号車は、前半を担当した牧野が2番手までポジションアップさせると、後半の山本は2番手争いを繰り広げながらタイヤと燃費を温存。レース終盤に一気にスパートをかけて逆転する、という作戦に出た。残り20周あたりから、100号車は追い上げを開始。1周1秒近いペースで37号車に接近し、残り5周を切ったところで、トップとの差を3秒にまで縮めた。
もちろん、37号車の平川も100号車の接近には気づいており、意地の走りを披露。そのまま最終ラップに突入し、37号車が先頭で最終コーナーを立ち上がった。その瞬間、37号車にまさかの展開が待ち受ける。突如マシンが失速し、ゴールまでわずか500メートル足らずというところでガス欠となってしまったのだ。100号車はその横をすり抜け、トップでチェッカーフラッグ。最後の最後で奇跡の大逆転となり、年間チャンピオンの座を獲得した。
勝利を確信していた37号車陣営は、全員がまさに茫然自失。ニック・キャシディの代役を務めた山下は、目の前で起きたことが理解できないような目で、ずっとモニターを見つめていた。そして、ゴール直前で年間王者の座が手からこぼれ落ちた平川は、メインストレート脇にマシンを止め、ひたすら悔し涙を流した。
「正直、燃料のことはあまり心配していなかったので、残り10周でスパートをかけました。あのギャップのままでゴールできたはずだったんですが......そうなりませんでした。私も長い間レースをやっていますけど......『レースってこんなものだよ』とは今の段階では済ませられないです。ちょっと、なんと言っていいか......言葉にするのが難しいです」(37号車・山田淳監督)
その一方で100号車のピットは、誰もが予想していなかった結末によって歓喜に包まれた。実は、チームのメインスポンサーを長年務めてきたレイブリックが来年3月でブランドを終了することがレースウィーク前に発表されていた。それに伴い、多くのスーパーGTファンに親しまれてきたレイブリックカラーのマシンがレースをするのも、これが最後だった。ラストランという花道を飾るにふさわしすぎる結末となり、サーキットは大きな感動に包まれた。
自身初のGT500優勝となった牧野は、人目をはばからず号泣した。
「(山本)尚貴さんに交代した時も、37号車とは15秒くらい差がありました。後半、僕は見守ることしかできなかったんですけど......正直想像していなかった結末だったので、チェッカーが出た時は自分がどういう感情なのかよく分からない状態でした。チャンピオンを獲れて本当によかった」(牧野)
チェッカーフラッグを切った山本は、コックピットの中で何度もガッツポーズを繰り返した。
「最後まであきらめなくて本当によかったです。(後半スティントでは)タイヤや燃費をセーブして、チームと無線で随時報告し合いながら、ペースアップするタイミングを常に図っていました。僕はGTに参戦して11年目ですが、今日ほど自分が思い描いたとおりの展開になって、これまでの経験がすべて活きたレースはありません」(山本)
新型コロナウイルスの影響で開催サーキットを大幅に変更し、万全の感染防止対策を施して7月に開幕した2020シーズン。今年はGT500クラスに参戦する3メーカーすべてが新型マシンを導入し、デビューイヤーチャンピオンの座をかけて熱いバトルが繰り広げられてきた。その結果、全8戦で決勝レース合計2400キロの距離を走り、最後はわずか500メートルたらずで年間王者が決まるという歴史的な大激戦となった。"勝利の喜び"と"敗北の悔しさ"は紙一重であることを、あらためて痛感させられた2020シーズンだった。(吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro)
トヨタってこういう負け方が多いな。ルマンでも4回くらいあっただろう。あと1時間とかあと30分とかあと2分とか、・・。ガス欠でゴール手前で負けると言うのは悔しいが、ピットインして給油していれば負けたかもしれないし、勝負をかけたんだから仕方がないだろう。トヨタとしてはGRスープラのデビューシリーズだから何とか総合優勝を狙ったんだろうけど勝負は一寸先は闇だからな。まあまた来年、‥(^。^)y-.。o○。
Posted at 2020/12/03 12:37:35 | |
トラックバック(0) |
自動車 | 日記