■昔に比べてスポーツカーの価格が上昇しすぎ?
スポーツカーが売れないのはいまに始まった話ではありませんが、以前と比べると売れ行きはかなり下がっています。2020年1月から11月における1か月平均の登録台数は、ホンダ「NSX」が約1台、日産「フェアレディZ」が約35台、日産「GT-R」が約60台、トヨタ「スープラ」が約230台、トヨタ「86」が約330台、マツダ「ロードスター」が約340台という具合です。
2020年に人気だった小型/普通車を見ると、1か月平均でトヨタ「ヤリス」が約9700台(ヤリスクロスを除く)、ホンダ「フィット」が約8300台、トヨタ「アルファード」が7500台という具合ですから、スポーツカーは全般的に売れていません。過去を振り返ると、1990年には初代ロードスターが1か月平均で約2100台、3代目スープラも1000台以上を販売。30年前と比べると、現在のスポーツカーの売れ行きは20%程度まで落ち込んでいるのです。
スポーツカーが売れ行きを下げた背景には、いろいろな理由があります。トヨタの販売店では次のようにいいます。
「スポーツカーが注目されたのは、1980年代から1990年代でしょう。その後は人気が下がり、価格は高くなりました。現行のスープラは人気の『RZ』になると700万円を超えます。86でも300万円以上です。今はSUVに人気が集まっていることもあり、スポーツカーを購入するユーザーは減りました」
スープラが好調に売れた1990年頃は、2リッター直列4気筒のGTツインターボが270万円前後。いまの86に相当するトヨタ「セリカGT-R」は200万円弱です。
30年前のスポーツカーは、現代に比べると走行安定性が低く、安全装備も貧弱だったため、いまよりも買い得だったとはいえませんが、価格自体は安かったので購入しやすかったことは確かです。ボディサイズも異なります。1986年に2代目スープラが発売されたときの大きさは、全長4620mm、全幅1690mmの5ナンバー車でした。現行モデルのスープラは、2人乗りなので全長は4380mmに収まりますが、全幅は1865mmとワイドです。走行性能は大幅に向上しましたが、2人乗りになったことで使い勝手が下がり、価格の上昇もあってユーザーとしては購入しにくいといわざるをえません。また、スポーツカーの変化によって売れ行きが下がったことで、車種数も減りました。トヨタ「セリカ」や日産「シルビア」などは、すべて廃止されています。残されたのは、価格が上昇したスープラや1000万円を超えるGT-Rなど。ボディの拡大や価格の上昇によってスポーツカーの人気が下がり、車種数が減ってさらに売れなくなる悪循環に陥っているのです。
■スポーツカー低迷はSUVの台頭が影響?
その一方で、スポーツカーが低迷する要因として、販売店が指摘したSUVの流行もあります。SUVは、厚みのあるフロントマスクや大径タイヤなどによって外観がカッコイイです。しかもボディの上側は背の高いワゴンスタイルなので、前後席ともに居住性も優れ、荷室は広くて使いやすいです。荷室に3列目のシートを装着した車種もあります。このようにSUVは、スポーツカーと同様にカッコ良くて存在感もあり、なおかつ居住空間や荷室も広いためにファミリーカーとして使いやすいことから、昨今では主流のカテゴリとして人気を得ました。SUVはスポーツカーに比べて重心が高いことから機敏な運転感覚は得られませんが、技術も向上して走行性能は十分に満足でき、乗り心地も快適。その結果、SUVが売れ行きを伸ばして、スポーツカーは一層減ったというわけです。SUVが増え始めたのは、トヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」の初代モデルが登場した1990年代の後半以降です。ちょうどスポーツカーが減少傾向に転じた時期と重なり、ユーザーのニーズもこの時期にスポーツカーからSUVへ移りました。
純粋なスポーツカーは、ボディサイズの拡大や価格の上昇によって売れ行きを下げましたが、スポーツ指向でありながら手堅く売れる車種もあります。その代表がスズキ「スイフトスポーツ」です。2020年には1か月平均で約1000台が登録され、「スイフト」のノーマルエンジン車に迫る売れ行きでした。スイフトスポーツは、スイフトのスポーティグレードともいえますが、エンジンは専用にセッティングされた1.4リッター直列4気筒ターボを搭載。サスペンションも刷新され、外観にはエアロパーツを装着し、スイフトとは独立したスポーティカーともいえるでしょう。しかもベースが価格の安いコンパクトカーのスイフトなので、スイフトスポーツも2ドアのスポーツカーに比べると割安。6速MT仕様が201万7400円と、200万円前後に収まる価格も大きな魅力です。
日本の平均所得は、1990年代後半から下がっており、いまでも2000年の水準に戻っていません。しかしクルマの価格は、安全装備の充実などによって上昇しているため、予算が同じであれば購入可能は小型のモデルとなり、実用性の優れた5ドアハッチバックボディと相まって、スイフトスポーツは購入しやすいクルマだといえます。動力性能はスープラやGT-Rに比べると圧倒的に低いですが、エンジンの吹き上がりは良く、操舵感は適度に機敏で、ボディが軽いために走行安定性も満足できます。峠道などを運転するときの楽しさは、上級スポーツカーに劣りません。
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200万円前後で購入可能なスポーツカーとして、2000年頃であれば、トヨタのセリカや「MR-S」、日産 シルビア、ホンダ「インテグラ(1.8リッターモデル)」などのクーペがありましたが、それがいまではスイフトスポーツや軽自動車のホンダ「S660」になっているのです。要は200万円前後で選べる運転の楽しい車種が失われ、クルマ好きのユーザーも減り、売れ筋車種は実用指向に偏っています。ホンダ「N-BOX」やスズキ「スペーシア」などの軽自動車では、エアロパーツを装着したカスタムが好調ですが、この背景にも200万円前後で買える趣味性の強い車種の減少があるでしょう。流行しているSUVの分野でも、トヨタ「ライズ」や「ヤリスクロス」、スズキ「ジムニー」など、200万円前後で購入可能なコンパクトな車種が人気です。
86/スバル「BRZ」の新型モデルや、フェアレディZの次期モデルの登場も発表されていますが、排気量アップや安全機能の装着といった高性能化により、これらの新型モデルが200万円という価格で発売されることはないでしょう。どうして価格が200万円前後のスイフトスポーツ、コンパクトSUV、軽自動車のエアロモデルが売れるのか、メーカーはそこを研究して、この価格帯にコンパクトで楽しいクルマを投入すると、カーライフはもっと楽しくなると思います。「200万円の商品開発」に期待したいです。
スポーツカーの復活はあり得ない。その最も大きな理由はあと10年でガソリン車の販売ができなくなること、メーカーにしても今更金をかけて売れもしないスポーツカーの開発などしないだろう。そして価格、一人者で金があって車が好きというなら使い勝手の悪い走るだけの車に500万、1千万もかけるかもしれないが、普通の家庭持ちが高価なくせに2人しか乗れないスポーツカーなんてあり得ないだろう。セカンドカーに軽でも買うか、子供が小さければ2×2もありだが、2台では維持費がかかるし、ガッキーもすぐにでかくなる。安価なスポーツカーとしてここではS660とスイフトスポーツが例に引き出されているが、コペンも乗っていて楽しい車だった。価格は200万円台、絶対動力性能はないが、山坂道ではきびきびとした楽しい走りをしたし、何と贅沢にも電動でハードトップのルーフが開閉した。コペンに軽をもう1台くらいならあり得る選択だろう。ただ軽も純ガソリン車はなくなるそうだからこうした選択もあり得ない。そうするとこれからのスポーツカーはEVやFCVでモーターの瞬発トルクにかけるか、HV、PHVで生き残るかどちらかだろう。ただHV、PHVもやがては消えて行くだろう。それでもスポーツカーと言う車種は車社会の中で生き残っていくだろう。かく言う自分自身も高い金を払って使い勝手の悪いスポーツカーに乗っているが、一人で使うなら、そして車が好きなら悪くない選択だと思う。ただもっと時代が進んで完全自動運転車と言うロボットコミューターが登場してくると今の車社会そのものが消滅してしまう可能性があるが、それも遠い未来の話ではないかもしれない。そんなロボットが移動を司る世の中で趣味性にかけてわずかに生き残る車は実用性を一切脱ぎ捨てたスポーツカーの類かもしれない。その動力はもちろん電気だろうけど、‥(^。^)y-.。o○。
Posted at 2021/01/10 10:37:25 | |
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自動車 | 日記