危機管理でつまづいた県警
参院選最終盤の演説中、凶弾にたおれた安倍晋三元首相(享年67)。警備体制の不備が相次いで指摘される中、当日の奈良県警の会見は各方面でひんしゅくを買った。また、事件の影響で県警本部長の更迭は避けられず、警視総監、警察庁長官も交代が既定路線となっているという。奈良県警の刑事部長や警備実施を担当した警備部参事官らが会見したのは、安倍元首相が銃撃され、死亡した8日夜のことだった。
「何を聞かれても”具体的な回答は差し控えたい”と繰り返し続けたことについて、各方面で”あの会見はなんなんだ”……といった、怒りともむなしい気持ちを吐露したとも取れる声があがっていました」
と、社会部デスク。
「確かに警備実施の中身は秘中の秘ですから県警幹部の言っていることは間違ってはいないのです。しかし、警察当局の幹部の中にすら”こういう会見の時って中身より言い方だったりするじゃないですか。その点、彼らの振る舞い方は受け入れがたい、良くなかった”と話す人がいました」
不祥事などが起こって開かれる記者会見での言動は危機管理の面で重要な岐路とされているが、今回、県警はそこでもつまづいたというわけなのだ。
警備計画書を承認した本部長の真意とは?
「いずれどこかのタイミングでは行われることになったと思いますが、幹部らの不手際もあって、翌日夜には県警本部長の会見が行われることになりました」(先のデスク)
9日夜、1995(平成7)年入庁キャリアの鬼塚友章本部長(50)は徹頭徹尾、神妙な面持ちで目を充血させ、絞り出すように会見に臨んでいた。その中身は大要以下の通りである。
・今回の警護、警備に関する問題があったことは否定できない。
・警護計画書に違和感を持ったり修正すべき点を感じたりしたところはなく、原案通り承認をした。
・背後からの脅威への対応が十分だったか、今後検証されるべきだ。
・治安責任を有する県警本部長として極めて重大かつ、深刻に受け止めており、その責任も痛感している。
・午前11時30分すぎに第1報が入った。その状況の深刻さについて、私自身も平成7年に警察官を拝命して、27年余りの警察官人生での最大の悔恨、痛恨の極みだ。責任の重さを痛感している。
「警護対象者が死亡するという最悪の結果を招いており、その責任を認めるのは当然のことですが、”背後からの脅威など”具体的な点に踏み込んだ点は前日の会見よりは 評価できると思います。何より自身の警察官人生に重ね、取り返しのつかない事態を招いたことを語っていたことで、ある程度、前日のいただけない幹部会見の悪評を払拭できたように感じました」(同)
北村滋氏に見いだされた鬼塚本部長
鬼塚本部長は今年3月に奈良に着任したばかりだった。その横顔についても少し紹介しておこう。
「福岡高校から九州大法学部を経て警察庁に入庁しました。内閣情報調査室に勤務した時に当時のトップ・北村滋情報官に見いだされ、北村氏がNSC(国家安全保障局)に転じる際にこれに従いました。北村氏の辞職後ようやく警察庁に戻ってきて、同期と同じようにそろそろ地方の本部長をということで回ってきたのが奈良だったのです」(警察庁関係者)
北村氏は安倍氏の懐刀、官邸官僚として名を馳せた人物だ。その北村氏に見いだされた鬼塚本部長としては安倍氏への思いも浅からぬものがあったに違いない。
「鬼塚本部長が”27年余りの警察官人生で~”という言葉を使っていたのを見て、この事件の捜査や検証がある程度落ち着いたところでの更迭は避けられないだろうと感じました。警察トップもそのように考えているということを踏まえての発言とも言えるでしょう」(同)
他方、安倍氏が首相時代に秘書官を務めていたのが現在、警視総監を務める大石吉彦氏だ。今回の警備実施については、警視庁警備部警護課からSPが1人派遣されている。
警視総監、警察庁長官人事は?
「元々、大石氏は今年秋に勇退が取り沙汰されていました。ただ、今回の件でそれが既定路線になったと取り沙汰されています」(先の記者)
同様に中村格警察庁長官もほぼ同じ時期に交代が噂されていた。
「中村長官の場合は同期の露木康浩次長にバトンを継ぐことが確定的です。同期で年齢も同じなので、中村氏が長くやりすぎると露木氏の任期が短くなってしまうこともあり、1年半程度で交代すると見られてきました。中村氏が長官になったのは昨年9月で、1年半ということなら任期はもう少しあるわけですが、今回の一件を受けてそれが少し早まる可能性が出てきたということです」(同)
警視総監・警察庁長官ともに表向きには引責という形は取らないようだが、今回の件が警察トップの人事に波及するほどのインパクトがあったことは間違いない。(デイリー新潮編集部・新潮社)
奈良県警の刑事部長、警備部参事官、捜査一課長の会見を見ていて、「なんでも秘密、秘密」の警備部らしい物言いだとは思ったが、同時に「あれはまずい」とも思った。警察は治安責任を負うのだから事件が起こればそのことに当然責任がある。具体的なことはともかくも何よりもそのことを最初に謝罪すべきだった。刑事部長も同様で「捜査を、捜査を」と繰り返したが、捜査で事案を解明したうえで具体的な問題点を指摘して対応するのは当然としても事件が起きてしまったことについては警察として責任がある。与党の最高有力者が街頭演説中に狙撃されて死亡したのだからそのことについては率直に謝罪すべきだった。最初の会見でマスコミを納得させておけばあの混乱した中で警察本部長を引っ張り出すことは避けられたと思う。警察内部の常識ではあれが正解だろうが、外に対して内部の常識が通用するのかどうかその辺は考えるべきだった。あの会見はまことに警察幹部らしい物言いではあったが、同時に不興を買うことは間違いのない事実だった。確かに捜査を待たなければ判明しない事実もあるが、あの時点で明らかな問題点もあった。それについては明らかにして謝罪すべきは謝罪してもよかっただろう。治安を守ることは警察の第一義的な任務だが、頭を守るのも重要な仕事、警察も行ってもいいこと、言ってはいけないことをもう一度考え直すべきだろう。それにしても警察本部長はともかく警視総監、警察庁長官は円満勇退と言う形をとるのだろうが、そこまで影響は及ぶとはやはり政界随一の実力者の死亡事件は影響が大きい、‥(^。^)y-.。o○。
Posted at 2022/07/11 14:16:00 | |
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