2022年07月24日
日本軍の火砲は総じて欧米のそれよりも遅れていた。陸軍の火砲は38式や41式など野砲類は明治時代の開発のもので90式、95式、96式など昭和になって製作された野戦火砲で旧式火砲を更新することができなかった。小銃は明治時代のものでもほとんど確立された技術で問題はなかったが、野砲などはそうは行かなかった。またこれらの野戦重砲の技術も欧米に遅れていて陸軍はフランスの野砲技術を導入していた。さらに対戦車砲や高射砲はもっと遅れていて戦車砲については最後まで欧米並みの砲を作ることができなかったし、高射砲も欧米の模倣だった。
対戦車砲は47ミリ速射砲がもっとも性能がいいもの、のちにフランスのシュナイダー社製の75ミリ野砲を戦車砲に転用したりボフォース社製の3インチ高射砲を戦車砲に転用したりしていた。47ミリ速射砲は米国のM4戦車の正面装甲を撃ち抜くことはできなかったが、撃たれればそれなりに損害があり、英軍は「撃たれると嫌な砲だ」と恐れていたようだ。ただ日本軍は威力のない37ミリ速射砲で相手戦車のハッチの蝶番を狙って撃ってハッチを壊して撃破したり連射で内部の機械類を破壊したりまるで神業のようなこともしたそうだ。
機関銃なども概ね欧米の技術模倣だったようだが、何よりも複座のためのバネのいいものが作れずに連射性能が劣ったと言う。また牽引砲は機動車生産が劣っていた日本ではこれを引く自動車がなく馬に引かせていたのでできるだけ重量を軽くする必要があり、全体的に強度が低く強装薬で連続射撃をすると脚部などが破損するものがあったと言う。そして当然のこと未舗装路や泥濘地などでの機動力にも問題があったそうだ。日本の野砲は機動力、射程、威力で欧米の野砲に劣ったようだ。しかし陸軍も最後には米国の陸軍のように105ミリ、155ミリの野砲で統一しようとしたそうだが、38式や41式などの野砲をすべて更新することができなかったそうだ。
海軍は英国からの技術導入で艦載砲を作ったが、大口径砲はビッカース社からの技術導入に始まって41式36センチ砲、3年式40センチ砲や最後には94式46センチ砲まで製作しているし、高角砲も12.7センチ高角砲、10センチ長砲身高角砲などそれなりの性能のものを作ってはいる。海軍は高射砲の開発に苦労していた陸軍に対して高角砲の技術開示などもしているそうだ。それにしても英米に対抗して大艦巨砲主義を進めるには大口径艦載砲の国産は必須だったので海軍としても必死だったんだろう。
ただ機銃は英国、スイス、フランスなどからの技術導入だったし、米国のブローニングの技術も模倣している。機関銃はなかなか難しいもので現在でもベルギーのFN社製ミニミを住友重機械工業がライセンスしていたが、機関銃の性能偽装で指名停止となり、その後機関銃の製造から手を引いている。住友重機械工業で生産したミニミは本家のものに比べると性能が劣るとか言う。こうした小型武器と言うのも開発製造を続けていないとなかなか技術的に難しいのだろう。もっともM2重機関銃などは100年以上も前に作られたものだが、未だにこれを超える機関銃が作れないと言う。米国でも開発しようとしたが失敗している。なかなか不思議なものではある。
日本の小火器技術の遅れは現在まで続いているようでこれも少数生産による採算不良のせいかもしれない。それにしても技術と言うのは継続が大事だと言うことがよく分かる。防衛費をGDPの2%まで引き上げるとか言うが、やはり技術開発にもっと金をかけるべきだろう。技術は時間と金をかけないと発達しない。それにしても帝国陸海軍も国力だけでなく各種技術でも英米に遅れていたのによくぞ戦争など始めたものだ、・・(^。^)y-.。o○。
Posted at 2022/07/24 02:04:43 | |
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