FIA世界耐久選手権(WEC)第5戦富士6時間レースが行なわれた。優勝したのは、トヨタの8号車GR010 HYBRID(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組)だった。決勝日の富士スピードウェイはすっきりとした青空が広がる絶好のレース日和。気温は28度、路面温度44度というコンディションで、11時にスタートが切られた。ポールポジションのトヨタ7号車は小林可夢偉がスタートを決めて首位をキープ。セバスチャン・ブエミのトヨタ8号車もそれに続いた。
トヨタの2台は、1秒前後のギャップを保ったまま順調に周回。3番手のアルピーヌ36号車は、性能調整でパワーが下げられた影響かストレートで伸びず、ジリジリと離されていった。次第に、プジョー94号車が36号車に接近。一方で93号車はバランスが悪いのか、94号車についていけず引き離されていった。レース開始1時間を前に、ハイパーカーのルーティーン・ピット作業が始まっていく。ここで37周でピットインした7号車は左側の2輪を交換。翌周にピットインした8号車も同様だ。一足先にピットに入っていた36号車は、プジョーの94号車にオーバーカットを許す形となった。レース中盤に差し掛かろうかという頃、トヨタ2台の位置関係にも変化が。7号車にペースが良い8号車が接近し、残り4時間20分のところでリーダーチェンジ。ランキング2番手につける8号車が前にでた。スタートから2時間が経過する頃、8号車はブレンドン・ハートレー、7号車はホセ・マリア・ロペスにドライバー交代。順調にレースをリードしていった。レース開始から2時間30分が経過し、週末をトラブルフリーで進めていたプジョーに悪夢が。アルピーヌと表彰台を争っていた94号車がマシン後部から白煙をあげ、ピットイン。これはオイルリークが原因だったようだが幸いダメージは大きくなく、20分ほどの作業で走行を再開。ただ15周遅れとなってしまった。さらに、レース開始から4時間が経とうという頃には、93号車も白煙を上げてピットへ。94号車と同様のトラブルだったようで、迅速に走行再開となったものの、トヨタ勢から6周遅れとなった。これでハイパーカークラスの大勢は決着。7号車は首位の8号車ほどのペースはなく、8号車の独走体制に。残り2時間を切り、8号車に平川亮が乗り込んだタイミングでは7号車のマイク・コンウェイに対するリードは38秒あったが、その後も8号車がリードを拡大していった。セーフティカーやフルコースイエローのないクリーンな展開となった今回のレース。トヨタ8号車は232周を走破し、トップチェッカーを受けた。2位はトヨタ7号車。8号車とはセットアップの違いにより差がついたものの、トヨタは3年ぶりの母国戦でワンツーフィニッシュを果たした。アルピーヌは3位。これでトヨタ8号車とは同ポイントで、11月の最終戦バーレーン8時間レースに臨むことになる。プジョー勢は、デビュー戦のモンツァと同様、2台ともにトラブルに見舞われる苦しいレースとなってしまった。
■LMP2クラスはWRT31号車が優勝。LM-GTE AmはD'stationが躍動!
LMP2クラスはスタート直後に4ワイドとなるシーンがあるなど、いきなり激しい展開。さらにダンロップコーナーでは追突クラッシュも起きたが、幸いセーフティカー出動となるような事態にはならなかった。WRT31号車がスタート直後に首位に立って快走。途中JOTA28号車にコース上でオーバーテイクされる場面もあったものの、31号車はレースの大半をリードした。終盤は最後のピットイン次第で順位変動もありうるという状況だったが、31号車は首位を守り切ってチェッカー。2位にはポイントリーダーのJOTA38号車、さらに3位には28号車が入った。LM-GTE Proクラスは、ポールシッターのポルシェ92号車を交わし、フェラーリ51号車がレース序盤で首位に浮上。程なくして92号車が抜き返すが、2台のバトルはその後も続いた。一方、ポルシェ91号車とコルベット64号車にはトラックリミット違反でドライブスルーペナルティが科されてしまった。さらに64号車はピットレーンでガス欠し、タイムをロスする場面もあった。ポルシェはスティント終盤のペースが苦しく、フェラーリがワンツー体制でレースを支配し、51号車が優勝、52号車が2位。ポルシェ92号車が3位となった。
LM-GTE Amクラスはプロドライバーがスタートを担当したマシンが大幅ポジションアップ。777号車のD'station Racingもその1台で、藤井誠暢がクラス最後尾から一気に追い上げ。レース開始から13分ほどで3番手につけると、25分が経つ前にクラス首位に躍り出た。星野敏にバトンタッチした後も、777号車は上位をキープ。プロドライバーに交代した他車に追い上げを受けたものの、星野は5番手でチャールズ・ファグにマシンを託した。レース終盤は表彰台圏内の3番手を走行した777号車は、残り30分を切ってから最後のピットストップ。ここでタイヤを交換したこともあって、ピットアウト直後にAFコルセ56号車フェラーリに抜かれ表彰台圏内、てしまう。しかしファグはタイヤのアドバンテージを活かしてオーバーテイク。見事3位表彰台を獲得した。Amクラス優勝は、TFスポーツ33号車アストンマーチン。女性ドライバーのみでラインアップが構成されたアイアン・デイムス85号車フェラーリが入っている。木村武史がスタートドライバーを務めたTEAM PROJECT1の56号車ポルシェは、クラス8位でのフィニッシュとなった。(松本 和己)
トヨタは地元の富士6時間耐久で1-2フィニッシュを飾った。アルパインはWECの調整で40馬力ほど出力を落とされて直線での伸びを欠いたようだった。アルパインは暫定措置で旧LMP1の車両で参戦しているが、来年はどうするんだろうか。グリッケンハウスは富士を棄権、これはどうも資金の問題のようだ。プジョーはまだ車の信頼性が問題のようで精彩を欠いているようだ。リアウィングのない特徴のあるスタイルでなかなか先鋭的だが、性能はまだ今一歩と言ったところだろう。来年はポルシェ、フェラーリ、アウディ、フォードなど錚々たるワークスの参戦が予想されるが、トヨタも正念場だろう。ただこれまでにトヨタも耐久での勝ち方を身に着けているのでなかなか面白い戦いになるだろう。がんばれ、トヨタ、期待している、‥(^。^)y-.。o○。
Posted at 2022/09/12 01:04:10 | |
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