【突破する日本】
昨年12月16日に閣議決定した「国家安全保障戦略」など「安保3文書」は、外国が日本を攻撃しようとした場合に、その国のミサイル基地などに打撃を与える能力(反撃能力)を保有することや、対GDP(国内総生産)比2%への増額などを明記した。
米国の歴史学者、エドワード・ルトワック氏は、これにより「米国から言われてやるのではなく、日本の国益および日米の集団的安全保障に照らして日本が自発的に政策決定を下すようになった」として日米の安全保障関係は「日米3・0」になったと高く評価した(産経新聞1月20日付)。
一方、反撃能力を「敵基地攻撃能力」と呼び続け、「専守防衛」を空洞化させるとして反対の論陣を張ろうとしていた朝日新聞は12月17日付の第1社会面に、反対運動が盛り上がらなかったことへの「敗北宣言」か「諦め」であるかのような大型記事を掲載した。いわく、「先制攻撃に道を開きかねない防衛政策の大転換。そんな事態でも、集団的自衛権の行使容認にかじを切った7年前とは違って、街で話題になることがあまりないようだ。なぜなのか」。
7年前とは安倍晋三政権の安保法制のことだ。「戦争法案」と呼んで反対する野党に大半のメディアが同調し、国会前で連日反対運動が展開された。メディアが若者の反対運動を好意的に取り上げ、反対の声が増幅された。特定秘密保護法制定のときも、テロ等準備罪(共謀罪)の新設の際にも、朝日新聞をはじめメディアは「ひそひそ話もできなくなる」「暗黒社会になる」「花見の下見をしただけで逮捕される」などと、根拠のない不安を煽るキャンペーンを展開し、連日反対デモが行われた。
しかし、「安保3文書」では目立った反対運動は起きなかった。朝日新聞は、コロナやサッカーW杯や旧統一教会問題に話題がさらわれたことに理由を見いだそうとしているが、的外れだ。理由ははっきりしている。ロシアによるウクライナ侵攻が現実に起こり、中国による台湾侵攻への危険性も高まっていることで、国民一般の安全保障観が大きく変化したからだ。
メディアがかつてのように反対運動を煽ろうとしても国民はなびかない。逆に、日本を取り巻く安全保障環境の厳しさに、現実的な対応が必要との認識に至っている。朝日新聞の全国世論調査でも、「外国が日本を攻撃しようとした場合に、その国のミサイル基地などに打撃を与える能力を自衛隊がもつことに賛成ですか」との問いに、「賛成」56%、「反対」38%との結果となった(昨年12月17、18日実施)。メディアが世論を煽って政治を動かすパターンは過去のものになろうとしている。
■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 1962年、広島県生まれ。早稲田大学法学部卒業、同大学院政治学研究科博士後期課程研究指導認定退学。専攻は憲法学。第2回正論新風賞受賞。高崎経済大学教授などを経て現在、麗澤大学教授。山本七平賞選考委員など。安倍・菅内閣で首相諮問機関・教育再生実行会議の有識者委員を務めた。法務省・法制審議会民法(相続関係)部会委員、フジテレビジョン番組審議委員も歴任。著書に『憲法改正がなぜ必要か』(PHPパブリッシング)など多数。
中国にとって台湾侵攻で最も都合がいいのはこの数年だろう。なぜかと言えば中距離ミサイル保有数で圧倒的優位になっているからだ。中国は1,700発の中距離ミサイルを保有しているのに米国は中距離弾道弾制限条約で同種の中距離ミサイルを保有していない。さすがのおめでた日本もロシアのウクライナ侵攻や中国の恐々な覇権主義に晒されて「これはヤバい」と思うようになったのか、米国から「自分のことはまず第一に自分でやれよ」と釘を刺されたのか、慌てて防衛費2倍、反撃能力の保持とか言い出した。日本が射程1千キロから3千キロのミサイルを多数保有すればせっかくの優位が崩れてしまう。それをじっと横目で見ながら何年も待ってはいられない。中国にすれば日米の体制が整う前にやるならやってしまおうと思っても不思議はないだろう。専守防衛なんてきれいごとを言っても専守防衛とは開戦即本土決戦ではある。日本が戦場にならなければ手も足も出せないなんておかしいだろう。マスコミは事実を客観的に伝えることが第一で無暗に世論を煽るべきではない。今の中国は日本にとって「今そこにある危機」ではある、・・(-_-メ)。
Posted at 2023/01/25 23:37:19 | |
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