原発推進派(ビル・ゲイツ)
再生可能エネルギーは燃料を必要としない点ではすぐれているが、こういった技術で収集できるエネルギー密度は発電所に比べ著しく低いため、普通の発電所の何千倍もの面積が必要。太陽や風のような不安定な供給源に頼るとすると、それを利用できない間エネルギーを得る別の手段を用意しなければならない。
エネルギー貯蔵の問題も重要だ。あらゆるタイプのバッテリーを検討したが、いま入手できるバッテリーをすべて集めてもエネルギーを10分間も供給できない。再生可能エネルギーでまかなえるのは、電力の30%が上限。100%まかなうには、今の100倍以上に貯蔵能力を改善できる奇蹟的な技術革新が必要だ。
発電効率が高くCO2が出ないのは原子力。私の投資しているテラパワーは、ウランの1%のU235を燃焼させる代わりに残りのU238を燃焼させる進行波炉。99%を燃料として使用することで、コスト面で劇的な改善が得られる。燃料の劣化ウランは数百年分あり、ほぼ無尽蔵だ。
脱原発派
ゴールドマン・サックス証券の渡辺崇アナリストは「福島第一原発を受けて、今後の原発計画は中期的に見直しを迫られる可能性がある」と1日付リポートで指摘。中長期の二酸化炭素(CO2)削減目標から考えれば火力発電所ですべて賄っていくのは難しく、設置場所の制約から風力などの普及にも限界があるとし、日本にとって残された選択肢として「太陽光発電が有力」との考えを示した。
渡辺氏の試算では、仮にこれまで計画されていた原発を太陽光発電ですべて置き換えた場合、20年までに累計108ギガワット(GW)分の設置が必要になる。この場合のコストは、現在のソーラーパネル価格を基に算出すると、12兆円以上になる。
エネルギー専門調査会社ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのアナリスト、ジェニー・チェース氏によると、ソーラーパネルの価格は、10年は1ワット当たり1.8ドルだったが、11年上期には同1.5ドルに低下するという。今後も電池技術の向上や製造工程の合理化が低価格化を実現するとみている。
渡辺氏は、パナソニックやシャープの太陽電池は売り上げの半分が国内のため、国内需要の拡大は「非常に大きな意味を持つ」という。住宅メーカーや中小工務店との関係、ブランド力が重要な日本の太陽電池市場では、ライバルの中国メーカーはシェア拡大に苦戦しており、「国内企業の寡占構造は当面続く」と予想する。
パナソニック傘下の三洋電機広報担当の大岩明彦氏は「当面は原子力、火力、水力による既存の発電施設を太陽光発電や他の代替エネルギーで補完する形になるだろう」とみる。福島原発事故は日本のエネルギー事情を考える良い機会となり、「太陽光発電を含む代替エネルギーへの関心はより一層高まるのではないか」と述べた。シャープ広報担当の中山みゆき氏はコメントを控えた。
地方自治体も太陽光発電を後押しする。10日の神奈川県知事選では、4年間で200万戸相当分の太陽光発電を導入することなどを訴えた元民放キャスターの黒岩祐治氏(56)が初当選を果たした。一夜明けた11 日の記者会見で、同氏は「脱原発を訴え、太陽光発電を一気に進め、神奈川からエネルギー革命を起こしたい」とあらためて強調した。
静岡県は、今年度中にも太陽光発電の設置者に補助金を出すなどして新エネルギーによる発電量を増やす政策を検討している。同県は電力の80%以上を原発に依存している。川勝平太静岡県知事は11日の定例会見で、県内の太陽光発電などの供給量を10年後までに倍増する目標の前倒しを表明した。太陽光発電が使われている住宅の割合で全国一を目指す考えだ。
原発への依存から脱し、太陽光発電などを促進するエネルギー政策を提言するため、ソフトバンクの孫正義社長も声を挙げた。同社長は20 日、自然エネルギー活用への転換を進める財団法人を設立する意向を表明。財団運営のため、社長個人が10億円程度を投じるという。孫社長は同日、民主党の東日本大震災復旧・復興検討委員会復興ビジョンチームの会合でクリーンエネルギーの代表例として太陽光発電の重要性を強調した。
原発に頼らなくても太陽光、風力、地熱、潮流などの再生可能エネルギー発電で電力は賄えるという意見がある一方で、不安定なこれらのエネルギーは主力エネルギー源にはなり得ず、あくまでも補助的なエネルギー源に止まるという意見もある。
極めて素人的な発想だが、1000万キロワットを発電する太陽光発電設備を整えたとして、雨が降ったらどうするんだろう。今日は雨なので停電ですということになるんだろうか。太陽が出ていなくてもそれなりの発電をすることは街中の小型太陽光発電装置の表示で知っているが、やはり雨の日は発電量が極めて少ない。
原子力は安定した電力を低コストで発電するが、放射性廃棄物を大量に生み出すことや今回のように事故が起こると極めて深刻な放射性物質による広域にわたる汚染を引き起こす。人間の作るものに絶対はあり得ないが、原発のフェイルセーフがこれほどお粗末だとは思わなかった。非常用発電システムなら地下に完全防水・耐震構造のシェルターを作ってそこに納めることもできるだろう。
将来のエネルギーをどうするかは今後の議論になるのだろうが、当面は原発にも依存せざるを得ないだろう。そうであれば今ある原発のフェイルセーフについて徹底的に見直しをする必要があるだろう。やる気になれば強靭な、おいそれとはへこたれないフェイルセーフシステムを作ることもできるだろう。金がかかるなら電力を使用している受益者から何らかのリスク負担料金を徴収することも検討すべきではないか。
脱原発、再生可能エネルギーというのは耳触りが良いが、個人的には日本のように国土が狭く天候が変化しやすい国では今後相当の期間原発に頼らざるを得ないだろうと思うが、安全対策については根底からの見直しが必要だろうと思っている。
Posted at 2011/04/29 23:48:03 | |
トラックバック(0) | 日記