2015年12月26日
「でもどうしてあんなに執拗に絡んでくるのかしら。そんなにあの人と何か因縁があったわけではないと思うんだけどな。こっちが忘れているか気がつかないことがあったのかなあ。」
僕が首を傾げていると女土方が言い難そうに口を開いた。
「原因は私かもしれない。」
その一言で僕は身を乗り出した。
「実はねえ、ちょっと話したでしょう。何年か前に彼女とちょっとしたトラブルがあったって。そのことを根に持っているみたいなの。その話、うわさで聞いているでしょう。」
何年か前なんて聞いているわけないだろう。女土方も北の政所様もまして佐山芳恵なんてその存在どころか自分が佐山芳恵になるなんてことは欠片も考えなかったんだから。もしもそうなることが分かっていたんなら情報収集を徹底したんだろうが。
「私はそんな話は聞いていないわ。何があったの。」
変に知っているようなふりをするよりも知らないものは知らないと言った方が話が早い。
「実はねえ、その頃私と彼女でちょっとした仕事をしてたのよ。その取引先の人がね、奥様をなくした独身のちょっと素敵な中年の男性だったんだけど長い仕事だったから時々飲みに行ったりしてなかなかいい雰囲気だったの。それで彼女その人を気に入ったらしくて何かの折に仕事に託けてその人を誘って自分の気持ちを打ち明けたらしいの。
ところがねえ、その人は私の方を気に入っていたらしいのよ。私は男の人には興味はないからその人がいい人だということは分かるけどお誘いを受けても全くだめなわけよ。
それでその人からそれとなく誘われたけどこちらもそれとなく断ってしまったの。向こうも大人だったから事情があってお付き合いはできないという私の言うことを聞いて納得してくれてこっちはそれで終わったんだけど治まらないのは彼女なの。自分は振られるししかも自分が好きになった人を身近な人間があっさりと振ってしまったのがもっと気に入らなかったらしいの。
それでも幾ら何でもそのことで私に何かするわけにもいかなかったようで仕事のことやお付き合いのこと私生活のことまであれこれちょっかいを出してきてそれはもう大変だったわ。
それでね、ある時仕事のことでちょっとした言い合いになった時に向こうが仕掛けてきたから『いい加減に恋の鞘当てのようなことはやめてください。あなたとあの人のことと私とあの人とのことは全く関係のないことでしょう。』って言ってやったことがあるの。結果はご想像にお任せするけどそれはもう大変だったわ。あなたのように実力行使にまではならなかったけど。
それからもごたごたが続いてどうしようもなくなっていたらその取引先の人がそれとなくうちの会社の方に話をしてくれて何とか停戦ということになったの。でもあの人の心の中ではずっと続いていると思うわ、そのことが。異常にプライドの高い人だから。それを傷つけられるのはどうにも我慢が出来ない人なの。仕事はなかなか鋭いんだけどね、感覚も手腕も。
今度はあなたがいい仕事をして会社で注目をされていることに加えて私に接近しているから両方一緒に叩いてやろうとでも考えたんじゃないのかな。それで私たちのことをいろいろ調べたんでしょう。それで私達が一緒にいることを突き止めてそれを使って責めようとしたんじゃないの。でもねえ、まさかあんな手酷い反撃を受けるなんて思いもしなかったでしょうね。
私もあなたがあそこまで本当にやるとは思わなかったわ。まさか殴り合いになるなんて。向こうも驚いたでしょうね。子供みたいにお尻を叩かれるなんて。それも自分の取り巻きさん達の前で。」
なるほどそういう過去があったのか。しかし女の執念は恐ろしい。僕としてもこれで片がついたなんて欠片も思っていないし、例えて言えば真珠湾攻撃が相撃ちになったようなものだからこれから何度も戦闘が続くのだろう。それがどういう展開になるかは相手次第だが、今回は和平を仲介する者が見当たらないので面倒なことになるかもしれない。それでも自分としてはしなくてはいけないことをしっかりとやっていくだけだ。
ラウンジが終わる時間になったので僕と女土方は部屋に戻った。カラオケに行った既婚女と若手女はもう部屋に戻っていたが、どうも僕と北の政所様の間で戦端が開かれたことはすでに知っているようだった。
「大丈夫、佐山さん。」
既婚女は一応気を使ったのか様子を尋ねたが、どちらが良いの悪いのというようなことは一切言及しなかった。下手なことを言って騒動に巻き込まれたくはないのだろう。若手女は何となく事の顛末を聞きたそうだったけれど既婚女に余計なことにはかかわるなと釘を刺されているのか僕の顔を覗うだけで何も言わなかった。
二人はそそくさと寝支度をすると「ベッドを使って良いですか。」と断ってベッドにもぐりこんだ。僕と女土方は二人を見送ってから必然的にあてがわれた和室に入ると寝支度を始めた。顔の傷は目立つことは目立つが何よりも歯を磨くのに手間がかかって困った。
和室は襖を閉めることが出来たので音さえ立てなければ密室だったのが僕にとってはありがたかった。そっと女土方の布団にもぐりこむと女土方に抱きついて彼女の匂いを胸一杯に吸い込んだ。女土方の感触や匂いが角の立った僕の心を和ませた。そんな僕を女土方は心得たように柔らかく抱いてくれた。そうしていると力が抜けるように怒りが静まって穏やかで優しい時を楽しんでいる自分がいることを感じた。
『いい女だな。』
今は自分が女の身なのに他の女に安らぎや欲望を感じる自分がちょっと不思議だった。僕はもう一度女土方の体に顔を強く押し付けて深く息を吸い込んだ。
「本気になってはだめよ。」
女土方が耳元でささやいた。
「二人きりではないのだからね。」
僕は女土方に二、三回頷いたが、その頃にはもう半分眠りに落ちていた。
Posted at 2015/12/26 14:36:57 | |
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小説 | 日記
2015年12月26日
新基地建設反対の抗議行動を東京都内で支援している「辺野古リレー」のメンバーが21日、国会内で会見し、同日、警視庁に対し名護市のキャンプ・シュワブゲート前での警備からの撤退などを求めた要請内容を明らかにした。
会見した仲地ゆたかさんらによると、同庁警備部の対応者は、派遣機動隊は年末年始の都内警備のため全部隊が沖縄から引き揚げたとし、年明けの再派遣には「もちろんあるでしょう」と回答し、要請に応じない意向を示した。
現場での市民排除でけが人が出ていることなどに抗議したが、「公務執行妨害や市民のけがの報告はあるが、(機動隊による)取り扱いでけがしたとの報告はない」「沖縄県警の要請で派遣し、県警の指揮下にあり、責任は県警にある」などと答えたという。
要請は、抗議市民に対する暴力的な排除の中止、新基地建設の中止も求めており、警視庁とともに安倍晋三首相、海上保安庁にも要請文を送った。辺野古リレーは、今後も要請や街頭活動を続ける方針。
警視庁機動隊が派遣されるのは反対派の違法な抗議活動に原因がある。警視庁に機動隊を派遣するなと言うのはお門違いで反対運動をしている市民と称する人たちに違法な抗議活動を止めろと言うべきだろう。違法な抗議活動がなくなり合法に反対を唱えるのなら警視庁機動隊は来なくなる。海保も同じこと、原因を作っているのが誰なのかよく考えるべきだろう。
Posted at 2015/12/26 13:25:32 | |
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政治 | 日記
2015年12月26日
理化学研究所が合成した原子番号113番の元素が新元素と国際的に認定される見通しになったことが25日、関係者への取材で分かった。国際学術機関が来年1月にも決定し、日本が発見した初の新元素として理研に命名権を与える方向で最終調整している。発見を争ったロシアと米国の共同研究チームを退けて認定される見込みで、科学史に残る大きな成果となる。
元素は物質を構成する基本的な粒子である原子の種類のこと。未確定を含め118番まで見つかっており、米露などが国の威信をかけて発見を競ってきた。アジアによる新元素の発見は初めてになる。
新元素の名称と元素記号を提案する権利は発見チームに与えられる。113番の名称は日本にちなんだ「ジャポニウム」が有力とみられ、関係機関の承認を得て決定する。
92番のウランより重い元素は自然界に存在せず、人工的に合成して発見される。113番は理研と露米チームがともに発見を主張し、約10年前から専門家による審査が続いていた。
審査は新元素を認定する国際純正・応用化学連合(IUPAC)と、国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)の合同作業部会が実施。関係者によると、作業部会は理研を113番元素の発見者として承認する報告書を化学連合側に提出した。物理学連合側の同意を踏まえて正式決定する。
理研は平成16年9月、森田浩介研究員(現九州大教授)らが加速器を使って30番の亜鉛を83番のビスマスに高速で衝突させ、核融合反応により113番の元素合成に成功したと発表。24年までに計3個の合成を高い信頼性で確認した。
一方、露米チームは2004(平成16)年2月以降、露ドブナ合同原子核研究所で別の手法により合成したと発表。理研と比べ時期はやや早く、作った個数は圧倒的に多かったが、113番元素であることの裏付けが不十分と判断されたとみられる。
露米は115番、117番、118番も発見したと主張し、審査されている。
亜鉛を高速でビスマスに衝突させて核融合反応を起させ、新元素を合成したと言うが、自然界には存在しない新元素をわざわざ手間ひまかけて合成すると言うのもど素人には良く分からない。それでも新元素の合成が成功して「ジャポニウム」と言う名前がつくのは良いことなんだろう。でもそれって何かの役に立つのだろうか。ニュートリノもそうだったが、良く分からん。この世の中、分かることよりも分からないことの方が天文学的に多いのは事実だが、・・。
Posted at 2015/12/26 12:47:22 | |
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その他 | 日記
2015年12月26日
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾=ぎのわん=市)の移設先となる同県名護市辺野古近くの米軍キャンプ・シュワブのゲート前で、抗議活動の際に県警機動隊員を蹴ってけがを負わせたとして、那覇地検は25日、住所不詳、無職の北島義久容疑者(77)を傷害と公務執行妨害の罪で起訴した。辺野古移設反対派の抗議活動が激化した昨夏以降、活動家が起訴されたのは初めて。北島被告は生活拠点のある北海道と沖縄を短期間で往復しており、捜査当局は抗議活動の実態解明を進める。
今年に入り反対派の活動家らは15人が逮捕され、うち2人が略式起訴されて罰金を科されたほかは釈放されている。
起訴状によると、北島被告は今月5日、警備を行っていた県警機動隊の警部が反対派に「下がってください」と警告をした際、警部の足を蹴る暴行を加え、全治2週間のけがを負わせたとしている。北島被告は調べに黙秘していた。
名護署が北島被告を現行犯逮捕した後、反対派の抗議活動は激しさを増し、反対運動を統率する沖縄平和運動センターの山城博治議長もシュワブの敷地内に侵入したとして刑事特別法違反の疑いで逮捕され、その後、釈放されている。
北島被告は教員経験があるとされる。捜査当局は過激派組織との接点にも注目しており、反対派の一部は、北島被告が北海道から通っており、「支援者」と称して県外からシュワブのゲート前に集まってくる活動家らの実態が裁判の過程でつまびらかにされることを警戒しているという。
反対派はゲート前だけではなく、先月から応援で派遣されていた警視庁機動隊の宿泊先のホテルにも数十人が2度にわたり押しかけ、敷地入り口に座り込むなど不当な活動をエスカレートさせている。
77歳で活動家と言うのもなんとなく物悲しい気もするが、市民、市民と言うが、辺野古にしろ安保法制にしろ、反対運動を主導しているのは左翼活動家だろう。日本のメディアも事実を客観的に伝えるべきだろう。いずれにしても反対は反対でいいが、平穏かつ合法なやり方で反対を表明すべきだろう。憲法第16条にも「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」と明記されている。平穏な方法、それが条件だが、・・。
Posted at 2015/12/26 12:45:40 | |
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政治 | 日記
2015年12月26日
米軍普天間飛行場の移設問題で、飛行場周辺の宜野湾市民12人が、沖縄県と翁長雄志知事に承認取り消しの無効確認と計1億2千万円の慰謝料を求めた訴訟の第1回口頭弁論が22日、那覇地裁(森鍵一裁判長)であった。市民側は、取り消し処分で飛行場が固定化し、移設ができなくなることで、騒音による生存権侵害が続くと主張。県側は市民側に原告適格(訴訟を起こす資格)がないとして請求の却下などを求めた。次回は来年2月23日。
市民側は訴状などで、知事が取り消し処分の根拠とした第三者委員会の報告について「人選に偏りがあり、欠陥がある報告」と主張した。取り消しは知事の公約実現のための政治的パフォーマンスで、宜野湾市民の利益をないがしろにしていると指摘。国防政策が国の専権事項であることも無視しているとした。
県側は答弁書で、埋め立て処分に関わる「法律上の利益」は埋め立て承認による埋立権で、市民側には侵害される「利益」がないと訴えた。また判例に基づき「公務員の職権行為による損害について、公務員個人が直接責任を負わない」と主張。知事に対する賠償請求は不適法だとしている。
市民側は12月21日付で、89人が追加提訴。賠償請求額は計2億900万円になった。
■原告「知事は権限乱用」 県側は困惑
「知事は権限を乱用し、宜野湾市民の苦しみを増やしている」。弁論後の会見で、原告団長の平安座唯雄さん(70)=宜野湾市=は語気を強めた。「辺野古区は、多数が移設に賛成している」と指摘。米軍キャンプ・シュワブゲート前の反対運動は「市民ではなく、活動家によるものだ」と指摘した。
弁護団を率いる徳永信一弁護士は、作家大江健三郎さんの「沖縄ノート」などの記述をめぐり、旧日本軍の元戦隊長らが出版差し止めなどを求めた訴訟で、戦隊長側の代理人などを務めた。「移設を望む市民の期待権が侵害されている」とし、原告適格は認められると自信を見せた。
一方、被告の県側は基地の騒音を米軍が生み出し、飛行場を提供しているのは日本政府だと指摘。「騒音に悩む市民の気持ちは分かるが、訴える先が違う」と困惑する。
これも民意、基地があることで直接の不利益を被る者、利益を得る者、そうした利害が絡むと物事はややこしくなる。それに政治信条など思想的なことまで絡み合って収拾がつかない状態だが、普天間を辺野古に移設するのがもっとも手っ取り早い合理的な方法だろう。しかし、民意と言って辺野古埋立承認を取り消したり国を相手に訴訟を起したりしている沖縄の知事さんはこれには困るだろうな。原告の資格がないといっても騒音訴訟などの例もあるからねえ。
Posted at 2015/12/26 12:44:28 | |
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政治 | 日記