「レスキュー隊に存在を知らせるため」説は…
道行くクルマのリアガラスにしばしば見かける、「赤ちゃんが乗っています」「子供が乗っています」といったマーク。アメリカ発祥であるそれは、日本においても複数のカー用品メーカーから発売されており、そのひとつであるナポレックス(東京都葛飾区)は「1990年代初頭の販売開始以来、当社のロングセラー」と話します。
一方、このマークは特に掲出義務などはなく、ただそのメッセージが発されるだけで、そのためか「赤ちゃんが乗っているからって、どうすればいいの?」「だから何?」などと、インターネット上では疑問視する声もあるようです。また、同じくインターネット上では、次のようなマークの誕生経緯も語られています。
「ある夫婦と赤ちゃんが乗ったクルマが大破する事故に遭い、夫婦はレスキュー隊に救助されて一命を取り留めたが、小さな赤ちゃんの存在はレスキュー隊に気付かれず、亡くなってしまった。両親は自分たちのような悲劇が繰り返されることのないよう、このマークを作った」
しかし、マークの考案者がそれを作ったのは、まだ子どものいない独身時代。つまり、根も葉もない「うわさ話」にすぎません。
「赤ちゃんが乗っています」マーク誕生の真実
1984(昭和59)年、アメリカのベビー用品メーカーSafety 1st社が、世界で初めて「BABY ON BOARD!(赤ちゃんが乗っています!)」というマークを発売。考案者である同社のMichael Lernerさんは、交通事故で赤ちゃんが命を落とすケースが多かったことから、「周りのドライバーに注意を促し、子供の安全について意識を高めよう」という目的で作ったと、「ニューヨーク・タイムズ」1986年10月9日付の記事で語っています。
そして同記事には、「考案者が子どもを失ったことから開発した」という「うわさ話」が当時のアメリカですでに存在していたことが、合わせて書かれています。
このSafety 1st社が発売した「BABY ON BOARD!」のマークは、同様の「CHILD ON BOARD!」マークとともに、2年間でおよそ300万枚の売り上げを記録したそうです。そしてこののち、日本にも上陸しました。
事故発生時、「赤ちゃんが乗っています」の効果はある? ない?
しかし実際のところ、ユーザーがこのマークをクルマに付ける意図としては、ほかのステッカー類などと同じように「ファッションという側面も」(ナポレックス)あるといいます。
とはいえ、クルマに掲示された「赤ちゃんが乗っています」マークには、心から子どもの安全を願う切なる思いもきっと存在するはずです。そして、考案者の願いに通じるその思いがあるからこそ、前述のような「もっともらしいうわさ」が、広く長く信じられているのかもしれません。
ではこの「うわさ話」について、誕生の経緯は事実ではないとはいえ、「マークを掲示することで事故発生時、車内の赤ちゃんに気づいてもらう」という点はどうなのでしょうか。
「マークは情報のひとつとして参考にはなるかもしれませんが、掲示されているからといって必ずしも赤ちゃんが同乗しているわけではありませんし、いずれにせよマークの有無にかかわらず、同乗者の捜索は全力で行います」(さいたま市消防局消防企画課)
「赤ちゃんが乗っています」マークを付けている側とすれば、それでも「万が一のために」という気持ちは捨てきれないでしょう。ある意味このマークは、“お守り”のようなものなのかもしれません。
このステッカー、もうずいぶん前からミニバンなどでよく見かける。実際に乗っている場合もあるし、そうでなさそうな場合もある。でも僕は人が悪いのか、このステッカーを見ると、「他人に言う前にまず自分が気をつければいいだろう」と思ってしまう。ステッカーがあろうがなかろうが、他人に危険な運転を仕掛けることはないが、山坂道ではつい気合が入ってしまって煽っていると思われることがあるかもしれない。"Baby on board" も確かに一種のファッションかもしれない。何かの効果を期待して付けている人は少ないんじゃないだろうか。
Posted at 2016/11/29 15:47:54 | |
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