
スポーツカーの電動化について開発者はどう思う?
EV化などクルマの電動化シフトが一気に進むなか、いまのスポーツカーという形は近い将来、完全になくなってしまうのでしょうか。そんな疑問を抱きながら、9年ぶりにフルモデルチェンジするトヨタ新型「GR86」とスバル新型「BRZ」プロトタイプのサーキット試乗会に参加しました。初代モデルと比べて、新型となるGR86とBRZは商品としての方向性が明確に違うことを強く感じることが出来た貴重な体験でした。
試乗の前、ピット内に仮設された技術展示のなかで、スバルの若手開発担当者に「スポーツカーの電動化をどう思いますか?」と聞いてみると、彼は「こうした形のスポーツカーはこれが最後(の世代)になるのではないかという思いを抱きながらこのクルマの開発をしていました」と個人的な感想を教えてくれました。さらに試乗後、トヨタとスバル両社の開発およびデザイン関係者との意見交換の際、筆者(桃田健史)から次のような質問を投げかけてみました。
「昨今、グローバルで電動化の流れが加速するなか、これまでのスポーツカー開発がこの世代で最後になるのではという声が含め各方面から聞こえてきます。今回の新型GR86と新型BRZの開発を通じて皆さんはスポーツカーのこれからをどう捉えていますか?」
これに対して、スバルの担当デザイナーは「スバルとして、ターボや4WDといった技術は電動化になっても残って欲しいと思う」と回答。スバルの商品企画責任者は「クルマがコモディティ化するなか、スポーツカーは単なる移動手段ではなく、自動車文化そのものを継承することになると思う。自ら動かして楽しむ、愛着があるものとして、たとえEVになってもマシンを操ることの楽しさは変わらないと思う」と述べました。
また、トヨタの製品企画責任者は「スポーツカーとしてちょうど良いサイズ、低重心でFRフォルム、それに伴うハンドリング、さらに(多くの人が手に届く)価格という面で、GR86やBRZを継承するためには当然、水素やEV、ハイブリッド車など(動力面での)ユニットの選定がキーポイントとなるだろう」とコメントしています。そしてトヨタの担当デザイナーは「現状のFRパッケージでのEVになると、当然、電池を床下に搭載してクルマの背が高くなり、いまのようなシルエットが取りづらい。スポーツカーはエンジン音や(オイルの)匂いなど、走る愉しさを五感に訴えるモノだと思う」としたうえで、電動化しても新たなカタチで五感に刺激を与えることが可能だという認識を示しました。また、今回の開発過程において、将来の電動化に関する可能性についての議論があったかについて、トヨタとスバル双方の開発責任者は「とくになかった。あくまでも新型車の開発に集中していた」とのことでした。
2030年代のスポーツカーは一体どうなる?
さて、かなり気が早い話ですが、まもなく登場する2代目のさらに次のモデルとして、3代目のGR86とBRZの登場があるとするのなら、いつ頃になるのでしょうか。2012年にデビューした初代86・BRZから今回の2代目登場までに9年の月日が流れており、それと同じモデルサイクルとなれば3代目の登場は2030年ということになります。2030年といえば、東京都の「2030年までに都内で販売される乗用車新車販売の100%非ガソリン化を目指す」という年に当たります。
日本政府も2030年代半ばに「脱純ガソリン車」の方針を示していますが、純ガソリン車のスポーツカーはどうなるのでしょうか。先日マツダの役員が将来の電動化戦略について発表した際、筆者の質問に答えるかたちで「『ロードスター』も2030年の電動化ロードマップのなかに入っている」と発言しています。ロードスターの電動化がEVなのか、それとも小型モーター搭載のマイルドハイブリッドなのかは明言していませんが、いずれにしても電動パーツ搭載でガソリン車に比べて重量増や重量配分の違い、またモーターのトルク特性を加味した走り味の追求などNAからNDまでとは違った形でのNE(仮称)が登場することになります。ロードスターは、グローバルでは「ライトウエイトスポーツ」という唯一無二の存在ですが、GR86・BRZの立ち位置はロードスターとは若干違います。
とはいえ、今回のプロトタイプ試乗会で公表した資料での性能比較車として、車名が未公表ながらロードスターを走行性能評価のベンチマークとするところもあり、小型スポーツカーという大きな括りではマツダとトヨタ・スバルがお互いに意識していることは事実です。そのため、ロードスターの電動化が確定したことが公になった現時点で、3代目GR86・BRZが電動化する可能性は高いと見るべきではないでしょうか。また、GR86・BRZとの価格差は大きいものの、性能評価の視点ではライバルとトヨタ・スバルが想定している、ポルシェ「718ケイマン」や「ボクスター」の動向も気になるところです。
欧州メーカーでは英国ジャガーが2025年、独アウディが2026年、そしてボルボが2030年に新車の100%EV化を決定するといった業界の実情を鑑みると、718モデルが2030年にスモール「タイカン」のような発想で完全EV化されることもあり得ると思います。このように、スポーツカーにとって2030年が大きな変革期になりそうですが、その頃には電池のエネルギー密度が高まるなどして、電池が小型軽量化されることでガソリン車のようなスポーツカーとして走行性能が維持できるのか。それとも、リア駆動式の小型スポーツカーは2020年代が最後となり、その後は少し背の高いクロスオーバーSUVのような形がスポーツカーの王道になるのでしょうか。仮にそうならば、乘って楽しいガソリンエンジン搭載のスポーツカーは「いまが買い時」なのかもしれません。(桃田健史)
カーボンニュートラルで車の電動化は避けられない状況だろう。二酸化炭素低負荷エンジンの開発に失敗した欧州メーカーは競ってEVへと走っている。日本メーカーのEV化はやや遅れているように見えるが、それでも各メーカーともさして時間のなくなった現在ではそれなりの研究はしているだろう。街中でもテスラの車を見かける機会がずいぶん増えた。しかしEV化すればカーボンフリーと言うわけではない。電気を作るには動力が必要で火力発電に頼っていては結局同じこと、現政権も2050年までにカーボンフリーとか言うが、エネルギー政策をどう変えるのか、その辺の具体的な計画は見えない。車もEV、FCV、その他、水素燃料エンジンなど二酸化炭素を出さない動力の獲得へと向かうのだろうし、そうするとスポーツカーも例外ではあり得ない。HVもゆくゆくは消滅するのだろうから選択肢はEV、FCV、水素燃料エンジンなどしかない。大型の輸送・物流システムなどは充電の必要がないFCVが有力だろう。小型の一般車はEV、そして水素の供給システムが整えばFCVや水素エンジン車の可能性もあるだろう。水素エンジン車と言うのはどの程度の馬力を出して航続距離がどの程度あるのか分からないが、エンジン音など感性にかかる部分も重要なスポーツカーには向いているかもしれない。現時点ではEVが有力だが、国内に6千万台もある車が夜間に一斉に充電を始めたら電力供給がパンクするなんて話もある。まずは大元のエネルギー供給政策を確立させてそこから始まる話だろうと思うが、今の政権は説明が下手くそだからなあ、‥(^。^)y-.。o○。
Posted at 2021/07/18 14:42:17 | |
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