
時代は変わり歓待ムードの教習所、大型二輪免許も取り易くなったものだ……
1960年生まれの僕(筆者:木下隆之)が若造だった頃、自動車教習所の教習車両はクラウンかセドリックと相場が決まっていた。教習車にしては豪華だが、当時の基準でいえば、最大のサイズがクラウンとセドリックであり、つまりは大きなクルマでトレーニングすれば、卒業後に苦労しなくて済む、という解釈だったのだ。教習の難易度を上げておけば、あとはなんとかなろうものよ、なのである。
バイクも同様で、当時は高校生で大型二輪免許(限定解除と呼ばれていた)を取得しようと考えれば、試験場で「一発試験」に挑むしかなく、試験車両は国内でも重量級の大型バイク、「ジーナナ」の愛称で呼ばれていたスズキ「GT750」だった。これがクセモノ。搭載するエンジンは水冷2ストローク並列3気筒であり、スズキの軽自動車「フロンテ」の2ストロークエンジンの改良型だった。2ストロークだから“ジャンジャラジャン”とアイドリングからしてブルブル震える。試験の難所である一本橋を10秒以上かけて渡り切るなど、曲芸師でもなければ不可能と思えるほどの難易度だった。しかも当時では珍しい水冷エンジンでたっぷりと水を積んでいるから、重量は200kg超、3気筒なのにマフラーは左右4本出し、わざわざ重くしているが如きである。
シートは高くて足つきが悪い、アイドリングの振動にやられてフラついた途端に立ちゴケは免れない。手押しで8の字も、相撲取りのような大男でもなければ押し切れない気がする。とにかく若造に大型自動二輪免許を取得させないための試験車としては都合が良かったのである。
とはいうものの、時代は移り変わるもので、近年では普通自動車免許取得のための教習車がアウディだったりベンツだったり……。大型自動二輪の教習車も、乗りやすさで定評のあるホンダ「NC750S」がベースのようだ。しかしその「NC750S」も生産中止とのこと。後継車両に何が選ばれるのかは興味深いところだ。
少子高齢化もあって免許の取得希望者数が減っていることもあり、教習所も歓待の姿勢を見せている。教習所や試験場がサービス業のように思えるほどだ。大型二輪免許の取得を希望する者に対しても、とにかく落第させることが目的の昔の流儀だったら、さしずめホンダ「ゴールドウイング」あたりが教習車だったかもしれない(それはそれで豪華過ぎる)が、そうではない状況にほっと胸を撫で下ろした。(木下隆之)
自動二輪の限定解除が司法試験よりも難しいと言われていた時代、当時はバイクには興味がなかったが、限定解除を受けに行ったものは、中型二輪でブイブイ走り回っていたやつだったが、「検定員に『それじゃあ始めて』と言われてスタートした瞬間に『はい、終わり。』とか言われて検定終了となった。何が悪いのか全く分からなかった。コースを完走するまでに10回、やっと完走しても合格までまた何度も乗って20回ほど通って検定員ともお友達になったころやっと合格した。」なんて言っていた。とにかく難しいなんてものじゃなかったようで、基本合格させる試験じゃなくて落とすための試験だったので100人受けて1人か2人が合格すると言った惨状だった。それが米国の圧力で教習所でも大型二輪免許が取れるようになって状況は一変した。まあそうでなければ自分自身間違っても大型二輪なんて乗ることはなかっただろう。何しろ中年の女性で普通二輪免許を取りに来たのだが、5メーターもまともに走れず転倒を繰り返し、外周1周も回れず小型二輪に変更して、それも規定時間の3倍以上も乗って検定を5回ほど落ちてやっと免許を取ったが、しばらくすると小型二輪の限定解除に来て、またまた指導員泣かせで「もう諦めたら、・・」と言うほど乗って限定解除を突破、「あの人、多分来るぞ」と言っていたらやっぱり大型二輪免許を取りに来て、またまた天文学的な時間を費やしてとうとう大型二輪免許を取ってしまった、‥というよりも取らせてしまった、‥と言った方が当たっているかもしれない。また、仕事でどうしても二輪免許が必要だから普通二輪免許を取って来いと言われた男の子はチャリンコも乗ったことがないと言う子で、バイクに跨って足を離すとひっくり返ると言う体たらくで30時間ほど乗ったが、進歩がなく、仕方がないので職場に連絡して最終的に小型二輪のAT限定で免許を取らせたなんて言うのもあった。でも教習所は商売なのでお上のように「はい、ダメ」と言う訳にもいかず、「路上に出たら死んでしまうかもしれないね」なんて陰で言いながら何だかんだで手間暇かけて免許を取らせていた。指導員とケンカして辞めたとか、自分から断念したのは何人かいたけどやる気で取れなかったと言うのは一人もいなかった。まあそういう自身も教習所で免許が取れるようになったから大型二輪免許が取れたことは間違いない。僕が取ったときは教習車はCB750だった。400には乗っていたが、でかくて重くて乗り始めは感覚が全然違って結構難しかった。その後、「小さいバイクに乗れても大きいバイクは違う」と教習生にはよく言っていた。それから数年で教習車はNC750になった。二輪主任が、「こんなトラックみたいなのはバイクじゃない」と言うので「CB1300にしたら」と言うと「それじゃあみんな落ちてしまうので、・・」とか言っていた。NC750ではCB400とさほど変わらないので取り易かったと思う。どこぞの教習所ではXJR1300を使っていたが、これは最後に体験と言うことで乗せていたようだった。ハーレーを使っていたところもあったが、あまり使い勝手がよろしくないと言うことだった。CB1300は乗りやすい安定のいいバイクなので却って免許取りやすいんじゃないだろうか。誰もが大型二輪免許が取れるようになったのは米国の外圧のおかげなので感謝ではある。でもゴールドウィングは乗りこなすのが難しいんだろうか。CBR1000RR-Rとかの方が難しそうだが、‥(^。^)y-.。o○。
Posted at 2021/10/27 21:28:43 | |
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