この、あまり見馴れないかもしれない機体の名前を即答できる人は少ないと思う。
それは無理もない話で、この画像はモックアップであり、開発も中止され生産されなかった機体だからです。
でもよく見て見れば、どことなく似ている戦闘機が思い浮かぶのではありませんか?
キャノピーの形状は中島製4式戦闘機「疾風」に似ていますし、垂直尾翼を見るとどことなく紫電改に似ていますよね?(↓画像参照、究極のレシプロ戦闘機とも言われる米国のリパブリックXP-72にも似ている。)
ネタをばらせば、これは「紫電」、「紫電改」を作った川西が海軍の新たな要求仕様に合わせて設計した試製「陣風」という名のついた戦闘機のモックアップ機体です。(以下:Wikipediaより)
計画値・(誉42型〔NK9AO〕搭載機)
試作名称:試製陣風
記号:J6K1
機種用途:甲戦闘機
設計:川西
形式:低翼単葉
乗員: 1名
全長: 10.118 m
全幅: 12.500 m
全高: 4.130 m
脚間隔:3.980 m
主翼面積: 26.0m2
全備重量: 4886 kg
動力: 誉42型(NK9AO) 空冷複星18気筒エンジン
離昇出力: 2200HP
プロペラ: VDM社製の定速4翅
最大速度: 685 km/h
実用上昇限度: 13600 m
上昇時間:13'20"/10000m
航続距離:2055 km
武装: 機関銃 13mm機銃×2(機首) ・20mm機銃×4(翼)
または、13mm機銃×2(機首)・30mm機銃×2(翼)
最終時:20mm機銃×6(翼)・13.2mm機銃×2
航空機マニアの方であれば「陣風」をご存知かもしれませんが、今日の話題は「美しさ」でありますので、実際に製作されなかった機体の性能についてあれこれと想像をめぐらすことはせず、この一枚の画像に写っているフォルムの美しさだけを感じて頂けたらと思います・・・・。
色々と記録を探して読んでみると、この機体は「紫電改」をさらに高性能なものにしようと言う思想があるようでしたが、このモックアップが作られた時代には、紫電改も未だ生産されていない頃でした。
それにしても一瞬、F86Fセイバーと見紛うようなキャノピー前後の雰囲気やエンジンが前端には無くキャノピー寄りに置かれ、エンジンカバーが前方に長く引き伸ばされて細く絞られていることも大きな特徴ですし、主翼は全長の半ばで上反角がつけられてるのが特徴的でありますが、この上反角は高高度の希薄な空気の中で機体の水平安定度を確保するのが主な目的と言われています。
甲戦闘機と言う括りは戦闘機同士の空中戦を主体としたものであり、乙戦闘機と言うカテゴリでは局地戦闘機となるため、どちらかと言うと「零戦」的な立ち位置の機体として設計されていた頃の物であります。
計画では「誉42型」と言う2,200馬力のエンジンが順調に完成した場合の機体設計ですから、中止することになったのも自然な結果であったと思われますが、私には川西設計陣の渾身の設計のように思えてなりません・・・。
この1枚の画像から見て取れるバランスの良さ、美しさは傑出していると私は感じていました・・・。
Posted at 2022/08/06 21:00:00 | |
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