ある日の国道1号線。
対向車線に懐かしい車を見かけました。
Swedenのメーカー、サーブの900 Turbo。
Saab 900は、1978年から1993年まで15年に渡って製造されました。
Turbo車はフロントグリルの右上部に、Turboの白いエンブレムが入ります。
写真は前期型の、900ターボ。
ターボ車はフロントドアの前のフェンダーに Turbo の文字が入ります。
ターボ16は、直4、2L、ICターボ、155馬力、23.9kgm。
ターボ16Sは、直4、2L、ICターボ、160馬力、26.0kgm。
ターボ車のリアガラス下には特徴的なウレタンブラックのリアスポイラーがついています。
後期型のスラントグリルの車体。
1978年発売の車体ですから、フロントスクリーンも立っています。
航空機メーカーのSaabなので、フロントスクリーンも空力を考えて湾曲しています。
前期型も後期型もリアスタイルは変わりません。
2ドアのほかに4ドア、5ドアハッチバック、カブリオレがありました。
ターボ車の右ハンドルのコックピット。
ターボ車にはインパネの右側に大きなブースト計が備わります。
当時、右ハンドルや布シートは日本にはあまり入っていなかったと思いますが、ドア内張やシート表皮はシックな暖かさを感じます。
インパネは1970年代欧州車の絶壁インパネ。ゴルフ2やサンタナもこんな簡素な感じでした。
日本仕様左ハンドルの革シート仕様。
エアバック装着前のサーブの特徴的な形のハンドルです。
革シートの茶色内装バージョン。
助手席のグローブボックスも当時のVW社のような感じですね。
エアバックのない時代の助手席前の風景です。
最初期型のノンターボ車のハンドル周りです。
ハンドルパッドの形状も特徴的です。
ターボ車のインパネです。
色が効果的にカラフルで視認性が高いです。吸排気の表示が大きいですね。
マイル表示ですので英国仕様でしょうか?
布シート、4ドア仕様の内装です。
この独自のシート形状は、日産マキシマなど当時の日本車のシートや内装のデザインに大きな影響を与えました。
スウェーデンの航空機メーカーの自動車部門だったサーブ社は1947年(1945年?)に設立されました。1969年に同じスウェーデンのトラックメーカー、スカニア社と合併し、Saab Scania社になりました。
乗用車部門は1989年に再度分離され、GMが50%所有の関連会社として1999年まで、2000年にはGMの100%子会社になりました。
GM時代には、サーブ900やその後継車のサーブ9-3のベースがオペル・ベクトラになったり、2000年代後半にはスバル・インプレッサワゴンにサーブ顔を付けたサーブ9-2Xを出したりしていました。
2000年代後半の世界経済の低迷により、2009年からGMはスウェーデンのスーパーカーメーカーのケーニセグや、オランダのスパイカー社と売却交渉し、2010年にはスパイカー社に売却されました。スパイカー社は資金不足を中国資本の青年汽車やパンダ汽車による買収で補おうとしましたが、中国への技術流出を恐れたGMの反対(部品情報供給などの拒否)により頓挫し、2011年に倒産しました。
第二次大戦後に航空機部門から分離したサーブの乗用車部門は60数年の歴史を実質的に終了しました。サーブ、欧州各国にも独自のファンがあったユニークな自動車メーカーでしたが、日本でも1980年代の全盛期に自動車評論家の徳大寺有恒氏が日本に積極的に啓蒙した車の一つでした。1980年代後半に徳大寺氏が指摘した通り、その20年後に予言通りに時代の流れに淘汰されてしまいました。
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街角の名車たち | 日記
Posted at
2021/07/01 18:54:18