◇2年ぶりに過去最高益を更新
トヨタ自動車が9日発表した2018年3月期連結決算は、最終(当期)利益が2年ぶりに過去最高を更新した。だが、電動化や自動運転などの開発競争が世界的に激化しており、トヨタの将来への危機感は強い。19年3月期も研究開発費は5年連続で1兆円超の巨額投資を続け、自動車業界の「100年に1度の大変革期」での生き残りを図るが、容易ではない。【小倉祥徳、竹地広憲】
「原価低減の力に磨きをかけて『稼ぐ力』を強化し、新技術や新分野への投資を拡大する」。同日記者会見した豊田章男社長はこう述べた。
トヨタの18年3月期の高収益は、円安効果などに支えられたが、19年3月期は逆に円高に設定したため減益予想とした。グループの自動車販売台数も1050万台とほぼ横ばい。中国などアジアで大幅増加を見込むが、主力の北米や国内は減少するという。米中の貿易戦争懸念などもある。
このため豊田氏は、徹底的な効率化を目指す「トヨタ生産方式」と原価低減という「お家芸」の重要性を何度も強調。電動化や自動運転、インターネット接続、ライドシェアなど、業界を取り巻く産業構造の大変化という「生死を懸けた戦い」(豊田氏)に備える姿勢を示した。
豊田氏が危機感を強める背景には、こうした次世代自動車の競争が、欧米の大手自動車メーカーだけでなく、IT大手などの異業種企業や中国など新興国メーカーも参戦して激しくなっていることがある。電気自動車(EV)では、専業の米テスラが先行するほか、独フォルクスワーゲンが25年までに年300万台販売する方針。ベンチャー企業の参入も多い。自動運転では米グーグルが核となる人工知能(AI)の開発を進め、人間が運転せずすべての操作を自動で行う「完全自動運転」の早期実用化を急いでいる。
トヨタは、19年3月期に予定する研究開発費1兆800億円のうち35%を次世代自動車の新技術開発に充てる方針だが、従来の「自前主義」からの脱却もここ1年で急速に進めてきた。昨年9月にはEVの基盤技術の開発子会社をマツダなどと共同で設立したほか、今年1月には米通販大手アマゾン、米ライドシェア大手ウーバー・テクノロジーズなどとの連合でバス型の自動運転EVの開発を進める方針を表明。自動運転では今春、デンソーやアイシン精機などグループ企業と基礎開発部門を集約した共同会社を設立した。豊田氏は今後も、「グループ、同業他社や他業界も含めたアライアンス(提携)を強化する」と述べた。「EVなどの開発は他社にすぐ追いつく」(経済産業省幹部)との楽観的な見方もある。
ただ、EVの販売に成功しても「製造コストが高くもうからない」(トヨタ役員)。ライドシェアや自動運転が普及すれば、自分で所有・運転する人が減り、販売台数も落ち込みかねない。豊田氏は、ネット接続サービスを強化した新車を来月投入する方針も明らかにした。「未来のモビリティー(移動)社会を作るための闘い。何でも挑戦する」と強調したが、日本を代表する企業の具体的な将来像はまだ見えない。
◇トヨタの電動化戦略
トヨタ自動車は2030年ごろに、世界販売台数の約半数をハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などの電動車とする目標を掲げる。具体的にはHVと外部充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)で年450万台、水素で発電して走る燃料電池車(FCV)とEVで年100万台を想定する。
中国や欧州の環境規制の強化で注目されるEVは現在量産していないが、20年以降、中国やインド、米欧などに順次投入する方針。実現に向けて17年にマツダやスズキ、スバルなどが参加する基盤技術の開発子会社を設立。次世代電池「全固体電池」の20年代の実用化を目指し、パナソニックと共同開発を検討するなど対応を急いでいる。
自動運転やEV化、そして若年層の車離れなどで車とそれを取り巻く環境が激変しようとしている中で単に個々の技術と言うよりもこの先の車社会の未来図を的確に描いたものが生き残れると言った状況なんだろう。トヨタはHVやFCVなど極めて高度な技術によって自動車産業の中で主導権を握ろうとし、それが成功してきたが、ここに来て流れは高度な技術から誰でもできるEVへとシフトしている。そうした環境を作ったのは高度な技術で太刀打ちすることへの限界を悟った欧州企業の逆襲と言う話もある。完全自動運転車両と言うのは材の車とは違う「ロボットコミューター」で、ネットで呼べばどこにでも連れて行ってくれて目的地に到着すれば自分で帰っていく、そんなシステムができてしまえば敢えて個人で車を所有する理由があるだろうか。在来型の車と言うのは現在のバイクのようにごく限られた趣味の世界でしか生き残れなくなるような時代が来るかもしれない。未来が見えない中でそれを的確に描き出すのは容易なことではないが、それを成し遂げた企業が生き残る、そんな時代が来ているのかもしれない、・・(^。^)y-.。o○。
Posted at 2018/05/10 10:20:57 | |
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自動車 | 日記