GW後半もどっぷり模型工作に費やしました。おかげで私にしては短期間で考証も工作もだいぶ進みました。それではその状況報告。
艦首上甲板の側壁には排水口がいくつか設置されています。
図面から位置と寸法を算出して0.3mmプラ板で作り、船体との合わせ目をパテ埋め→ヤスリんぐを繰り返しました。(写真撮り忘れ)
なお、図面では片舷あたり5箇所あることになっていますが、実艦写真を確認したところ一番前のものを除く4箇所であることが分かりました。
次は煙突周辺。
二等輸送艦の煙突はディーゼル艦の短い直立六角形、タービン艦の2本の集合煙突の2種類あります。
140号159号ともタービン艦ですが、キットは直立煙突をパーツ化しているので自作することとなります。
これまた図面から寸法を算出してスクラッチ。
煙突基部の甲板室も自作します。
ここで問題となるのが甲板室上の通路。先程の図面でも甲板室から艦尾楼甲板へ繋がる通路の有無が異なるため、どちらの状態で再現すべきか検討します。
「二等輸送艦の全貌」に掲載されている主要性能説明書の中に記載のある船体部新設改造工事概要に訓令工事が列挙されていますが、これによるとS19.8.19付の艦本機密第5122号で「機銃増備の件 増備後25mm3連2基、連装2基、単装11基となる如く装備す」とあります。この数は「各艦機銃、電探、哨信儀等現状調査表」における機銃配置状況でも確認できます。つまり煙突後部甲板室上にも2基の単装機銃が設置されていたことになり、そこへのアクセス路が必要となります。
またS19.11.2付の艦本機密第4号で「艤装一部改正の件 艦橋-煙突付近単装機銃-尾楼甲板間交通路新設」とあります。問題はこの工事を2隻に行ったかどうか。
「海軍特設艦船データベース」(http://www.tokusetsukansen.jpn.org/J/)に第140号と第159号の行動記録が表記されています。これによると140号は11/6に、159号は11/24にマニラ港へ到着し、11/30に第7次多号作戦のため出撃しています。159号は若干短期間ではありますが、通路設置はさほど大規模な工事でないため、「施工された」と考えても不自然ではないと思われます。
これらの考察の結果、通路形状は艦艇図面集ベースとすることで決定し、必要なパーツを製作しました。
そして船体へ設置。
お、なかなかいい感じ♪
同様の工作をもう1隻にも行います。
通路形状が微妙に異なるのはご愛嬌(笑)
次に行ったのが、艦首から艦橋前までの上甲板両側に伸びる側壁内側への三角ステー取り付けです。
1×0.3mm程度の三角板を0.13mmプラバンで無数に作って、1枚ずつ設置していきます。設置間隔は実艦写真から1/700で約1mmと推定。
同時に艦首左舷側に張り出して増設された単装機銃座も図面寸法どおりに設置します。
ちまちま、ちまちま…。
ひたすら修行…。
2隻分を丸一日掛かって目出度く完了!
おー、けっこういいぞ。
こんなアフォみたいな作業、誰もやらないでしょうねw
でも個人的な満足度はだいぶ高めです(^^)
再び煙突周辺に戻ります。
煙突の下には缶室と機械室がありそれぞれに給気筒が必要ですが、なぜか図面にはそれが示されていません。
確認のため実艦写真をチェック。
151号は機銃及び通路増設前ですが、162号は未成艦なので増設後の状態と思われます。159号は石炭艦ですが、タービン艦の151号と同様の給気筒が設置されています。疑問なのは、機械室給気筒はそこそこ大きいので、この状態ではその直後に設置する機銃の操作の邪魔になるのではないか…。
さらに調べると、戦後撮影の153号ではこのようになっています。
写真が不鮮明なので確言はしづらいですが、甲板室上に通路は設置されていますが、機械室給気筒は存在しないように思われます。しかし通路設置により給気筒が廃止されることはあり得ません。謎が深まる…。
もう一枚。↓は米重巡セントポール(?)と第172号が衝突した場面を捉えた写真の一部です。
こちらでは缶室給気筒のダクトが左舷側にも伸びていることが判明します。また甲板室上の通路形状もかなり詳細に分かります。ただ151号や162号のような形状の機械室給気筒が見当たりません。代わりにその場所には小さな方形の構造物が見られ、その上に機銃弾薬箱と思われるものが設置されています。
あくまでも推定ですが、この方形構造物が小型化された機械室給気筒ではないでしょうか。
ということで缶室及び機械室給気筒を製作しました。
やれやれ煙突周辺の工作は終わったか…と思って艦橋の実艦写真を眺めていたところ、こんなものを見つけてしまいました。
をいをい、単装機銃増備後でも機械室給気筒がちゃんと残っているじゃないか!
私としたことが…
やむなく作り直すため、159号のディテール写真を参考に給気筒を作りました。同時に煙突のジャッキステー、汽笛、蒸気捨管も設置。
さて次はいよいよ艦橋。
基本形状は単なる箱ですが、ディテールの確認に苦労しそうな予感…。
Posted at 2023/05/07 11:30:41 | |
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