艦橋、煙突、機銃台などの大きなユニットがあらかた出来たので、ディテールの工作に移ります。
まずは手すりの支柱を立てます。
0.2mmドリルで甲板全周に穴を開け、そこへ0.19mm金属ワイヤーを挿します。高さを揃えるため、1mmプラバンを治具にしました。ハンドレールはまた後日施工します。
ちなみに日本海軍艦船のハンドレールは通常上下2本ですが、一等輸送艦では1本のみとされています。こうしたところでも工事の簡易化が図られているのでしょう。
この状態まで来たところでいよいよジオラマベースへ艦を設置。
このあとはジオラマベースを持ち手代わりにして作業を進めることが出来ます。
次に行ったのが、煙突周囲に何本もある小煙突と、艦橋直後と後部マスト直前のデリックポストの設置です。
小煙突は湾曲部があるので0.55mm金属ワイヤーを使用。その近くにある汽笛(両舷)はリード線をほぐしたものを使いました。
デリックポストは0.8mmプラ棒で立ててあります。画像では見切れていますが艦橋直後のものは頂部に1mmプラ棒の薄切りを乗せてあります。このポストは排気口を兼ねていたという情報(「まけた側の良兵器集Ⅰ」より)もありますが、確認が取れませんでした。
同時に中央機銃台後部に烹炊室煙突も付けました。この煙突は頂部に傘が付くので、1mmプラ棒を削ったものを被せました。
そしてタイトルにもある揚貨機の製作。
キットでは甲板上にモールドされていますが最初に全て削り取ってしまったので自作します。
一等輸送艦の電動揚貨機は他の海軍艦船に搭載されたものと異なり、商船と同様のものが搭載されたようです。しかしその形状の詳細が分かる資料が少ない…。
まずは第9号の画像がこちら↓
さらに散々ググって漸く見つけた商船のものがこちら↓
向こう側の形状が分かりません…。
形状を推定するため揚貨機各部の名称や機能が知りたくなったので、再びググる、ググる、ググる…。
そして見つかったのがこちら↓
戦後の一定期間刊行されていた「船の科学」という雑誌の記事がネット上に全ページ公開されており、その中にあったものです。
この記事により揚貨機とデリックの使い方が分かりました。ただ依然として揚貨機の詳細形状は不明です…。
仕方ないのでこれらの資料をベースにテキトーに絵を描き、そして自作しましたwそれがこちら。
とりあえずそれっぽいものにはなったかなと(笑)
揚貨機についてはもうひとつ謎があります。一等輸送艦のデリックは5本(艦橋直後2本、後部マスト前2本、同マスト後1本)。これに対して揚貨機は艦橋直後に2基、後部マスト前に2基の4基しかありません。後部マスト後ろのデリック用は無いのか?
こちらの写真で確認できるデリックワイヤーの繋ぎ方なども見ましたが、どうにも分かりません。
結局この回答は未だ得られていませんが、恐らく後部マスト前の揚貨機を使ったのだと思います。
次に作ったのが煙突両側に立つ缶室吸気筒×2。図面では円筒型で描かれていますが実艦写真を見ると角柱となっています。他艦では円筒のものもあるため、個艦ごとに異なります。
1番主砲の後ろ、艦橋前には主砲弾薬箱が置かれています。
この画像左の実艦写真を見ると弾薬箱の右舷側に三角の構造物がありますが、これは艦橋から甲板下へ降りるための階段のカバーです。同じものが左舷側にもあるか心配になります。残念ながら実艦写真での確認はできませんでしたが、図面では右舷側のみとされており、弾薬箱は上下2段×3列のようなので、1mm角棒を少しサイズダウンして作りました。
一等輸送艦は全艦ハリネズミのように機銃が配置されていました。よって弾薬箱も各所に配置されており、これを再現します。そのためにまずは機銃の位置を確認する必要があります。連装や三連装は位置がはっきりしているので、単装機銃について調べます。
実艦写真を見たところ、25mmと13mmの混載だったようです。「各艦機銃電探哨信儀等現状調査表」には「第五号輸送艦以降」という表記で調査結果が掲載されていますが、その中に第9号が含まれているか不明です。念のため実艦写真と照らし合わせた結果がこちら↓
単装機銃の数としては25mm×11丁、13mm×3丁設置することとなります。
弾薬箱は機銃1丁につき2箱配置されていたようなので、この倍数が必要となります。
プラバン細切れをひとつひとつ接着して…
艦橋周辺はだいぶ形になってきました。
なんとか年内に完成まで持っていきたいものですが…。
Posted at 2022/11/27 23:10:55 | |
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