■ 中国空母の陳腐化強要
軽空母導入により日本は海軍力の劣勢を改善できる。その第1の理由は、日本導入により中国空母を旧式兵器化させられるためだ。日本がF-35B搭載の軽空母を作ると中国の正規空母は建造中を含めて全て旧式化する。艦載機の性能で圧倒的劣勢に陥るためだ。中国空母が搭載しているJ-15戦闘機は第4世代戦闘機である。第5世代のステルス戦闘機F-35には手も足もでない。レーダ探知できないF-35Bに対し中国のJ-15は一方的劣勢の立場に転落する。実運用の差はさらに広がる。現用の中国空母はカタパルトを持たない。このためJ-15戦闘機は発進時に重量制限が掛けられている。性能上は最大離陸重量33トンだが実際には28トンでの発艦も厳しい。しかも滑走路を長く取らなければならない。このため発艦の間隔も相当に間延びする。日本軽空母にはそれはない。F-35Bはカタパルト無しでも満載重量で発艦できる。しかも着艦帯との取り合いもないため連続発進が可能となる。結果、中国空母は日本軽空母に勝てない二線級装備となる。なお、これは平時にも効く。プレゼンスにおいても中国空母は旧式扱いされる。日本軽空母と並べられた場合「中国空母は日本空母に敵わない」印象を与えられる。
■ 中国艦隊戦力の更新強要
第2の理由は艦隊戦力更新を強要できる点だ。日本軽空母登場により中国艦隊は日本に対して質的劣位に陥る。それは第1で述べたとおりだ。対米劣勢に加え対日劣勢にも陥る。結果、中国は自国艦隊戦力を今以上に近代化しなければならなくなる。これは駆逐艦以下にも及ぶ。空母にカタパルトを付け、ステルス艦載機を開発するだけではない。空母を護衛する055、052C/D、054Aといった駆逐艦・フリゲートもF-35によるステルス攻撃に対抗しなければならない。特にJSM対艦ミサイルの登場は護衛艦に厳しい。かろうじてレーダで探知できる、いままでの対艦ミサイルよりも強力だからだ。ステルス性能が高いため正面からではレーダに映らない。ミサイル側はレーダを使わない画像誘導のため逆探知も効かない。その上、従来ミサイル同様におそらく高度2.5m程度の超低空を飛んでくるのだ。中国駆逐艦は探知できず迎撃もできない。もともと超低空対艦ミサイル迎撃には熱心ではない。ステルス化したJSMには全く対処はできない。まず探知できない。軍艦のレーダで波の乱反射の中を飛んでくる対艦ミサイルの探知は難しい。その上、高ステルス性のJSMではミサイル反応が乱反射ノイズよりも小さくなるのだ。仮に探知できても迎撃できない。中国迎撃ミサイルは基本的に陸上転用型である。米国製とは異なり海面乱反射対処や超低空目標対処能力は高くはない。一部の光学誘導あるいは電波・光学複合誘導タイプを除けばロックオンできないのだ。結果、中華イージス以下のシステムも一気に役立たずとなり更新を迫られるのである。空母、艦載機、駆逐艦の更新の結果どうなるか?中国海軍の数的増勢は難しくなる。90年代建造の旧式艦更新もままならなくなることからすれば、今後は艦隊規模は縮小することになる。
■ 中国潜水艦の更新遅滞
第3の効果が中国潜水艦の増強・更新の妨害だ。日本軽空母導入は中国に空母、艦載機、駆逐艦の更新を迫る。それにより中国海軍の成長を抑制し、縮小方向に進める。これは述べたとおりだ。これは一番厄介な中国潜水艦の更新増強を邪魔することにもつながる。これも軽空母導入の利益である。中国空母は海軍力競争では脅威ではある。しかし、実際の戦闘ではさほどの脅威ではない。日米は日本本土周辺なら容易に沈められる。所詮は艦載機30機未満の空母に過ぎない。搭載している早期警戒機もヘリコプターのZ-18AEWでしかない。本当に面倒な敵は中国潜水艦である。性能向上は大幅に進んでおり、近いうちには探知不能となる。実戦ではその対処に苦労することになる。どこに潜っているのかわからない。その中国潜水艦に対処するため日米海軍力はバラマキ配備を強要されるのだ。それからすれば潜水艦への資源配分を妨害できる点もメリットだ。空母建艦競争等は日米にとって素晴らしい話だということだ。中国は空母機動部隊1つを作るために最新の通常潜水艦10隻と原潜2隻を諦めるのだ。これは日米にとって良い取引である。
■ コスト負担はさほどではない
防衛省がF-35Bを導入したいと考える理由はこのようなものだ。日本は導入と軽空母運用により中国との軍事力積み上げゲームを有利にできるのである。導入コストはどの程度となるか?さほどではない。F-35Bそのもののコストは大したものではない。もともと計画されている空自F-35Aの一部をF-35Bに改める形である。もちろん1機あたりの取得コストが20億円程度上昇する。エンジン等一部部品の集積を行う必要も生まれる。だが新規巨大事業ではない。空母もすでに準備されている。「いずも」「かが」はそのまま使える。最初から各部寸法はF-35Bに合わせて作ってある。格納庫も無理に詰め込めば14機は入る。短距離離陸のためのスキージャンプは必須ではない。微速・無風でもF-35Bは軽量状態で100m未満で発進可能である。20ノット(約40km)、向かい風10mもあれば満載状態でも100mで発進できる。あるいは中古コンテナ船を改修してもよい。90年代末に建造された4000TEUクラスはただ同然で入手できる。経済性低下と排ガス規制でスクラップ処理がはじまっているからだ。全長300m、25ノット(約50km)出せる優良船だ。飛行甲板を貼るだけでF-35B母艦として運用できる。
これも記事が長すぎるんだけど日本がF35Bを運用できる軽空母を保有すると上記のようなメリットがあると言う。たしかにF35Bを運用できる空母を持てば中国の空母などは一蹴できるだろうけど日本近海なら何も空母を持たなくてもいい。またF35Bの能力を疑問視する向きもある。また潜水艦更新能力をそぐことができると言うが、今の中国は結構な経済力を持っているのでどうだろうか。いずも型を軽空母に改装するのは難しくないだろうし、最初からその程度のことは考えて作っているだろう。今後、F35を買い足すことになるのだろうからそのうちの20機程度をF35Bにして必要な時には「いずも型」を補給プラットフォームのような形で使えば行動範囲も広がるしいいのではないだろうか。中国の経済がこけない限り、日本が正面切って海軍力で中国に張り合うのは難しいだろう。ただ中国も日本に武力侵攻を企てるような軍事力を保持するのことは同様に難しいだろう。要は島嶼争奪をめぐる局地戦が発生した時にどうするかと言うことだろう。いっそのこと5万トン級ほどの空母2隻くらいを保有してしまったらどうだろう。でも金がかかるだろうなあ、‥(^。^)y-.。o○。
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2017/12/31 15:02:30