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2023年07月19日

中島飛行機が試作した高高度戦闘機キ87だが、開発の足を引っ張った技術の遅れ、・・(◎_◎;)。

中島飛行機が試作した高高度戦闘機キ87だが、開発の足を引っ張った技術の遅れ、・・(◎_◎;)。 太平洋戦争も中盤を過ぎて末期に近づくにしたがって、敗色が濃くなった日本。苦境に立つ皇国(こうこく)の起死回生を担う最先端の航空機を開発・実用化すべく、日本が誇る技術陣は、その英知と「ものづくり」のノウハウの全てを結集して死力を尽くした。第10回は、万能戦闘機「疾風(はやて)」と並行した高高度戦闘機として、将来を見据えて開発が開始されたものの、優先順位を下げられ、結局、試作機1機しか完成しなかった先端技術機のキ87である。

太平洋戦争開戦直後の1941年12月末、日本陸軍は中島飛行機に対して、制空・防空・襲撃といった多様な任務に対応可能な、次期高性能万能戦闘機の開発を要請。これを受けた同社は、キ84として4式戦闘機「疾風」を設計。同機は期待通りの優秀な機体で、1944年4月に制式採用され、後に「大東亜決戦機」の通称で逼迫する戦時下の集中生産機種に指定された。

かような万能戦闘機を求めた一方で、日本陸軍は、太平洋戦争の緒戦でフィリピン方面において鹵獲(ろかく)したボーイングB-17フライングフォートレスに装備されていた高高度飛行を可能ならしめるターボチャージャーに注目。いずれアメリカは、これを装備した戦闘機や爆撃機を次々に実戦投入するものと判断した。

そこで1942年、当時「疾風」の開発で躍起となっていた中島飛行機に対し、高高度戦闘機としてキ87の開発を要請した。中島飛行機はこれを受けると、かつて自社で開発し傑作エンジンとして知られた空冷星型9気筒の「寿(ことぶき)」エンジンを、18気筒化した試作エンジンのハ44-12ルにターボチャージャーを取り付けたものを搭載し、高高度飛行を可能とすることにした。肝心のターボチャージャーは過熱による発火を危惧してエンジン直後の機首右側面に装着されたが、やはりテストに際しては過熱を免れなかった。

また、主脚はまず90度回して、それから後方に向けて引き込むという日本機にしては珍しい方式を採用した。これは、対重爆撃機戦のため30mmと20mmの機関砲をそれぞれ2門ずつ、主翼内に搭載する重武装を可能とするための措置だったが、当時の日本の技術力では実用化が難しく、テスト飛行に際しても不具合が頻発した。

既述のごとくキ87は重武装なうえ、対重爆撃機戦のために重装甲も施されていた。しかし日本陸軍は「疾風」の開発を最優先させることにしたため、結局、当時の日本にとって先端技術機ともいえたキ87は、試作1号機が完成して何回かの飛行テストに供されただけで、試作2号機は、完成間近で終戦を迎えている。アメリカではすでに実用化されていたターボチャージャーや引込脚の構造に手間取るなど、当時の日本の航空工業技術の限界を感じさせる機体だが、予定では、1945年4月に試作機3機と増加試作機7機の計10機が完成することになっていた。量産までは辿り着かなくとも、試作を終えて問題点をある程度解決したキ87がせめて数10機の規模で完成していれば、日本本土防空戦における対B-29戦闘に、少しは影響を与えることができたかも知れず、これが残念な点であった。(白石 光)


この機体も対B29戦闘のために試作された高高度戦闘機だが、お定まりのエンジンと排気タービン過給器の不調に加えて脚を90度ひねって後方に引き込むという機構がこれまた不調で結局これが命取りとなった。エンジンやプロペラ、そして高高度性能を確保するための過給機の開発製造の遅れはいつものことだが、さらにその何時ものことは油圧作動系や電動作動系にもあった。日本の油圧作動系はオイル漏れや作動不良は当たり前、それで泣かされたのが紫電の2段伸長脚、それ以外にも油圧系のトラブルは頻発していた。電気系も絶縁不良や放電による電力低下、小型高出力モーターの製造ができないなど技術の遅れが顕著だった。キ87も主脚の作動不良で脚を出したまま5回ほど飛行しただけで終わった。中島は脚を回転させて後方に引き込む方式を11試艦上爆撃機で採用している。主翼に切り込みを入れたくないということでこの方式を採用したが、小型の大出力モーターを製造できなかったことから地上ではスムーズに作動したこの脚も空中では作動不良で脚を引き込むことが出来ずにこの機体の命取りとなった。通常の脚引き込み方式を採用してもエンジンのトラブルや過給機の不調などで実用にはならなかっただろう。キ87はハ44の過給機付きエンジンを装備することになっていたが、このエンジンは寿9気筒エンジンを複列18気筒に拡大したもので終戦までに製造されたのは23基だそうだ。このエンジンも量産されればトラブルが続発しただろうし、エンジンと過給機がまともに作れれば機体は紫電改でも雷電でも4式戦でも良かったのであってわざわざ高高度戦闘機など戦闘の機体を作る必要もなかった。立川のキ94もきれいな戦闘機だが、この機体も高性能を歌われたが、実際に試験飛行が始まればエンジンや過給機、与圧室の不調などが続発しただろう。キ94は過給機を駆動する排気ガスの温度を下げて過給機への負担を軽減するために過給機を操縦席の後方まで引っ張っているが、高熱に耐える材質を確保できなかった当時の状況ではそれでも過給機のトラブルは避けられなかっただろう。零戦の後継と言われた烈風はハ43エンジン装備で性能をある程度回復したが、あの機体もバカでかい主翼が足を引っ張っている。翼面荷重を170~180程度に設定しておけば翼面積は25㎡から26.5㎡で抵抗も減るし機体重量も減少して速度もそれなりに出ただろう。ただし運動性能は落ちたことは間違いないが、・・その辺は空戦フラップなどでカバーすればいい。いずれにしてもエンジンの馬力が出ないことには話にならない。戦争初期は何とか英米について行ったが、後半になると大きく水を開けられた。当時の日本では金星の1500馬力が実用エンジンとしては精一杯だった。技術と言うものは地道な研究開発の継続の上に花が咲くもので一足飛びには進歩しない。日本は戦後さらに厳しくその事実を味わうことになる、・・(◎_◎;)。
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Posted at 2023/07/19 18:44:45

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