
国際宇宙ステーション(ISS)に物資を届ける無人補給機「こうのとり(HTV)」2号機を載せた国産最強型ロケット「H2B」2号機が22日午後2時37分57秒、鹿児島県の宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターから打ち上げられた。H2Bは約15分後にこうのとりを予定軌道に投入し、打ち上げは成功した。こうのとりは28日にISSにドッキングする予定。
H2Bとこうのとりの打ち上げは一昨年に続いて2回目。ISSへの大型物資補給を担ってきた米スペースシャトルは今年6月ごろの飛行を最後に引退予定で、こうのとりの存在感と責任は増す。米航空宇宙局(NASA)のリン・クライン宇宙運用局次長は「今の日本は(有人宇宙船などの技術を)獲得することができる」と称賛した。
H2Bは国産主力ロケット「H2A」の増強型。H2Aと合わせた打ち上げ回数は20回となり、失敗はH2A6号機の1回だけ。成功率は95%に達し、商業衛星打ち上げ受注に不可欠な信頼性の高さを示した。
こうのとり2号機は約5・3トンの荷物を搭載。ISS日本実験棟「きぼう」に設置する2台の大型実験装置や今年5月ごろから長期滞在する古川聡さんの宇宙日本食、現在滞在中の米露欧の飛行士6人が使う日用品などを届ける。
ISS参加国の協定で、こうのとりは平成27年度まで年1基ずつの打ち上げが決定している。JAXAは早ければ29年度の打ち上げを目指し、無人帰還カプセルを搭載した改良型の開発を進めており、将来的には有人宇宙船開発につなげる構想もある。今回の打ち上げでは、第2段部分の破片をほぼ無人の南太平洋上に落下させるための制御落下実験を行った。
長さがたったの30センチ、到達高度1,000mのペンシルロケットから半世紀余り、日本のロケット技術は国際宇宙ステーションの活動を支えるまでになった。これも間断ない技術開発の積み重ねがあればこその結果だろう。日本初の人工衛星を打ち上げたL4Sが何度も失敗を繰り返したことがうそのようだ。失敗しても諦めることなくロケット開発を続け、米国のデルタロケット技術を導入しながら、失敗を乗り越えて国産への道を諦めなかったことが今の成功につながった。
技術は常に最先端を目指さないと意味がない。2番ではダメな理由がここにある。この先は有人飛行へとつながるのだろうか。有人飛行はなかなかセンセーショナルだが、その先がないと単に花火を上げただけで終わってしまう。それよりもこうした実用技術開発が地味ではあるが、先につながる効果的な技術だろう。今後も先端技術への挑戦に期待したい。
Posted at 2011/01/22 23:26:47 | |
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