ロシアの軍事専門家がこのほど、日本とロシアが北方領土をめぐって軍事行動に出た場合、日本はわずか4日で北方領土を占領できると発言したことをめぐり、中国の軍事評論家が双方の軍事力を分析した。2月27日付で環球時報が報じた。
記事は、「単純に地上部隊だけを見た場合、ロシアは北方領土に第18砲兵師団を配備しているのみで、国後島と色丹島に合わせて2連隊・数千人と辺境防衛部隊がいるだけだ。一方の日本は、北海道に師団と旅団の合わせて約4万人の陸上自衛隊が駐屯している。90式戦車なども配備しており、北方領土のロシア軍をはるかに上回っている」と分析した。
海に隔てられている北方領土の制空権や制海権については、「日本は千歳基地に第2航空団があり、70機以上のF-15J戦闘機を配備している。これに三沢基地の1個航空団のF-2を加えれば択捉島まで500キロメートル圏内に100機以上の第3世代戦闘機が出動できる。ロシアは樺太に第365戦闘機部隊があるが、Su-27とミグ31を20機あまり配備しているだけだ」と報じ、日本は短時間で制空権をとることができると分析した。
また、日本が北方領土に地上部隊を投入する場合について、日本は重装備の地上部隊を北方領土に上陸させることは難しいと指摘したうえで、「空挺突撃作戦を取るのが最善」と分析。「しかし、日本には1000キロメートルも離れた千葉県に第1空挺団1900人がいるだけだ。日本は最大の島である択捉島に兵力を集中して占拠するのか、それとも兵力を分けて攻撃するのか、空挺部隊の戦力が限られている日本が直面する難問」だと主張した。
日本は強力な海上自衛隊を有しているが、北方領土では限られたサポートしかできないと分析し、「海上自衛隊はドック型揚陸艦や強襲揚陸艦を保有しておらず、海軍陸戦部隊もいない。したがって特別編成艦隊を編成して北方領土周辺海域を閉鎖し、制空権を守るために艦対空ミサイルで戦闘機をサポートし、それから大量の部隊を上陸させ、空挺作戦を援助するだけとなろう。日本にとって大部隊を上陸させることは大きな試練となる」と指摘。
最後に記事は、「日本とロシアの軍事力を比較してみると、日本による北方領土攻略は現実的な目標ではない。単純に北方領土奪還から考えても、日本の軍事力には致命的な欠陥がある。米軍の協力がない限り、数日で占領できるということはあり得ない」と分析した。
周辺に配備されている兵力だけを比較すれば、北方重視の配備を変えていない自衛隊が優勢かも知れないが、日本には両用戦を行うだけの装備がないし、継戦能力もない。ロシアも状況は似たようなものかもしれないが、長期に北方4島を制圧するだけの軍事力は到底ないだろう。
おおすみ型輸送艦を使用しても3個連隊戦闘団程度では短期間に4島を制圧するのは難しいのではないだろうか。その間の制空・制海権の確保という問題もある。北海道のF15、三沢のF2、合わせて80機程度では常時制空権を確保するのはこれまた難しいだろう。
良いところ短期間一部を制圧して確保できるかどうかという程度ではないか。第一、そんなことをしても何の意味もないことだ。どちらかと言えば、現実に実効支配している南西諸島の確保に努めた方が良いだろう。それにしても日本が北方4島を短期間に制圧できるなどと言われるとは日本の自衛隊も随分と進化して強力になったものだ。それだけでも名誉なことなのかもしれない。
Posted at 2011/03/02 22:37:37 | |
トラックバック(0) | 日記