東京電力は12日、福島第1原発1号機で、原子炉圧力容器内の冷却水の水位が想定より低く、長さ約4メートルの燃料棒が完全に露出し、大半が溶け落ちたとみられると発表した。溶融燃料が圧力容器に穴を開け、冷却水とともに外側を覆う格納容器内に漏れた可能性があるとしている。東電は17日に事故の収束に向けた工程表の変更を発表する方針だが、今後の原子炉の冷却作業にも遅れが出るのは確実で、工程表は大幅な見直しを迫られることになった。
これまで圧力容器内の水位は通常時の燃料上端から約1・5~1・7メートル下とみられていたが、水位計を調整して測った結果、5メートル以下と判明。ただ、圧力容器下部の表面温度は100~120度と比較的低く、東電は「燃料は(水に浸かって)冷却できている」としている。格納容器内にも水はあるため、漏出した可能性のある溶融燃料は冷やされて発熱しておらず、水素爆発の危険性は低いとみている。
東電はこれまで、炉心の損傷割合は55%と推定していたが、今回は「溶けて(本来の)燃料棒としての形状を維持できていない」として燃料が完全溶融した可能性を否定していない。経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は、圧力容器内の水位は確認できていないとしながらも「一部の燃料は形を残しながら水蒸気で冷やされている」とし、「一定部分は溶けて(圧力容器の)下にあり、(水で)うまく冷やされている」との見解を示した。
東電は、燃料を冷やすために12日までに1号機圧力容器内に計1万トン余りを注水。現在も毎時8トンを注入し、圧力容器を覆う格納容器ごと水を満たして冷やす「冠水(水棺)」作業に取り組んでいるが、「3千トン近くの水がどこかにいっている」(東電)状況といい、相当量の水が圧力容器底部の溶接部などから漏れ出ている可能性がある。
東電は、圧力容器に確実に注水できるよう、注水経路の切り替えを実施。水漏れなどを受け、今後、注水量を増やすことも検討する。一方、圧力容器損傷の可能性も浮上したことで、収束に向けた工程表にも大きく影響するとみられる。ただ、保安院の西山審議官は「燃料が安定的に冷やされていれば、仮設の冷却装置をつけて冷やすことができる」として、「必ずしも工程表に大きな遅れが出るものではない」としている。
結局、何だかんだ言いながら1号機から3号機まですべてメルトダウンしていたということか。今後、原発の封印・沈静化は相当期間を要することになるだろう。実際に分かってたのを隠していたのか、今回、建屋の中に入って水位計を調整して初めて分かったのか、その辺は何とも言えないが、ある程度予想はついていたんじゃないだろうか。それにしても自衛隊、消防などの決死の放水が最悪の事態を救ったのだろう。
事故レベルも最後には最高の7まで上げたが、最初のうちはそうであって欲しくないという希望的観測もあったんじゃないだろうか。今後も高いハードルをいくつも超えないと今回の原子炉事故は終息しないだろう。最初からもっと厳格なフェイルセーフを考えておくべきだったのだろうが、今となっては後の祭りと言うことだろう。今回の極めて苦い教訓を今後に生かせると良いが、日本のエネルギー政策はバ菅内閣の無策・無能・思い付きパフォーマンスで相当期間迷走しそうだ。
Posted at 2011/05/12 22:48:41 | |
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