2011年05月25日
中国やロシアとの新型ステルス戦闘機に追いつくため、日本は新型戦闘機の購入準備を積極的に進め、第5世代機の穴を埋めようとしている。その中で米国の戦闘機に割り込んで、欧州のユーロファイター・タイフーンが売込みをかけている。
日本は、これまで米国機だけを使用してきたが、欧州の戦闘機にやや気持ちが揺らいでいるという。しかも、戦闘機自体の問題や技術制限が米戦闘機購入にマイナスイメージを与えているようだ。日本は新型戦闘機40~50機を購入する予定だが、F-35は、価格の上昇と開発計画の遅れでかなり難しい状態にあるようだ。しかも、日本には、これをライセンス生産できる見込みは薄い。F/A-18は、完成した機体で問題はないが、飛行性能がやや低いこととライセンス生産も50%程度までと制限がある。タイフーンは、飛行性能もなかなかのようだし、何と言っても100%ライセンス生産を認めるというのが魅力だ。技術もすべて開示するという。
日本の戦闘機生産は今のF-2の生産が今年で終了すると途絶えてしまう。約1,100社が関係するという極めてすそ野の広い先端技術産業だ。参加している会社にしても小さな会社でも驚くべき先端技術を有している。これらがすべて失われるというのは日本にとって大きなマイナスとなるだろう。何とかこれらの先端技術を継承発展させていかないといけないのだが、ここで途絶えてしまうと永遠に失われてしまう。
それなら飛行性能はそう悪くはないというユーロタイフーンを選択して航空機製造技術を継承するというのも悪くない選択だろう。特にF/A-18とならそれほど見劣りするものでもないだろう。飛行性能だけならタイフーンが上かも知れない。対地・対水上攻撃能力もありそうだし、悪い選択でもなさそうだ。
今回の日本の次期戦闘機に対するBAEシステムズ社の意気込みはかなり大きいようで、アビオニクスをはじめとする日本独自の電子機器類の搭載や誘導弾等への対応と、ライセンス生産までも認めるなど、競合機と比べてかなり柔軟な売り込み姿勢をとり、副社長その他の幹部、テストパイロットなどが幾度も来日して会見や日本政府など関係各方面への働きかけを行っているようだ。
また、BAEシステムズ社は、日本におけるタイフーンのメリットを、価格水準と取得性の高さ、機体性能の高さ、日本におけるライセンス生産と日本航空機産業の参加を保証して積極的にアピールしているようで、2007年5月には三菱重工業とユーロファイターの生産ライセンス供与について交渉した事実もあるようだ。
これまで米国機しか使用した実績のない日本の航空自衛隊だが、多少は違いがあっても同じ戦闘機、器用な航空自衛隊のこと、電子機器を日本製にするとか、工夫しながら短期間で使いこなすことが出来るだろう。ヘリや支援機種では欧州製も採用しているようだし。
何よりもこれまで培って発展させてきた戦闘機製造の先端技術を失ってしまうのは取り返しのつかない大きな損失だろう。F-2の製造を縮小して、今回も追加生産を嫌っていたようだが、この辺の機体ならF-2でも良かったようにも思う。戦力の維持と併せて技術の継承と言う観点から、この際、ユーロタイフーンと言う選択も悪くはないのではないだろうか。
Posted at 2011/05/25 23:16:26 | |
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