中国国防省がこの時期に空母改造の公表に踏み切ったのは、8月1日に人民解放軍建軍84周年記念日を迎えるのを前に国威発揚を図る狙いがある。国防省は「研究、試験、訓練用」と説明しているが、国産空母の保有は中国軍の悲願。常時稼働に必要な空母3隻体制に向けて一歩を踏み出したことを国内外に示した。今後、南シナ海の領有権をめぐり対立するベトナムなどとの新たな摩擦要因となる可能性もある。
「(空母を)米国は11隻、イタリアや英仏露、スペイン、ブラジル、インド、タイも保有している。中国が持つのは理にかなっている」。中国中央テレビ(CCTV)は27日、空母特集番組を放送。国防省が「改造中」と明らかにした旧ソ連製空母「ワリャーグ」(6万トン級)の外観や完成までの歩みなどを軍事専門家の解説を交えて紹介した。
さらに▽名称▽進水時期▽艦長の人選▽空母の隻数▽艦載機の種類--が今後の注目点と説明、空母保有に近づいた高揚感を伝えた。「ワリャーグ」は完成後、中国海軍に編入されて海南島・三亜を母港にすると言われている。
中国は70年代から「対台湾闘争や南沙諸島の紛争解決、海洋権益を守るため」(劉華清・元中央軍事委員会副主席=故人)に空母保有を目指してきた。中国軍トップの陳炳徳総参謀長は11日、米軍トップのマレン統合参謀本部議長と会談した際、「(空母が)一隻もないのは中国の発展ぶりや国力に照らせば釣り合わない」と保有に意欲を示している。
中国政府の軍事部門幹部は、空母の稼働、訓練、修理にそれぞれ1隻をあてるため「3隻1セット」が必要だと述べており、3隻以上の国産空母の建設を目指しているとされる。専門家の多くは現在の中国の技術レベルは米国を大きく下回るとの見解を示している。
発表時期について、中国系カナダ人の軍事専門家、平可夫氏は「大連港で既に再三外国メディアに報じられ、これ以上隠せないと判断したのだろう」と推測。「研究段階と強調することで、国産空母の完成が近いことを暗に宣言する狙いがある。中国は資源やエネルギー確保が緊急課題で、地球規模でその確保を安定的にする役割も空母に期待されている」と指摘する。
一方で、浙江省温州市の高速鉄道事故で当局の対応に犠牲者遺族らの不満が噴出する中、国民やメディアの批判を回避しようとしたとの見方も出ている。
高速鉄道で大きく躓いた中国は空母で国威の回復だろうか。しかし、こっちの道もずい分と険しそうだ。今、建造中の空母は旧ソ連が建造を放棄したものをテーマパークにするとか何とか言って鉄くずとして購入したものだが、その後、あれこれ言を左右して空母へと改造を始めたものだ。
それにしても形ができるまで長期間を要しているが、空母という船を作るのにはなかなか難しいところがあるようだ。特に航空機を発艦させるためのカタパルトは戦後米国だけの専売特許で英国、フランスも米国からの技術援助でカタパルトを装備している。米国以外の国ではこれが実用化できずに航空機の発艦に制限を受けている。あるいは短距離離陸・垂直着陸機を運用している。
米国以外で正規の空母を運用しているのはフランスだけだが、これも米国に比べると米国の空母の半分以下の排水量の小ぶりの空母だ。それ以外はAV-8などの短距離離陸・垂直着陸機とヘリを運用する排水量が3万トン以下の多目的空母だ。それでもタイなどは金がかかりすぎて運用に制限を受けている。
中国が空母を作ると言い出して久しいが、技術的には相当な差があるし、運用という点でも今後長期案を要するだろう。まあ、よそ様のことだからどうでも良いが、また、大きな事故でも起こさないと良いが。いずれにしても中国が現実に空母機動部隊を運用できるようになるまでにはまだこの先相当期間を要するだろう。中国も国威発揚なのかなんなのか分からないが、張子の虎のようなものばかり作らないでしっかりとした基礎研究でもすればいいんだろうが、これも国民性なんだろうか。
Posted at 2011/07/28 09:26:11 | |
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