理化学研究所などが発表した新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」論文について、理研の調査委員会が論文の画像に流用があったことを認めた問題は、理研神戸研究所が所在する神戸・ポートアイランドの「医療産業都市」にも影を落としている。論文の筆頭著者の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が所属する理研発生・再生科学総合研究センターは、この医療産業都市の中核拠点でもあり、“理研ブランド”の失速は、神戸市が目指す「先端企業の集積地」構想にも影響しかねない状況だ。
◆iPS研究・「京」も
「論文で誰が見てもおかしい画像を使うなど、理研の信頼性を大きく損ねたのは間違いない」
医療産業都市で働く研究者の一人は、今回の論文問題を冷ややかに見つめる。
同都市には、人工多能性幹細胞(iPS細胞)で目の難病「加齢黄斑変性」を治療する臨床研究を理研と共同で行っている「先端医療センター病院」などの施設があり、今秋にも世界初のiPS細胞を使った網膜再生の臨床研究が行われる見通しだ。
この近くには、計算速度世界一に2度輝いたスーパーコンピューター「京(けい)」のある理研の「計算科学研究機構」もあり、平成26年度に国が開発を始める次世代スパコン「エクサ級スパコン」の誘致も本格化している。
◆「研究者のあこがれ」
年間予算は政府支出金など計約850億円、3千人近い研究者を擁する理研は「研究者のあこがれ。予算も潤沢で、世界で通用する研究所」(研究者)だ。理研などが集まる医療産業都市は企業にとっても魅力が高く、全国各地で激しい企業誘致が行われる中、今年1月には13年度以降の進出企業数が265社に上った。しかし、理研ブランドに傷が付けば、「企業の進出が、さらなる進出を生む」という好循環が崩れる可能性もある。
今回の問題が医療産業都市に与える影響について、神戸市の担当者は「現時点では何も申し上げられない」と言葉少なだが、研究者の一人は「今後、研究者も理研で働くことを敬遠しかねない」と危機感を口にする。
◆担当相からもクギ
今月12日には政府の総合科学技術会議(議長・安倍晋三首相)が開かれ、独立行政法人改革の一環として新たに創設される「特定国立研究開発法人」(仮称)の候補選定が行われた。
特定法人に指定されれば、研究費の予算措置や国際的に優秀な「スター研究者」を招くことができる高額の給与体系などが検討されている。理研は、「産業技術総合研究所」とともに候補に選定されたが、山本一太科学技術政策担当相に「(論文問題への)対応も含め、全体を見極めながら(特定法人を)決定する」とクギを刺された。
理研の対応が後手に回っているという批判の声も上がる中、「STAP細胞論文とは無関係なのに、加齢黄斑変性の臨床研究に対しても無用な不信感を招きかねない」(研究者)などと、今回の問題が医療産業都市に与える影響への不安も広がりつつある。
メディアは論文に切り貼りがあったとか、写真を流用したとか、そんなことばかり報じているが、そもそも30歳の女性研究員を生化学の英雄に仕立てたのはそのメディアだろう。肝心なことは実際にSTAP細胞の生成が事実だったのか、それとも虚偽だったのか、その点だろう。
生成に成功したがその事実にインパクトを与えるために写真を流用したというのと虚偽を信用させるために写真を流用したというのでは話が全く変わってくる。ところがメディアは流用疑惑だのコピペだのとレベルの低い報道に終始して肝心な部分は何ら触れていない。
しかし、どうして一流の研究者が共同で行った研究でこんなことが起こるのか、主任研究員である女性研究員はそれを明らかにすべきだろう。それが学者の良心だろう。そして学者の良心も当然のことだが、メディアも問題の核心をとらえた報道を行うべきで、興味本位のレベルの低い報道を行い、不必要な悪影響を広げることのないようメディアの良心を示すべきだろう。
Posted at 2014/03/15 16:22:45 | |
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