■野党がルール違反連発、与党の配慮で勢いづく
参院は18日午前から19日未明の安全保障関連法成立までドタバタを繰り返した。野党は本会議で長時間の演説で議事進行を妨害する「フィリバスター」を展開し、採決では投票を遅らせる「牛歩」も繰り出した。「良識の府」であるはずの参院で、ルール違反が“横行”した。
「米国と経団連にコントロールされた政治家は辞めろ!」
生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎参院議員は19日未明の安保関連法案の採決時、投票箱のある壇上に進むと立ち止まり、こう叫んでから、そっと事務方に青票(反対)を手渡した。複数の野党議員も投票する際、壇上で「戦争法案、反対!」などと大声で叫んだ。山崎正昭議長が可決を宣言すると、本会議は「憲法違反」コールに包まれた。
◆度重なる警告無視
山本氏は、18日夜の鴻池祥肇(よしただ)参院平和安全法制特別委員長の問責決議案の採決の時、名前を呼ばれても自席から立ち上がらなかった。山崎氏が「投票漏れはございませんか?」と呼び掛けると、確信犯的に「はい!」と右手を挙げて立ち上がった。そして、のろのろと投票箱に向かう牛歩を展開。山崎氏は何度も投票を促した後、「あと1分で投票しないと投票箱を閉鎖します」。その声は疲労と怒りでかすれていた。
安保法成立後、牛歩を繰り返したことについて記者団から「幼稚ではないか」と問われると「幼稚? ありがとうございます。(安保関連法の)中身を知っていくステップになる」と悪びれずに語った。
鴻池氏に対する問責決議案の審議では、民主党の小西洋之参院議員が25分間のはずの趣旨説明を1時間近く続行。山崎氏が何度も警告したが、小西氏は無視。民主党の議院運営委員会理事もやめるように耳打ちしたが、小西氏は応じず、与党からは「ルールを守れ」などのヤジが飛んだ。
民主党の福山哲郎幹事長代理は安保関連法案の討論で、自民党側からの「お前の質問はいつも同じだ」というヤジに対し「僕の質問の議事録を読んだのか!」と気色ばんで反発。最後は「武士の情けはないのか。黙って聞け」と泣き落としともいえる情緒的手法で持ち時間を超える演説を行った。
◆禁止のハチマキ姿
ルール違反は傍聴席にも及んだ。小西氏の趣旨説明中には民主党の辻元清美政調会長代理ら女性議員が、着用が禁じられているハチマキ姿で登場し、衛視に注意される一幕もあった。
ただ、そうした野党の“増長”を与党が許した面も否めない。自民党の衆院側は、遅くとも18日中の成立を目指していたが、参院側が野党に配慮。18日未明にわざわざ8時間の休憩を入れて成立をずれこませ、野党を勢いづかせたからだ。
自民党の佐藤勉国対委員長は成立後、記者団に不満をぶちまけた。
「良識の府である参院で民主党や共産党まで時間オーバーしたことはいまだかつてない出来事だ。ルールにのっとった国会運営が非常に大切だ」
今回の安保法制については確かに憲法9条に照らしてグレーゾーンの部分があるのかもしれない。しかし、それを言い始めれば、憲法9条に照らせば、日本は一切の武力を保持することが出来ないし、自衛権も含めて一切の交戦権も認められていない。憲法を起草した米軍にすれば間違いなくその意味であの憲法を作ったのだろう。
その後、9条論争はあれこれ様々な場面で膨大な時間をかけて行なわれてきたが、今では自衛隊は世界でも有数の戦力を有する実力組織として存在するが、戦後70年、日本が他国を武力で侵すようなことは一切していない。時の政権はそれだけ武力の運用を自制してきたと言うことだろうし、今回の安保法制もそれがベストとは言えないが、あの法制で日本が戦争をする国になるなどという感情的かつ恐るべき理論の飛躍は全く当たらない。
それよりも今回の野党の無能さは目を覆うばかりだった。議論は各論に及ぶこともなく、憲法違反という学者の意見に勢いを得て無用な神学論争を繰り返し、あるいは戦争をする国になる、徴兵制が復活するなどとありえない感情論に明け暮れ、何らの対案も出せず、採決に至ってはセクハラバリケード、暴行などおよそ理性の府とは思えない行動を繰り返し、制限時間を越えた演説はするし、決められたことを守ろうなどという姿勢はかけらも見えなかった。
与党の答弁も反論に配意して引き気味になっていたり、答弁が混乱したりよろしくない部分も見られたが、それなりに安全保障法制を上程して政権を運営する意思と能力を示したが、野党に至っては世論の風潮と感情論に終始し、結局反対野党で終わり、政権担当能力など皆無であることを照明した。
別に自民党が良いとは思っていないが、政権を取っても前回の民主党政権のように亡国政権ではとても政権を任せる気にはなれない。そういう意味で今の日本に政権選択の余地はない。
それからもう一つ、野党にしても法制反対団体にしてもメディアにしても、自国や米国の批判には熱心だが、現実にに武力で周辺国を威嚇し、自国の権益を拡大し、日本の領海へ侵入を繰り返す中国を非難しないのか。個人の自由な意思で集まった思想的背景のない団体などと言うが、これだけ見ても背景があることは知れる。
今回の法制が成立しても日本が海外で武力を行使するとしたらPKOで武装勢力に襲撃され援助を求めてきた他国の部隊や民間団体を救護する程度でそれ以上のことはあり得ない。これは正当防衛や緊急避難の範囲で違法な武力行使とは言えない。自国の政権を批判するのも自由だが、まず先に中国に、「武力による自国権益の拡大を止めて国際法に従って話し合いのテーブルにつけ」と言うべきだろう。それを言わないのはおかしいだろう。
Posted at 2015/09/20 10:26:47 | |
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