朝日新聞が9月7日朝刊で報じた自社の世論調査で憲法改正の賛成が反対の2倍近く、つまり圧倒的に上回るという結果が出た。しかも改正を求める人たちの最も多くが憲法9条を問題にしているという結果も朝日新聞の社論を否定することとなった。だが肝心のこの調査結果を報じる朝日新聞の記事の見出しはまったくそんな事実を隠す形となっていた。
朝日新聞の長年の読者としての私にとってもこの世論調査結果はショッキングだった。
朝日新聞が東京大学の特定の研究室と合同で定期的に実施する日本の国内政治に関する世論調査である。私の記憶では、かなりの年月、続いてきたこの調査でも、また朝日新聞が実施した他の世論調査でも、憲法改正に関して賛成が反対をこれほどの大差で上回るという実例は皆無なのだ。こんな結果だった。
≪憲法改正への賛否について聞いたところ、「賛成」「どちらかと言えば賛成」の賛成派が42%、「どちらとも言えない」の中立派が33%、「どちらかと言えば反対」「反対」の反対派が25%だった≫
要するに、憲法改正に賛成が42%、反対が25%と、改憲派が2倍近い大差で多かったのである。この数字は改憲絶対反対のキャンペーンを長年、必死で続けてきた朝日新聞にとっても衝撃的なはずだ。
しかも同じ世論調査で改憲賛成派の多くがまず第一に憲法9条の改正を求めるという結果が出ていたのだ。この点は朝日新聞の年来の主張とは正反対である。朝日新聞は憲法の改正をたとえ考えても、9条だけは絶対に変えるな、というスタンスできたのだ。改憲を求める安倍晋三首相でさえ、9条改正を迂回して進もうという姿勢をみせている。なのにこんな結果が出てしまったのだ。この点の朝日新聞の報道結果は以下のようだった。
≪改憲賛成派に改憲すべき項目を選んでもらったところ、最も多かったのは「自衛隊または国防軍の保持を明記」で57%、次いで「集団的自衛権の保持を明記」が49%≫
国防軍の保持の明記も、集団的自衛権の保持の明記も9条の範疇である。朝日新聞としてはなんとも不都合な世論調査結果だったのだ。
さてでは朝日新聞はこの結果をどう報じたのか。以下がその記事の見出しだった。
≪7月参院選の投票先 憲法重視層は民進 経済分野自民強み≫
上記のような見出しからはこの世論調査の対象者たちの圧倒的多数が憲法改正を求めていた、という最大のニュース要因は想像もできない。つまり朝日新聞はこの結果を矮小化し、隠蔽に近い見出しの表現を選んだのだ。よほど困ってしまったのだろう。
日本を取り巻く今の安全保障環境を考えれば、「平和憲法堅持・戦争をするな」といくら言い続けても平和が保てないかもしれないと言うことくらいは分かり始めたのだろう。平和憲法と言うのは日本人が、「もう二度とむちゃでバカな戦争はしない」と自戒の念を込めたものであって国際的に有効なわけではない。第2次世界大戦後の国際社会を見れば分かる通り戦争は日本の専売特許ではない。自ら進んで戦争を始める法はない。しかし、国家や国民に危害が加えられようとしているときにそれを払いのける程度の武力行使は認められてしかるべきだし、悲しいことかもしれないが、今の世の中、武力を持たなければ平和を守ることはできない。国家と国民の安全を国際社会の良心にゆだねるのではなく、自助努力で何とかできるように書き換えるべきだろう。
Posted at 2016/09/13 16:58:31 | |
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