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2016年09月28日 イイね!

翼の向こうに(26)




基地は灯火管制が行われていて真っ暗闇だった。正門には完全武装した兵士が歩哨に立ち、そこここに配置された高角砲や対空機銃にはそれぞれ要員が配置されて緊迫した雰囲気が漂っていた。


「搭乗員は明朝○五○○、指揮所に集合。」


「対空戦闘合戦準備、敵の夜襲に備えよ。」

 
拡声器から流れる指示や号令が緊迫した雰囲気を掻き立てていた。私は高瀬と連れ立って飛行長の部屋に報告に行った。高瀬は飛行長に敬礼をすると事務的な口調で言った。


「高瀬中尉、武田中尉、隊員二名とともにただいま帰隊いたしました。」


「ご苦労だった。明日は早い。ゆっくり休んでしっかり戦ってくれ。」


飛行長は今日のことについては何も言わなかった。『敵襲を防ぐことが出来ずに民間人にまで被害を出したことに一番責任を痛感しているのはこの人かもしれない。』私は飛行長の何時になく重い表情を見て思った。私達は飛行長の部屋を出ると宿舎には戻らずそのまま外に出た。


「いやな思いをさせて悪かった。俺が誘わなければこんなことには巻き込まなかったのに。許してくれ。」


高瀬は落ち着いた声で私に謝罪した。


「俺の方こそ何もしてやれずに子供達や貴様の恋人を死なせてしまった。謝らなければいけないのは俺の方だ。許してくれ。」


私は大空に向かって掴みかかるように見開かれた女の目を思い出していた。


「そんなことは構わない。あんな時何かが出来る方がおかしいんだ。貴様は落ち着いて行動して子供を守ってくれたじゃないか。」


「しかし、軍人として、」


「武器を取って戦闘態勢にあってこそ軍人だ。丸腰で敵の戦闘機に一体何が出来る。それに日本は戦争をしているんだ。そしてあれが、今、日本のしている戦争だ。日本人は実体を見極めずにその場の感情で戦争を受入れてしまったが、ひとたび自分に類が及びそうになると場当たり的に手近なところで責任のありそうな者を手当たり次第非難することで自分の責任を逃れようとする。

 
俺は瑞穂が火葬にされる時、彼女の肉が焼けてはじけ、その肉の間から露出した骨が燃え尽きて白い灰になるのをじっと見ていた。戦争は軍人だけでなく国民すべてに過酷であり無慈悲で残酷なものだ。その実体をしっかりと見据えて、それでも戦うことが必要なのか、それを判断してから戦いを始めるべきだったんだ。」

 
相変わらず高瀬の声は特に感情に駆られた様子も興奮した態もなく平静だった。それでも最後に小さくため息をつくように「一緒に通夜でもしてやってくれないか。」と一言付け加えた。私は何も言わずに黙って高瀬に向かって頷いた。


「ちょっと待っていてくれ。」


高瀬は宿舎の方に走って行ったが、すぐに湯飲みを二個と一升瓶を手に下げて戻ってきた。


「余り飲み過ぎると明日に差し支えるから軽くいこう。」

 
瓶には酒は半分も入っていなかったが、その酒でさえ今の重く曇った気分では負担に感じた。高瀬は一人で滑走路の端の方に歩いて行った。そして宿舎から随分離れたところで立ち止まると腰を下ろして茶碗に酒を注ぎ始めた。


「乾杯と言うわけにはいかんし、とにかく冥福を祈るか。」


高瀬は茶碗を捧げるように持ち上げると一口酒を飲み込んだ。


「武田、ここ数日のうちに実戦を経験することになるだろうが、今から言うことだけは決して忘れるな。いいか、生きて帰りたかったら絶対に忘れるなよ。
 一つ、戦闘空域に入ったら直線飛行だけはするな。
 一つ、敵を撃墜しようと思うな。
 一つ、列機と離れるな。
 一つ、後方の注意を怠るな。
 一つ、食いつかれたら急降下で逃げろ。
それからな、これは生き残るためじゃない。戦闘機乗りは派手に敵の戦闘機と渡り合いたがるが、それよりも爆撃前の爆撃機を狙え。戦闘機よりははるかに組みし易いし、爆撃による一般人への被害も防ぐことができる。制空は俺達が引き受ける。ただし敵の後方機銃には気をつけろよ。日本のものと違って威力がある。なめてかかると命取りになるからな。分かったな。」


「高瀬、何だか苦しくてたまらないんだ。戦争だ、軍人だと言って胸を張っても、民間人の、しかも女や子供が我々より先に殺されていく。何故なんだ。あの戦闘機、海軍のトラックが止めてあったから軍隊と間違えたのか。悔しくてやりきれなくてどうにもならないんだ。出来ることならあの敵の戦闘機、叩き落してやりたい。体当たりしても墜としてやりたい。」


「武田、」


高瀬は茶碗の酒を一口飲んでから言った。


「あの高度で子供と部隊を見間違えると思うか。それにあの低空銃撃、奴等、半端な腕じゃない。あれが戦争なんだ。あれが総力戦なんだ。女子供が撃った弾でも当たれば死ぬ。女子供でも武器は作れる。子供でも大きくなれば立派な戦士だ。総力戦とは一回、二回の戦闘に勝利することじゃない。相手の息の根を止めるまで徹底的に叩きのめすことだ。いいか、武田、戦闘に感情を持ち込むな。それが一番の命取りになる。生きてこの国を守ろうと思うなら、合理的に、そして冷徹に戦え。」


「何のために戦うのか、高瀬、貴様は何のために戦う。国家のためとか民族のためとか、そんな抽象的な理由ではなく、何か目に見える、この手でつかむことが出来るそういうものが欲しいんだ。」


「俺もそれを考え始めていたところだ。ただ、今は適当な理由を思いつかない。」


高瀬は立ち上がって作業ズボンに付いた枯れ草を払った。


「さあ、通夜はお終いだ。明日は早い。」

 
高瀬は空になった一升瓶を下げて宿舎に向かって歩き始めた。その後を私も湯飲みを持ってついて行った。宿舎に帰って自分の寝台に横になったが、疲れている割には神経が高ぶっているために容易に寝つかれなかった。無理に眠ろうと目を閉じると機銃掃射で体を砕かれ命を落とした高瀬の恋人や子供達の姿が浮かんだ。そしてその一人一人が助けを求めて必死に自分に向かって手を伸ばしているように思えた。


『軍隊とは一体何のための軍隊で、誰のために戦っているのか。制空権の奪回とは何のための制空権の奪回か。軍隊が今後も軍隊として栄光を保って存在するための戦いなのか。それとも人が穏やかに生活が出来るようにするための戦いなのか。それとももっと他の理由があるのか。』

 
様々な思いは頭の中を駆け巡り、容易に治まりそうになかった。そして何の結論も得られないまま、ほんのしばらくまどろんだだけで『搭乗員、起こし。指揮所に集合。』の号令を聞いた。個人の感情がどうあれ、すでに一年半の軍隊生活を経験している私の体はその号令に自動的に反応した。飛行服を身に着け、マフラーを左手に握り締めて宿舎を飛び出すと停まっていたトラックの荷台に飛び乗った。


「乗車よし。」

 
最後に乗った搭乗員の点呼と同時にトラックは発進した。早春の空は未だ闇の覆いを払おうとはせず、灯火管制下の基地は闇に包まれていた。トラックが指揮所の付近に止まると搭乗員は一斉に荷台から飛び降りて所定の位置に整列した。


飛行隊ごとに点呼を取ると各飛行隊長が飛行長に申告し、その後に司令が指揮台に上がった。


「諸君に戦ってもらう時が来た。徹底的に敵を撃墜して全員が元気に帰還してもらいたい。」

 
司令の短いが意図するところを言い尽くした訓示が終わると各飛行隊長、区隊長に現在の状況及び任務の詳細についての指示があり、その後飛行隊長から本日の任務についての説明を受けた。部隊はここに戦闘準備を完了した。

 
東の空が明けてくると第一次制空隊が発進準備に入った。指揮官の高瀬は飛行長に発進の申告をすると小隊長を示す胴体に白い帯を一本描いた紫電に乗り込んで、まだようやく明るみが差してきたばかりの空に向かって七機の列機を率いて飛び立って行った。

 
高瀬の部隊が離陸してから一時間、第二次制空隊が発進準備を始めた頃、飛行場の上空を大きく旋回しながら哨戒していた高瀬の部隊に異変が起こった。何か銀色に光る飛行物体が編隊の後尾にかぶさったと思った瞬間、二機が爆発して空中に飛散した。その光景を見て待機所の搭乗員全員が立ち上がった。高速で飛行する銀色の物体が高瀬の編隊の中を斜めに横切って前方に抜けて行った。


Posted at 2016/09/28 22:47:47 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説2 | 日記
2016年09月28日 イイね!

統一見解など出そうものなら票田が潰れて票がなくなるから何も言えない民進党




安倍晋三首相の所信表明演説に対する各党代表質問が28日、参院本会議で始まった。就任後初めて質問に立った民進党の蓮舫代表が安倍政権について「スローガンだけは循環している」といえば、首相は旧民主党政権を念頭に「スローガンを重ねるだけでは、社会を変えることはできない」と反論した。果たして“スローガン政治”はどっちか-。

 

「安倍内閣は『デフレ脱却』をスローガンに掲げたが、デフレ脱却ができないまま、内閣改造ごとにスローガンは上書きされクルクル変わっている。『地方創生』『女性が輝く社会』『戦後以来の大改革』『一億総活躍』『未来への投資』-」

 

蓮舫氏はこう切り出し、安倍首相の政権運営を批判した。続けて蓮舫氏は「スローガンだけは活発に循環しているが、経済はまったく好循環にならない現実にそろそろ向き合っていただきたい」と断言し、経済政策の転換を求めた。

 

さらに消費税率10%への増税を再延期した首相の判断について「アベノミクスは成功だとしながら、2回も消費税増税を先送りしたのは矛盾だ」と述べ、「新しい判断ではなく、『ごまかし』だ」と追及した。

 

これに対し首相は「参院選で国民の信を問い、連立与党は安定した政治基盤をいただいた。矛盾、ごまかしとの指摘は当たらない」と冷静に反論した。

 

論戦のテーマが変わるにつれ、首相のボルテージも上がっていった。

 

蓮舫氏は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で今年6月までの15カ月で10兆円の運用損が出ていることを指摘し「国民の不安をあおるかのような年金積立金の運用はやめるべきだ」と述べた。首相は「安倍政権3年間で27・7兆円の運用益だ。短期的な評価損をことさらに取り上げて年金制度に対する不安をあおることは慎むべきだ」と反論した。

 

子供の貧困対策では、蓮舫氏は政府の対策について「効果は薄い」としたのに対し、首相は「民主党政権は児童扶養手当をたったの1円も引き上げなかった。重要なことは言葉を重ねることではない。結果だ。百の言葉よりも一の結果だ」と色をなした。

 

待機児童解消に向けた保育士の処遇改善をめぐっては、蓮舫氏は政府が予定する月額6千円の報酬引き上げについて「この加算では人材不足は解消されない。待機児童問題の解決にはつながらない」と批判。首相は「民進党は保育士の処遇改善を何ひとつ行わなかった。それどころか、給与が何と1・2%下がった。安倍政権は継続して処遇改善を行う」と述べた。

 

そのうえで首相は「ただスローガンを重ねるだけでは、社会を変えることはできない。具体的な政策なくして、そのスローガンを現実のものとすることはできない。具体的な政策を提案し、実行し、そして結果を出していく決意だ」と民進党を皮肉った。この発言を、蓮舫氏ら民進党議員は笑いながら聞いていた。




笑うしかない民進党のこの現実、ああ、これからはレンホー党首のご尊顔を拝することが多くなるんだねえ。怖いもの見たさ??できればあまり見たくないがねえ。まあ、お互いに意見を出し合って議論していくその上に形が出来上がって来るんだろうけど、「ひっこめろ、そんなの反対・・。」では何も生まれない。そして民主主義の原理に従って議決すれば、「強行採決」と用意したプラカードをテレビカメラに向かって広げる。どういう形でも党の統一見解など出そうものなら党がぶっ壊れて票がなくなるから反対するしかないこの悲しい現実、・・。あ、だからシールズと一緒になるのか。似たようなレベルだから、・・。


Posted at 2016/09/28 16:26:43 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治 | 日記
2016年09月28日 イイね!

あっちこっち顔色を窺っては何もできない民進党




■TPPや消費税で自民の責任強調も…

民進党の野田佳彦幹事長が27日の衆院本会議で、新執行部のトップバッターとして代表質問に立った。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や消費税率の引き上げなど自身が首相時代に進めようとした政策が、安倍晋三政権の失策で困難になったと主張。安倍首相に責任転嫁しつつ旧野田政権と今の民進党の立場との整合性を説明したが、逆に首相から「決める政治」をアピールされるなど迫力不足は否めなかった。

 

「平成24年の衆院選で『TPP断固反対』と約束したのは自民党の安倍総裁。政権を奪ったら舌の根も乾かぬうちに交渉参加するなど、言語道断だ」

 

野田氏は代表質問で、TPPに関する安倍首相の変節を指弾。安倍政権下の交渉で「聖域」とされた農産品重要5項目を守れなかったなどとして、「われわれが参加を躊躇(ちゅうちょ)していたものをのみ込んだとしか思えない」と指摘した。

 

憲法改正論議では「自民党は国民の権利を軽んじる党憲法改正草案の実現を目指して議論に臨むのか」とかみつき、「本気で議論する気があるなら、まずは自民党総裁として草案を撤回してほしい」と迫った。しかし、そもそも23年11月にTPP交渉参加国との事前協議入りを決断したのは、当時首相だった野田氏だ。本来は改憲論者でもある。

 

それだけに、TPPに関して、首相から「決断すべきときに決断しきれないという過去の轍(てつ)は踏まないように全力を尽くしたい」と皮肉られる始末。憲法改正でも、改憲派と護憲派が対立して具体論になかなか入れない党内事情を突かれ、「各党が考え方を示してこそ建設的な議論ができる」などと反撃を受けた。

 

野田氏は、消費税率10%への引き上げを31年10月まで2年半再延期した首相判断について「アベノミクスの失敗で再延期はやむを得ない状況になった」と批判した。ただ、民進党は岡田克也前代表が今年5月の党首討論で再延期を容認しているためか、かつてブログで「国民に土下座しても予定通り引き上げるべきだ」と主張した威勢の良さは影を潜めた。

 

野田氏は複雑な党内事情に縛られ、首相がのめない提案や首相批判を先行せざるを得なかったようだ。自民党からは「野田氏とはもっと骨太の議論ができると思ったが、カメレオンのように批判一色に変節した」(幹部)と冷笑する声があがった。




民進党が憲法改正草案だのTPP推進だのと言ったら党自体が崩壊してしまうだろうが、一回崩壊させて政治理念や政策を同じくする者が集まって政党を作った方が政権への近道ではないか。あっちこっち顔色を見ながらでは結局何もできないだろう。TPPは賛否意見があるだろうが、日本の一次産業を改革するいい機会だと思うが、どうだろう。日本の一次産業は大規模化、ブランド化を推進しないと生き残っていけない。それを進めるいい機会だろう。防衛機の自由化と言うのは時代の潮流で避けては通れないだろう。





Posted at 2016/09/28 16:25:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治 | 日記
2016年09月28日 イイね!

自民党憲法改正草案を白紙撤回しろと民進党は言うが、・・。




安倍晋三首相は27日の衆院本会議で、民進党の野田佳彦幹事長による代表質問で自民党の憲法改正草案の撤回を求められ、「各党がそれぞれの考え方を示すことが大切だ。自民党草案を撤回しなければ議論できないという主張は理解に苦しむ」と反論し、民進党こそ憲法に関する考え方をまとめるよう求めた。

 

野田氏は質問で「民進党は現行憲法に足りないところがあれば、憲法を改正しようという立場だ」と述べ、憲法改正を忌避しない姿勢を強調した。

 

首相はこれを受け、憲法改正について「最終的には国民投票で国民が決める。国会の憲法審査会という静かな環境で各党が真剣に議論し、国民的な議論につなげていくことが必要だ」と指摘。

 

そのうえで「特定の党の意見への批判を繰り返し、取り下げを求めるのではなく、自らの考えをしっかりと提案し、議論を戦わせることで初めて建設的な議論が可能になる」と述べ、具体的な改憲案を示さない民進党を皮肉った。




たたき台がなければ話は進まないのでこれは安倍総理が言う通りだろう。先ず「ひっこめろ」じゃあ何も先へは進まない。自分とこの案を出しゃあいいじゃないか。もっとも、「出せるものなら」と言う言葉がその前に来るが、・・。

Posted at 2016/09/28 16:24:08 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治 | 日記

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ntkd29です。CB1300スーパーボルドールに乗って11年、スーパーボルドールも2代目になりました。CB1300スーパーボルドール、切っても切れない相棒にな...
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