築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の建物下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、小池百合子東京都知事(64)は1日、第2回となる検証報告書の公表を行い、2011年に市場長を務めていた中西充副知事など実務上の決定者8人が懲戒処分対象であることを明らかにした。ただ、盛り土しないことの発案者を特定することはできず、“犯人捜し”はあいまいな形での幕引きに。地下水の上昇や水銀の検出、業者への補償など山積みのままの問題解決に、不安が残る対応となった。
「いつ、誰が決めたのか。その責任をきっちりと突き止める」という小池氏の執念は、あいまいなまま終わりを迎えることになった。
前回9月30日の報告書では「2008年10月~13年2月の間に、段階的に盛り土をしない方針を決めた」とし、責任者の特定ができなかった小池氏。その後の職員ら28人へのヒアリングから作られたこの日の報告書により、基本設計が起工された10年11月から、実施設計で盛り土なしが最終的に確定した12年5月までの間に要職にいた中西氏ら計8人を責任者とするしかなかった。8人を懲戒処分とするとしたが、公務員ではないOB4人への対処方法は決まっていない。
再調査が難航したのは、方針決定の核心部分が各職員の記憶頼みになったからだ。再調査では11年8月の部課長会議で盛り土なしの方針が決まったとの「複数証言」を得たが、当時の部長は否定するなど、職員の主張に食い違いが残った。当時トップだった石原慎太郎元知事(84)は都の質問状に「記憶がない」と文書で回答しただけだった。
小池氏の後に会見した中央卸売市場の幹部が「(発案者は)誰とは申し上げにくい」と苦渋の表情を見せた。ある都幹部は「組織的なステップを踏んで盛り土をしないことが決まっており、誰かが思いきって決めたわけではない」と話した。
豊洲においては、盛り土以外の問題も小池氏にのしかかっている。地下空間の安全問題に加え、当初予定だった今月7日の移転を見越して設備投資をした業者への補償問題もある。
小池氏は「今回、地下空間の問題を明らかにすることで、今後の改革において一つのケースになる」と強気な様子を見せたが、次のハードルとなる安全性確認の成否は見通せず。「ロードマップを近いうちに示す」として移転時期も宙に浮いたままだ。
中西氏と、その前に市場長だった岡田至氏について小池氏は「2人はヒアリングでは(盛り土をやめた)報告を受けていないとしていた。ただ、たとえ知らなかったとしても局の最高責任者であり、知り得る立場。知らないでは済まされない」と断罪したが、“伏魔殿”に斬り込むことはできなかった。
◆豊洲盛り土問題の経過
▼2001年12月 豊洲移転決定
▼08年7月 専門家会議が敷地全体で盛り土提言
▼09年2月6日 都が敷地全体の盛り土実施を決定
▼10年11月 基本設計起工。11年6月の完了時には地下空間が示される
▼8月18日 部課長会議で地下空間設置を実務的に決定
▼12年5月 盛り土を実施しないことが最終的に確定
▼14年2月 建設工事着手
▼16年8月31日 小池知事が移転延期を表明
▼9月10日 小池知事が盛り土をしていなかったと発表
▼30日 都が検証報告書を公表。責任者は特定できず
▼10月7日 報告書の一部に誤りがあり、小池知事が再調査を表明
▼13日 小池氏が岸本良一中央卸売市場長を事実上の更迭
▼15日 地下空間の大気中から国の指針の最大7倍にあたる水銀が検出
▼11月1日 小池知事が新たな検証報告書を公表
このおっかさんは何が世間の注目を集めるか、どんなことをすれば世間が喝采するかを見極める政治家と言うよりもキャスター的な能力はあるが、ではその問題をどう処理するかと言うことになるとなんだか怪しくなってくる。豊洲も誰がそうしたかではなくもうできてスタート直前まで来てしまったあの施設をどうするかが政治家の仕事だろう。いつまでも盛り土をしなかった犯人捜しよりもそっちが大事じゃないのか。バックのない一匹狼だから政治よりも自分の支持を取る方が忙しいのかもしれないが、・・。
Posted at 2016/11/02 15:43:33 | |
トラックバック(0) |
政治 | 日記