トランプ米大統領が、日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象に尖閣諸島(沖縄県石垣市)が含まれると明確に認めた。尖閣を脅かす中国に対する強烈なメッセージになったことは間違いない。だが、それでも中国が尖閣から手を引くことは決してない。
「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国固有の領土だ。日本はたびたび外国の支持を求めているが、この問題で外国の支援に頼っても無駄だ」
トランプ氏に先立ちマティス国防長官、ティラーソン国務長官が相次いで尖閣への5条適用を明言したことに、中国外務省はこう反発していた。中国は尖閣の領有権を、決して譲れない国益である「核心的利益」に位置づけている。トランプ政権による5条適用の明言が痛打だったことは明らかだが、あっさり引き下がる国ではない。
むしろ、尖閣をかすめとろうとする手口はより狡猾に、したたかになる可能性もある。
日米安保条約には、日本の“施政下にある領域”に武力攻撃が発生した場合に、日米が共通の危険に対処すると明記されている。読み替えれば、日本の施政下から外れれば、日米安保条約の適用対象ではなくなり、米軍が動くこともない。
その好例が、北方領土と竹島だ。日本は北方領土と竹島の領有権を主張しているが、実効支配しているのはロシアであり韓国だ。残念ながら日本の施政下にあるとはいえず、日米安保条約の対象とはなっていない。北方領土でいくらロシア軍が跋扈し、竹島で韓国軍が上陸訓練をしても、米軍が動くことはない。
中国の狙いもそこにある。尖閣の実効支配を実現し、日本の施政下とはいえない状況をつくり出せば米軍は手出しできない。
ただ、いきなり中国海軍を投入して尖閣を奪取しようとすれば「武力攻撃」とみなされ、安保条約に基づき強力な米軍が来援する。そこで中国は、軍ではなく警察組織である海警局の公船を活用した圧力を一層強めてくることが予想される。
これまでも中国は、3隻の公船を月に3回、2時間ずつ尖閣周辺の領海に侵入させてきた経緯がある。「3-3-2フォーミュラ」と呼ばれる戦術だ。これを「4-4-3」、「5-4-3」とペースを上げ、徐々に既成事実を積み上げようとする可能性が高い。
また、中国人民軍の代わりに、海上民兵をより積極的に投入することも想定される。昨年夏に尖閣周辺に押し寄せた大量の中国漁船には、100人以上の海上民兵が乗り込んでいた。尖閣奪取で主力を担うのは、この海上民兵だと危惧する声もある。
中国のこうした手口は、少なくとも表面上は“非軍事的”な行動のため、自衛隊に「防衛出動」を発令するのは不可能だ。警察権に基づく「治安出動」や「海上警備行動」を発令し、自衛隊が対処する選択肢もあるが、「先に軍隊を出したのは日本」だとの口実を中国に与えることになる。米国をはじめとする国際社会の賛同を得られる可能性も低い。
中国の公船や民兵に対応するのは、海上保安庁や警察だが、人員・装備の面で圧倒的に劣っている。中国はこの“隙間”を狡猾に突き、尖閣の実効支配を強めようとするはずだ。
日本は昨年、集団的自衛権を限定的に行使できる安全保障関連法を施行したが、この隙間は手つかずのまま残された。海保の能力増強や権限の拡大など、日本を守るために検討すべき課題は多い。米国が尖閣への安保適用を明言したからといって、安心している場合ではない。
領土と言うのは血で購っても守り抜くものと言うのが一般の国家の考え方、話し合いで領土が戻って来るなどと言うのは日本だけが抱いている幻想、妄想の類だろう。本当に領土を取り返そうと思うなら軍事力を行使して奪還するしかない。で、北方4島と竹島はアウト、残るは尖閣諸島だけだが、ここは実効支配という超強力兵器を持っている。中国が民兵を使ってくるなら警察や海保で対応して撃滅されて自衛隊を出すか、海保の尖閣警備隊に軍隊並みの装備をさせて海兵隊的な部隊も指揮下に入れておくか、そのどちらかだろう。海保も警察も撃滅されるのは間尺に合わないのでやはり海保に軍隊並みの装備と部隊を持たせるべきだろう。
Posted at 2017/02/15 15:11:07 | |
トラックバック(0) |
軍事 | 日記