万が一への備えのフネ、北海道へ
白黒の大きな船体で苫小牧西港に近づくフェリー。やがて接岸すると、なかからは迷彩服を着用した自衛官と、自衛隊の大型トラックが出てきました。2018年9月6日未明に発生した北海道胆振東部地震を受け、貨客船「はくおう」が隊員や車両などを輸送してきたのです。そして「はくおう」自身はこれから数日間、被災者向けの入浴支援を実施します。
民間船舶である「はくおう」は、防衛省がPFI契約に基づいて、自衛隊の訓練や災害発生などの緊急事態に使用するためチャーターしているフェリーです。普段は、民間企業が乗員の訓練や整備を行っていますが、必要とあれば、防衛省が主体となって「はくおう」を使用して、自衛隊の部隊などの輸送や被災地支援をするために運用されます。
このPFIとは、公共サービスを提供するときに、民間の資産や資金、施設などを活用する「民間資金等活用事業」のことです。PFI事業の目的は、事業コストの低減・効率化、事業の質の向上、人的資源の有効活用です。
例えば「はくおう」の場合、普段は民間に維持管理を委託することによって、防衛省としては維持費の捻出が抑えられるほか、自衛官を配置する必要もなくなるため、人的資源を効率的に運用することができます。
同じPFI契約で運用される船舶には「ナッチャンWorld」というフェリーもあります。「ナッチャンWorld」と「はくおう」は両方とも特別目的会社「高速マリン・トランスポート」が保有するフェリーで自衛隊や在日米軍の輸送業務を請け負いつつ自衛隊の輸送などを行っていない時は一般客向けのクルーズなども行っています。
「はくおう」はどんなフネ?
前述のように、「はくおう」が北海道胆振東部地震を受け、9月13日より被災者支援を開始するため、苫小牧西港を訪れました。港に接岸する「はくおう」の全長は199.5mです。これは、海上交通安全法によって定められている全長200m以上の巨大船に分類されないための措置だといいます。そうすることによって巨大船が受ける各種の制約を回避することができ、国内の様々な水路を通過し、各地の接岸可能な港湾施設に入っていくことができるのです。
取材したのは入浴支援開始予定日の前日、9月12日でした。遠くから見えていた大きな船体が、ゆっくりと苫小牧西港に近づいてきます。無事に接岸して、後部のドアが開くと、なかから陸上自衛隊の大型トラックが降りてきました。北海道の大地に降り立ったトラックは、関係者と調整したあとに、被災地に向けて出発します。これから、物資集積所と避難所を結ぶ輸送任務に従事するそうです。
停泊している「はくおう」の船内では、被災者支援のための準備が着々と行われていました。そうしたなか船内を案内してくれたのは、防衛装備庁調達事業部の今泉事務官です。
「客船」だからこそ可能な被災者支援を
乗船すると広い車両甲板を通過します。その中央に客室へ上がるためのエレベーターが設置してありました。被災者が安全に迷うことなく進めるように、三角コーンで道が作られ、張り紙も多く準備されています。
ロビーまで上がると、そこは豪華客船並みの内装が広がっていました。ロビー入り口には医療相談コーナーが設置され、血圧測定と簡単な問診を行ってくれます。受付を済ますと、船内の浴場まで案内されます。浴場は一度に20名ほどが入れる空間になっていて、大きな窓が設置してあることから、外の景色を眺めながらお風呂に入ることができます。隣の部屋は洗濯室になっていて、洗濯機と乾燥機を無料で使用することができます。また、無料で使える洗剤も設置されていました。
再びロビーに戻ると、大きな冷蔵ケースにお茶やソフトドリンクがギッシリと詰め込まれていて、「おひとり様1本まで」との貼り紙が目に入りました。その近くには、持ち帰り自由な子供向け自衛隊関連グッズが置いてあります。ロビーの中央にある階段を上がり、更に奥に進むとレストランがありました。ここでは、ゆったりとしたソファーに座りながら、陸上自衛隊第7音楽隊の演奏を聴くことができます。
一般の客船でいう2等客室が休憩所として開放されていて、ここでは携帯電話などの充電をすることもできます。個室は授乳室として解放されており、必要であればいつもで使える状態になっていました。こうした被災者への生活支援は各地の被災地で行われていて、苫小牧に来た「はくおう」は、西日本豪雨の被害にあった広島県でも、同様の被災者支援を行ってきました。また、岡山県では、客室の一部を解放して、宿泊支援も行っています。
自衛隊は輸送艦不足を補うために高速のフェリーや客船を必要に応じてチャーターしている。この「はくおう」も30ノットの高速と1000人近い人員と200両の車両輸送能力を持ち「ナッチャンワールド」とともに自衛隊の海上輸送能力増強の核となっている。買い取って運用と言う話もあったようだが、維持管理などの問題でチャーターになったようだ。こうした船は元が客船なので居住性は悪くはないので災害の際の避難船や野戦病院キットを載せて応急の病院船として使用することも可能なのでそれなりに重宝するだろう。ただ、戦時の運用をどうするのかちょっと気になるところではあるが、・・(^。^)y-.。o○。
Posted at 2018/10/27 12:26:23 | |
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