【日本復喝】
迷走した揚げ句の政権放り投げである。政局のドタバタ劇は見慣れているが、今回ばかりは「見苦しい」としか言いようがない。何しろ、菅義偉首相は、首相の専権事項である衆院解散を一夜にして白紙に戻すという禁じ手を打ったからだ。新型コロナウイルス対策もこの調子で、泥縄でやっていたのではないかと疑われるほどである。このうえは、次の自民党総裁に日本の将来を期待するしかなくなった。とはいえ、衆院選で与党が勝つとはかぎらないから面倒だ。自民、公明の与党が政権を維持するという前提で、所見を述べてみたい。
結論から言うと、次の総理総裁にふさわしいのは、大乱世を制することのできる人物である。かつて自民党副総裁だった金丸信氏は、首相候補について、「平時の羽田、乱世の小沢、大乱世の梶山」と「格付け」してみせた。短命政権に終わった羽田孜元首相と、権力の二重構造をつくって羽田氏や鳩山由紀夫首相を操った小沢一郎元自民党幹事長(現・立憲民主党衆院議員)、夢を果たせなかった梶山静六元官房長官のことである。観測気球の打ち上げ名人だった金丸氏ならではの命名である。羽田氏は自民党と社会党が与野党を仕切ってきた55年体制の終焉(しゅうえん)という「乱世」にババを引いた。
この文脈で語れば、コロナ禍という大乱世に一敗地に塗れた菅首相は平時の人だ。出馬表明した岸田文雄前政調会長も、平時の人っぽい。隣近所に住む分には付き合いやすい人物なのだろうが、「火事だ、災害だ」というときに頼れるのか。人は良さそうなのだが、「この国を守る」という確固たる信念や矜持(きょうじ)というものが伝わってこないからだ。
今、国内にあってはコロナ対策に追われ、国外では中国、ロシア、北朝鮮という強権主義国家に囲まれている。強いリーダーシップを発揮して、この国家を、1億2000万人の国民を引っ張るだけの人物に出てきてもらわねば、明るい将来は描けない。出馬の意向を示した河野太郎行革担当相は国民的人気は高い。だが、年齢も若く、党3役の経験もない。「女系天皇容認論者」という点も気になる。この大乱世を鎮める指導力を発揮できるかどうかは、未知数だ。
そこで注目したいのが高市早苗前総務相だ。1日発売の月刊「正論」10月号で、「日本を安全で強い国にする」と宣言してみせた。その意気は良し。高市氏は、マーガレット・サッチャー英元首相を理想とし、1982年の英国とアルゼンチンとのフォークランド紛争を例に挙げ、国を守るためには武力行使も辞さないという決断を高く評価している。高市氏が「女性初の自民党総裁」にでもなれば、話題が話題を呼んで壊滅的な敗北が予想されている衆院選で与党の劣勢挽回も期待できよう。ウイグル人への人権弾圧に対し、国会の非難決議一つできず、中国への融和的な政策が続いて保守層離れが顕著な自民党の凋落に、ブレーキをかける役割を果たす可能性もある。いずれにせよ、現職首相の不出馬表明でタガのはずれた自民党総裁選の行方は、しばらく混迷を深めそうだ。=おわり
■佐々木類(ささき・るい) 1964年、東京都生まれ。89年、産経新聞入社。警視庁で汚職事件などを担当後、政治部で首相官邸、自民党など各キャップを歴任。この間、米バンダービルト大学公共政策研究所で客員研究員。2010年にワシントン支局長、九州総局長を経て、現在、論説副委員長。沖縄・尖閣諸島への上陸や、2度の訪朝など現場主義を貫く。主な著書に『静かなる日本侵略』(ハート出版)、『日本が消える日』(同)、『日本復喝!』(同)など。
菅さんは有事の感覚に欠けていた。コロナ対策とともに経済も傷つけまいと二兎を追って大失敗した。またこの人は権力を背景に相手を恫喝して言うことを聞かせてきた人だ。ところが国民には恫喝は効かない。今の日本人は「お上が一緒にやってくれないとダメ。きちんと分かるように説明してくれないとダメ」と言う超他力本願の国民だ。ところが権力の威力を背景に仕事をしてきた菅さんには「丁寧な説明」がなんで必要なのかも分からなければ説明自体ができない。それでコケた。次の候補だが、岸田さんは正統派だが、何となく弱さを感じるし、思い切った大胆なことはできないだろう。河野さんは発信力や突破力はあるが、物言いや行動にちょっと危ういところがある。経験不足もあるだろうが、何かあると足をすくわれそうな気がする。石破さんはもう過去の人だろう。寝返ったりもしているし、自民党内で独自色を出そうと自民党内極左のような存在になってしまって主流に嫌悪されている。世論的には人気があるが、もう総理総裁は無理だろう。高市さんは超右翼らしい。ただ女性の地位が低いと言われる日本で第100代総理大臣が女性と言うのもいいかもしれない。中国は対中強硬論者のこの人が総理大臣になるのを一番嫌がっているそうだ。まあ誰がやっても神輿を担いでくれる人の利益を図らないといけないのでそうそう革新的なことはできないだろうが、この際だから女性と言うのもありかもしれない。女性天皇容認と言うことでは河野さんだが、代り映えと言う点では高市さんだろうか。まあ菅さんが退いたので選挙で大敗することはないだろうが、‥(^。^)y-.。o○。
Posted at 2021/09/08 18:12:36 | |
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