STAP細胞論文を巡る問題で、理化学研究所の調査委員会(委員長、桂勲・国立遺伝学研究所長)は26日、最終報告書を発表した。論文でSTAP細胞由来とされた細胞は、既存の万能細胞であるES細胞(胚性幹細胞)だったとし、「STAP論文は、ほぼすべて否定された」と結論付けた。
◇
「ここで認定された研究不正は『氷山の一角』に過ぎない」「『責任ある研究』の基盤が崩壊している」。報告書は、不正論文を生じさせた根本的な問題を強い表現で非難した。
調査委は捏造(ねつぞう)を認定した2件以外に10件の図表類を含む疑義を調べたが、小保方(おぼかた)晴子・元理研研究員が担当した実験ではデータがほとんど存在しなかった。本当に行われたかが分からない実験もあった。このため、調査委は「不正かどうかの認定ができない」との苦渋の判断をする事態になった。
小保方氏は当時、共著者で指導役の若山照彦氏の研究室で一人だけ研究テーマが異なり、研究メンバー間の議論やチェックを受ける機会が少なかったとされる。真相解明には小保方氏自身が持つ実験データが欠かせなかったが、調査委の求めに応じて提出したデータはわずかにとどまった。
著者らが踏みとどまれる機会はあった。2012年、研究チームが今回とほぼ同じ内容の論文を米科学誌サイエンスに投稿した際、審査した査読者からES細胞(胚性幹細胞)混入の可能性を指摘された。毎日新聞が入手した資料では、同時期に当時の共著者間で、どう対応するかを議論した形跡がある。だが共著者たちは、調査の過程で「未熟な研究者」と指摘された(小保方氏のデータを再検証することはせず、補強のためのデータを出すことを求めた。
小保方氏は、今年1月に論文が発表された直後、英ネイチャー誌の取材にこう答えた。「(STAP細胞とは)別の細胞では得られないデータを集める努力をした」。今回、小保方氏による捏造が認定された図では、小保方氏自身も仮説に沿ったデータにするための「操作」を認めたという。
調査委はこの不正の背景に、若山氏の「過剰な期待に応えようとした」側面があると分析。指導やデータの正確性の検証を怠り、「捏造を誘発した」と指摘した。若山氏はこの日、「重要な新発見を世に出したいとの思いから、提示されたデータの不正を見抜くことができなかった」とのコメントを発表した。
研究不正に詳しい山崎茂明・愛知淑徳大教授は「小保方氏の『成果』を利用しようとした共著者も責任は重い。調査委はより多くの共著者を調査し、その証言をありのまま公開する必要があった」と話した。
「特許や研究費獲得、著名雑誌への論文掲載に夢中になるあまり、研究の中身への注意がおろそかになったことはないか」。調査委報告書の指摘は科学界全体への問いかけと言える。
◇
STAP細胞の研究で使われた細胞について、調査委が既存の万能細胞であるES細胞だった可能性が非常に高いと判断したのは、小保方氏や若山氏の研究室に残された試料の遺伝子の特徴を、詳細に解析した結果からだ。
STAP細胞は増殖しないとされ、細胞そのものはなかったが、条件を変えた培養で増えるようにした「STAP幹細胞」と、胎盤に変化できて増殖もする「FI幹細胞」は残されていた。それらの幹細胞5種類と、混入した可能性があるES細胞7種類を比べると、遺伝子の特徴が99%以上一致。調査委は、これらの幹細胞はES細胞だったと認定した。万能性の根拠となるマウスや良性腫瘍の実験についても、ES細胞が使われた可能性が非常に高いと分析した。
STAP細胞や幹細胞の作製実験は、主に小保方氏と若山氏で取り組んでいた。だが当時、研究所内の誰でも夜中にSTAP細胞の培養器や冷凍庫に触れることが可能だったこと、関係者全員が混入への関与を否定したことなどから、調査委は「誰が混入したかを特定できず、従って故意か過失かも決定的な判断はできない」と述べ、真相を解明できなかったことに、「調査委の能力と権限の限界」と記した。
さらに、混入したES細胞の由来について、新たな謎も浮かんだ。一部の幹細胞が若山研の元メンバーが作製したES細胞と同じであることが判明したが、小保方氏の研究室にもその細胞が残されていた。小保方氏が理研で研究するようになったのは、元メンバーの移籍後。このため、元メンバーも小保方氏も「なぜ(小保方研究室に)あったか分からない」と説明するなど、ES細胞混入の経緯は闇に包まれている。
仮説を立てて実験したが、うまくいかない。後に引くことは出来ない。ES細胞を使ってSTAP理論が実証されたように偽装する。そのためにデータを改ざんしたり、ねつ造したりしてつじつまを合わせようとする。そして大々的に発表する。データを改ざんしたり捏造するのは作為があるということだからその時点で不正を認識していることになるはずでそれが過失とは言い難い。細胞の混入も過失であるなら結果は変わるはずだろうし、その時点で気が付くはずだ。STAP細胞疑惑はすべて作為の下で行われた行為に他ならない。科学者がどうしてこのようなことをするのか、そこには名誉と巨額の研究費獲得と言う利権があるのだろう。常に冷静かつ客観的な姿勢で真理を求めるべき科学も名声と利権に汚染されていくのだろうか。研究には金がかかる、その金を得るには目覚ましい成果を上げて名声を得るしかない。それを得るために不正をしていたのでは化学は進歩しない。
Posted at 2014/12/27 00:12:46 | |
トラックバック(0) |
その他 | 日記