理化学研究所は19日、STAP細胞の有無を確かめる検証実験の打ち切りを発表、STAP細胞の存在は証明されなかった。論文の中心となった小保方(おぼかた)晴子・理研研究員(31)の退職も決まり、理研でのSTAP細胞研究は終止符を打つ。検証実験の総括責任者、相沢慎一・理研特任顧問は記者会見で、STAP細胞の有無について「科学者として再現できなかったとしかいえない」と繰り返し、「あるのかないのか」について明言しなかったが、STAP細胞が存在する可能性は極めて薄くなった。
STAP細胞論文では、万能性に関連する遺伝子の一つが働くと緑色に発光するよう遺伝子操作したマウスの細胞を使った。小保方氏らは検証実験で論文に記載された通りの手法を試したが、緑色に光る細胞のかたまりはわずかしかできなかった。さらに、その多くの発光は死にかけた細胞が発する「自家蛍光」と確認された。
それらの細胞を詳しく調べても、万能性を示す遺伝子の働きは低く、万能性の最も確実な証明となる「キメラマウス」も作れなかった。小保方氏は4月の記者会見で「200回以上成功した」と話したうえで、「(STAP細胞を作る)コツやレシピがある」と説明していたが、この日の記者会見でそれらは明らかにされなかった。検証チームの一員として実験を続けてきた論文著者の一人、丹羽仁史・理研チームリーダーは「独自に検証実験を続けるか」との記者からの質問に、「現時点では考えていない」と回答。著者自身が、その存在に否定的な姿勢を見せた。
白髭(しらひげ)克彦・東京大教授(ゲノム科学)は「実験条件、回数ともに十分なデータだ。科学者の間では、(7月に)論文が撤回された時点でSTAP細胞は『ない』ことになってはいるが、(理研の)最先端の研究者たちが再現できず、事実上さじを投げたということをもってしても、STAP細胞は『ない』と言っていい」と話す。
では、理研などの日本を代表する研究者が論文に名を連ね、大々的に公表された万能細胞「STAP細胞」は何だったのか。公開された遺伝子データの解析からは、STAP細胞が既存の万能細胞であるES細胞(胚性幹細胞)だった可能性を示す結果が出ている。STAP細胞が、ES細胞が変化しない胎盤にもなることを示す論文の画像にも重大な過誤が見つかっている。理研は現在、STAP研究で残された試料の詳細な解析を進めており、今後STAP細胞の「正体」が明らかになる可能性もある。
撤回された論文の不正認定された画像以外の疑義については、9月に発足した調査委員会が調べている。また、理研はSTAP細胞に関する特許出願について、特許の放棄も含めて検討することを明らかにした。
◇理化学研究所の野依良治理事長のコメント(全文)
STAP細胞にかかる研究論文は本年7月2日にネイチャー誌論文2編が撤回されました。これをもって記述された内容はすべて削除され、科学界においてはSTAP論文は白紙に戻ったことになります。しかし、STAP現象は科学界を超えて、社会的問題にもなったことから、理研は一般社会、国民の関心に応える道でもあると考え、研究不正再発防止改革推進本部の下で検証を実施してきました。今回、相沢慎一実験総括責任者による検証実験を進め、加えて、小保方晴子氏本人による検証実験を第三者立ち会いの下で、11月末を期限として実施しました。その結果、今回の検証においてSTAP現象の確認には至らなかったことから、これをもって検証計画を終了することを、ここに報告するものです。
STAP論文が公表されてからこの10カ月間余り、小保方晴子氏にはさまざまな心労が重なってきたことと思います。このたび退職願が提出されましたが、これ以上、心の負担が増すことを懸念し、本人の意志を尊重することとしました。前途ある若者なので、前向きに新しい人生を歩まれることを期待しています。
◇小保方晴子氏が理研を通じて発表したコメント(全文)
どのような状況下であっても必ず十分な結果をと思い必死に過ごした3カ月でした。予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかったことなどが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果にとどまってしまったことに大変困惑しております。私の未熟さゆえに論文発表・撤回に際し、理化学研究所をはじめ多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことの責任を痛感しており、おわびの言葉もありません。検証終了をもって退職願を提出させていただきました。最後になりますが本検証実験にあたり検証チームの皆様はじめ、ご支援・応援してくださった方々に心よりお礼申し上げます。
最後の小保方氏のコメントがこの問題のすべてを物語っている。この人は何かと言うと自分を正当化して問題を自分以外のものに転嫁する。
『予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかったことなどが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果にとどまってしまったことに大変困惑しております。』
研究の条件などは初めから分かっていたことでそこで実験に成功しなかったのは、STAP細胞など初めから存在しないと言っているようなものだ。客観的な証明を経ていない仮説程度のものを寄ってたかって既成事実のように作り上げて利権を獲得しようとしたのだろう。今回の騒動は科学者の独善性と閉鎖性を見せつけた出来事であったのかもしれない。今回のことは未熟などではなく間違いなく故意によって行われたことだろう。常に真実を見つめる客観的な姿勢こそが科学者に求められる唯一のものだろう。
Posted at 2014/12/19 23:56:17 | |
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