1月13日午後、大阪府八尾市で、盗難車を運転する男性に警察官が発砲し、男性が死亡するという事件が発生した。午後1時20分ごろ、八尾市の路上で、地域課の男性警部補(47)と男性巡査長(26)が、男性が運転する車の両側から拳銃を2発ずつ発砲。少なくとも1発が当たり、心肺停止状態で病院に搬送されたが、約2時間後に死亡が確認されたという。
発砲の約3分前、大阪市平野区の路上で、パトカーが容疑者の運転する車を発見。信号で男性の車にパトカーが追いつくと、バックでぶつかってきたという。パトカーから降りた巡査部長は、男性の車の窓ガラスを警棒で叩きながら、止まるよう指示。それでも従わなかったため、パトカーを運転していた警部補も降り、止まらないと発砲すると警告したうえで2人が撃ったという。福井定紀副署長は、「被疑者が亡くなられたことについては、残念でありますが、詳細については現在、調査中です」と発表した。
警察官の発砲、そして撃たれた男性が死亡したというニュースに、ネット世論の賛否は割れている。
《発砲以外の対応がないとは思えないし、腹部に2発撃ち込まれて絶命なんて狙撃したとしか思えない》
《警告射撃抜きで拳銃を4発も発射しなければならない状況ではない。相手は武装しているわけでも何でもない》
《まだ何も検証されてないのに発砲の判断が適切だったとほぼ断定して語る人が多いのはヤバいよ。 公務員個人が持てる事実上最大の武力が使用されたんだから、まずは批判的(非難ではない)な姿勢から入るのが報道として当然では》
《適切な対応だったと思います。近くに小学校があり万が一逃げ込んだ、捜索中とかになるよりは良かった》
《停止命令を幾度となく繰り返し、それでも停止せず危険な暴走を続けたのなら、発砲されても仕方が無い。何の罪のない人が被害に遭う可能性が高いのであれば、発砲もやむなし》
《批判的な人は、警察は暴力的だとか、拳銃は不要またはもっと弱い拳銃になど言いますが、そんなことを言えるのは、生まれた時から平和な日本で生活し、危険を知らないからと思う。犯罪者が自分に重大な危害を加えようとした時に同じことが言えるのか》
元大阪地検特捜部主任検事で、刑事司法について発信している前田恒彦氏は、13日に報じられた関西テレビの同事件記事に、解説コメントを投稿。それによると、日本では警察官の拳銃濫用を防ぐため、(1)取り出し、(2)構え、(3)撃つ予告、(4)威嚇射撃、(5)相手に向けた射撃、(6)相手への危害、という段階ごとに法令で厳しい要件が定められているという。警察は今後、それらの要件を検証し、適正な職務執行だったかを判断する。警察官は「なぜ撃ったか」を説明できる一方で、死亡した男性が弁解する機会を失ったことは、あまりに残念だ。
今回の大阪府警の事案については報道以上に詳しい状況は分からないが、おそらく警察から停止を求められた被疑者がパトカーに車を衝突させたり警察官に向かって車で突っ込んだりを繰り返した結果、やむを得ず射撃したのだろう。狙撃とか言うが、拳銃はそんな精密射撃ができるような武器ではない。映画やドラマではビシビシ当たるが、あれは作り話で実際はこのような混乱した状況でとっさの判断で射撃する場合、5メーター前後の距離で人間に向かって撃って体のどこかに当たれば上出来と言う程度だろう。目と鼻の先で5発撃ってすべて外したなんてこともある。もちろん射撃大会などでビシビシ当てる人もいるが、これはじっくり狙って射撃する場合で銃も特殊な銃ではある。せいぜい3.5センチから5センチ程度の長さの銃身から発射される弾丸はちょっと銃がずれてもとんでもないところに行ってしまう。また車のフロントシールドに弾かれる場合もあるので車に向かっての射撃は原則しないが、よほど緊迫した状況だったのだろう。被疑者は武装していないと言うが、車で突っ込んでくればその車自体が立派な用法上の凶器ではある。銃器の使用は今回のように人命を奪う場合もあるし、事案の解明という点からも問題はあるが、自己または他人の防護のためにはやむを得ないだろう。警察も昔よりは銃器の使用が多くなっているが、凶悪な犯罪に対してはある程度の実力行使はやむを得ないだろう。射撃するかどうかは現場の警察官の判断になるが、凶悪な犯罪に立ち向かうには銃器を使用せざるを得ない場合も多い。極めて難しい判断ではあるが、いざとなったら躊躇うべきではないだろう。
Posted at 2023/01/14 21:54:49 | |
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