小林至教授のマネーボールQ&A
【転載開始】
■日本のスポーツ放送はいったいどうなる?
“黒船”NetflixのWBC独占配信がもたらす大きな波
公開日:2025/09/11

2023年WBCは、大谷翔平(中央)の活躍も
あり日本代表・侍ジャパンがV
(C)ロイター/USA TODAY Sports
【Q】球界はもちろん、国内の野球ファンに衝撃
を与えた、ネットフリックスによる「WBC独占
配信契約」。これまで地上波で視聴できたWBC
が、来年春開催の大会はサブスクに加入、つまり
金を払わなければ見られなくなってしまった。
なぜ、地上波放送が消滅したのか。これによる
日本球界のダメージはあるのか。
【A】まずは「なぜ」。
理由は放送権料の高騰とビジネスモデルの違い
です。
WBCを運営するWBCIはMLBとMLB選手会が共同
出資した営利企業で、普及より収益を優先する
構造です。
前回大会の日本向け放映権は30億円前後でしたが、
今回は推定150億円規模まで跳ね上がった。
これでは日本の民放やCS局では到底払えません。
地上波はCM収入頼みで、30秒スポットが高くて
も500万円程度。
しかも準決勝・決勝は米本土の夜=日本の早朝に
行われ、視聴率が高くても広告単価は伸びません。
加入料+広告の二面市場で回収できるネットフリ
ックスの方が、はるかに高値を提示できる。
結果として、WBCIは日本のテレビ局ではなく、
グローバル・プラットフォームとの独占契約を
選んだのです。
次に「影響」。
過去を振り返れば、WBCは日本球界に強い追い
風をもたらしてきました。
日本はこれまで3度優勝し、前回2023年大会では
日本戦7試合のうち6試合が3000万人以上に視聴
され、決勝は早朝にもかかわらず5000万人が優勝
の瞬間を見届けました。
その熱気は地上波中継や特番を通じて全国に
拡散し、侍ジャパンの常設化やスポンサー獲得に
つながりました。
さらに、13年大会後にはNPBの観客動員が前年
から増加に転じるなど、明らかに「WBC効果」が
ありました。
すなわち、地上波を通じて大会が「国民的イベ
ント」として認知され、そこからプロ野球全体の
人気を底上げする因果の構図が存在したのです。
しかし今回、試合が「サブスクの壁」の内側に
入れば、従来の地上波視聴者、とりわけ高齢層や
ライト層の一部はアクセスできなくなります。
視聴人口が縮小するだけでなく、地上波局も
「自分たちが中継できない大会を特番で宣伝する
理由がない」となり、報道露出も減少するでしょ
う。
その結果、これまで享受してきた外部効果--
代表ブランドの価値上昇、スポンサー拡大、観客
動員の押し上げ--は目減りする可能性が高い。
つまり今回の「配信独占」は、日本球界にとって
重要だった「宣伝媒体としての地上波」という
土台を失うことを意味するのです。
もっともメリットもあります。
ネットフリックスは全47試合をライブとオンデ
マンドで配信すると発表しており、ファンは既存
のサブスクリプションのまま、スマホやスマート
TVで好きな時間に観戦できます。
熱心な層にとっては大歓迎でしょうし、生活スタ
イルに合わせて楽しめる点では新しい観戦体験を
広げる可能性があります。
結局のところ、この件は「配信か地上波か」と
いう二者択一ではなく、スポーツ放送の構造変化
を象徴しています。
黒船来航が開国を迫ったように、外圧は進化の
きっかけにもなり得ます。
今回のネットフリックス独占も脅威ではなく、
「到達」と「収益」をどう両立させるかを問い
直す契機。公共性をどう担保するか――ハイライ
トの開放やパブリックビューイングの制度化--を
セットで考えられれば、日本のスポーツ放送が
一段上のステージへ進化する、そんな機会となる
かもしれません。
【転載終了】
*************************
現在のテレビ局を観ていても、古い番組の
使いまわしですからね。
エンタメもアメリカみたいに有線テレビの
時代が来るのでしょうね。
我が家も″ひかりTV″を入れましたが、
似たようなものですね。
何れ、ネットフリックスになるのかな?
Posted at 2025/09/11 06:59:18 | |
トラックバック(0) |
ニュース | 日記