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2024年05月16日 イイね!

14キロに合った減衰設定探し

14キロに合った減衰設定探し先日のTC100久方振りにEF8の先輩と対戦してきた訳なのですが,当日は20分×3本=60分とたっぷり走れる走行会だったので,前回投入したフロントスプリングのバネレートアップ(12→14キロ)によって崩れたバランスの改善策を色々と探りました.今回はその結果に関して纏めておこうと思います.

まずはおさらいとして,前回の走行で感じたレートアップの影響を振り返ってみると,以下(↓)のような感じでした.

  ・ターンイン時のステアリングレスポンスは向上した
  ・その恩恵でブレーキングのコントロール精度も向上した
  ・フロントの耐荷重が増えた事でブレーキロックしにくくなった
  ・一方,立ち上がりではアンダーステアが強まった
  ・このアンダーステアは,速度域を問わず後傾姿勢になった時に出る
  ・なお,S字の切返し(左高速~洗濯板)でのステアリングレスポンスの向上はない

ご覧の通り,メリット・デメリット両方ある訳なのですが,この中で一番の問題と感じていたのが「立ち上がりでアンダーステアが強まった」の部分です.これが特に顕著に出ているのが2コーナーで(↓),



フロントタイヤが滑って表面温度が70℃まで達してしまっていたため,ここの対策が急務と考えていました.ちなみに前回走行時はサーキットアドバイザーの日だったので,この件に関して相談してみたところ「減衰を下げてみたいですね」とアドバイスを頂きました.なので,今回はそれを主軸に探ってみました.


ではまず当日のテスト結果ですが,以下のような感じです.
(同じ走行枠の中でピットイン⇔アウトを繰返したのでほぼイコールコンディション下での比較です)

  【テスト1】
   フロント:2段戻し + リア:2段戻し ・・・ 41.683
   フロント:4段戻し + リア:2段戻し ・・・ 41.548 (-0.035)

  【テスト2】
   フロント:4段戻し + リア:2段戻し ・・・ 41.706
   フロント:6段戻し + リア:2段戻し ・・・ 41.763 (+0.057)

  【テスト3】
   フロント:6段戻し + リア:2段戻し ・・・ 42.083
   フロント:8段戻し + リア:2段戻し ・・・ 42.178 (+0.095)

  【テスト4】
   フロント:4段戻し + リア:2段戻し ・・・ 41.790
   フロント:4段戻し + リア:4段戻し ・・・ 42.144 (+0.354)

  【テスト5】
   フロント:4段戻し + リア:4段戻し ・・・ 42.144
   フロント:4段戻し + リア:2段戻し ・・・ 42.106 (-0.038)


まず最初にアドバイス頂いたフロントの減衰下げをテスト(テスト1).感触的には,



  ・クルマの動きが大きくなった
  ・2コーナーでINにつけるようになった
  ・ヘアピンのブレーキングでよく止まる
  ・インフィールドでよく曲がる
  ・最終コーナーは相変わらず曲がらない

といった印象でした.先日のブログでも述べた通り感触としては悪くない気がしましたが,きっとエンジンがタレて絶対的なスピードが落ちている(=タイヤに余力がある)せいでフィーリングが良いのだろうと思っていたので,-0.03秒はかなり予想外の結果でした.


ならばこっちの方向性なのかな?と,フロントの減衰を更に2段階落としてみましたが(テスト2),



先程はINにつけていた2コーナーで今度は膨らむようになりました.これを受けて多分こっちの方向じゃないなーと思いつつ,NGである事を明確にするために敢えて更にフロントの減衰を2段階落としてみると(テスト3),



2コーナーで完全にINにつけなくなり,加えてインフィールド進入のブレーキングでフロントタイヤがロックするようになったので,ここまで柔らかくするとフロントタイヤが負荷に耐えられないと判断しました.


これでフロントは2段階落とすのが限界と見極められたので,もの試しと今度はリアの減衰を下げてみたのですが(テスト4),リアがフラフラになってクルマの姿勢コントロールが難しくなり,「これは間違いなくダメだ」と思ったので1周試して即座に戻してみたら(テスト5),タイムは回復しました.



これは恐らく,リアの減衰を抜いた事でIN側のリアタイヤの荷重が抜け易くなり,その抜けた荷重の分だけOUT側のフロントタイヤに負荷が乗っかって,タイヤが耐え切れなくなり音を上げたためと思われます(フロントが入らないのに,リアだけ動こうとする).


・・・という事で色々試した結果,2キロ上げたレートを相殺するかのように減衰を2段階下げるのが一番良い事が分かったので,テスト1の結果を今度はロガーデータで確認してみます(赤:2段下げ 青:基準).

1コーナー進入



フロントの減衰を2段下げた方(赤)が,1コーナーのターンインで高い速度を維持出来ています.ステアリングレスポンスが上がったような印象は受けなかったので,純粋にグリップが増えたという事なんでしょうね.


2コーナー



よく曲がるようになったと感じた2コーナーですが,車速で見ると基準の方(青)が2.5km/hほど旋回速度が高いです.この違いは何なのか?とライン取りを見てみると(↓),



2段下げた方(赤)が外に膨らまず,小回り出来ているのですが,その分ラインがタイトになって操舵抵抗も大きかったようです.いつもの距離 vs 速度の相対比較をしてみると,基準(青)の方が速かったので,ここは依然として遅くなっているようですね(フィーリングとしては大分良くなりましたが).


ヘアピン進入



ほんの僅かな差なのですが,2段下げた方(赤)が速度低下が鈍いです.乗っていた時の印象としてはこの逆で,よく止まっているように感じていたので,恐らく「よく止まる」→「だから強く止める必要がない」という事で速度低下が鈍いんでしょうね.


インフィールド



ここも1コーナーと同様に2段下げた方(赤)がターンインで高い速度を維持出来ています.再加速のタイミングも2段下げた方(赤)が早いように思えますが,アクセルを開けた先でタイヤが滑ってますね・・・.


左高速コーナー
ここは特に差異がないように思えるのですが,ライン取りの方を見てみると(↓),



2段下げた方(赤)が早くINに寄れています.つまり,ここでもターンインで2段下げた(赤)の方が良く曲がるようになった,という事なんだと思います.


最終コーナー



ここは2段下げた方(赤)がボトムも低く,立ち上がりでアンダーが出ている様子が読み取れますが(右側の緑丸),なぜそうなったのか?と手前の処理を見てみると(左側の緑丸),どうやら最終複合の1個目のコーナー(20R)で1コーナー・インフィールドと同様にターンインで旋回速度が上がり,その帳尻合わせとして2個目のコーナー(17R)の進入でボトムを落とさざるを得なかったようです.


以上の比較結果を纏めると,



  ・フロントの減衰を2段階下げた方がEntry領域(コーナー入口)でグリップが増える
  ・この増えたグリップはMiddle領域(コーナー中間)まで継続されている
  ・その結果,ボトムスピード(旋回速度)が上がっている
  ・しかし,その上がった旋回速度に耐えられるだけのグリップがExit領域(コーナー出口)ではない
  ・このため,立ち上がりでは操舵抵抗に負けて失速している

つまり,「コーナーの進入~エイペックス付近までは減衰を2段下げた方が速いが,エイペックスから先,コーナーの立ち上がりの部分では逆に遅い」という事のようです.

後半の「立ち上がりで遅い」に関しては,減衰力を下げたんだから,そりゃそうだろうと思っていて(↓),



FFの場合,一度掛けたフロント荷重を如何にコーナーの後半まで残すか?が肝になるので,減衰力を下げて早くフロントが浮き上がるようにしたら,そりゃ立ち上がりが苦しくなるのは当然だろう~と思っていました.なので,実はアドバイザーに「立ち上がりでアンダー」と伝えて,「減衰を抜いてみたい」と返事が返ってきた時には,「それは逆効果では?」と内心では思っていたりもしたのですが(笑),今回の結果からするとそう単純な話ではないようですね.


ではなぜ,FFなのにフロントの減衰力を抜いた方がタイムが縮まったのか?に関して考察してみると,それは恐らくこういう理屈(↓)なんじゃないか?と思っています.



バネレートを12キロ→14キロに上げるという事は,「同じ荷重を掛けても,同じようにスプリングは縮まない」という事です(図の右側).スプリングが縮まないという事は荷重移動量が減るという事を意味するので,その分だけタイヤに掛かる荷重も減る事になります.



もし仮に,今までタイヤに荷重を掛け過ぎていた(山のピークを超えて右側まで行っていた)のならば,荷重が減った分だけタイヤのグリップが増える事になります(図の赤矢印).しかし,今まで掛けていた荷重がちょうど良かった(山のピークの辺りだった)のならば,荷重が減った分だけタイヤのグリップも減る事になってしまいます(図の青矢印).そして,どうやら今回バネレートを上げた結果,TC1000においては後者(グリップのピークに到達出来ない)の現象が起きていたようです.

これを是正するには,スプリングの他にもう1つサスペンションを縮める力に対する抵抗成分となる「減衰力」を下げてやれば,ハイレートのままでも元のように潰せるようになる,という事なんじゃないかと思われます(↓の一番右端).





実際問題,前回走行時はフロントタイヤが滑って表面温度は70℃にまで達していましたが,今回はその時より路面温度が5℃高かったにも関わらず,表面温度は55℃程度に留まりました.この点からも減衰力を下げた事できちんとタイヤを潰し切れるようになったんじゃないかな?と思っています.

また,「減衰力を下げる事でサスペンションの縮み量が増える」という事は,「一度縮んで後,元に戻るまでの時間も増える」という事にもなるので,減衰力が下がってフロントの荷重が早く抜けてしまう分(時間的に早まる分)を,サスペンションの移動量を増やす事によって時間を稼いで遅らせる,という効果を作り出す事ができ,これがコーナーのMiddle部分まで荷重を残せるようになった(=旋回速度が上がった)カラクリなんじゃないか?とも思っています.


以上,14キロに合った減衰設定探しでした.

一連のテスト結果から,フロント:14キロに対しては減衰を2段階下げれば帳尻を合わせられる事が分かりました.これで2コーナーのアンダーステアは妥協出来るレベルになったので,前後バランスとしてはマズマズになったんじゃないかと思います.ただ,フロントの減衰を下げた事によって立ち上がりが苦手なクルマになった事は変わりがなく,またヘアピン進入時のブレーキングでよく止まるように感じた点は,言い換えれば「ブレーキロックに対する耐力も下がった」とも見なせるため,もう一工夫必要そうです.

一応このセットで大きな不満なく走る事は出来ると思いますが,更にもう1歩上を目指すのであれば,やはりリアのバネレートも上げるべきなんじゃないかなぁ~?と思いました.

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「[整備] #CR-X フロアマットフック加工 https://minkara.carview.co.jp/userid/1684331/car/1250119/7802429/note.aspx
何シテル?   05/19 23:15
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