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OX3832のブログ一覧

2023年02月14日 イイね!

中反発 vs 高反発(仮) その②

中反発 vs 高反発(仮) その②冬ノ陣の周回数が既に300周を超えていて「頭オカシイですね」と話をしたら,「400周超えないとアホ認定されないので大丈夫です!」と返されたOXです(基準はどこにあるんだろう・・・?).

さて,前回の分析でフロントに新たに入れた高反発スプリングの特性と私のドライビングとの相性が良くない事が分かり,更に変更が必要となったのですが,次にどう変えるか?の答えがまだ見つかっていません・・・.

手っ取り早いのは元に戻す事(高反発→中反発)ですが,以前行った1コーナーのドライビング分析の結果から強いブレーキングを維持した方がゲインがある事が分かり,今のレートのままだとこうなる(↓)可能性が残るので,



レートを上げる(というか元に戻す)べきか否かで悩んでいます.他のコーナーとのバランスもあるので,どこに合わせると一番タイムを稼げるか?を見ながらアレコレ考えているのですが,なかなか答えが見つからないので,一旦現状のダメな部分をもう少し掘り下げみようと思います.


・・・という事で,1コーナーの挙動を振り返るべく,以前kame@108kgさんに撮って頂いた写真を引っ張り出してじっくり見ていたのですが,ジーッと見ていて気づいたのが,

アレッ? フロントが全く沈んでなくね・・・?
(‥ )ン?


いやいや,いかに高反発と言えど,全くフロントが沈まないなんてコトはないでしょ!とセルフ突っ込みを入れつつ,kameさんからは動画も頂いていたので,そちらも見てみる事にしました(↓).



念のため,通常再生の後に50%スローで再生して見てみましたが,やっぱり沈んでないような・・・.


これは厳密に比較しないとダメだな~と思い,中反発と高反発で動画を横に並べて比較してみました(↓).



ブレーキ踏力が同じかどうか分かりませんし,厳密にはタイヤも異なるので,やっぱり(仮)な比較なのですが,並べて見て2点気づきました.


気づき①:ノーズダイブした後に高反発は跳ね返されてる
細かく見てみると,1コーナーに向かってフルブレーキングした際のノーズはちゃんと沈み込んでいました・・・.
ただこの後の動きが違います.



一度沈んだ後,ターンインするのにブレーキをほんのちょこっとだけ緩めると,高反発の方がポンッ!と跳ね上がってます(↓).



一度沈んだ後に元に戻っているから外から見た時に沈んでないように見えたのでしょうか・・・?

スプリングレートは一緒なので,ノーズの沈み込み量が一緒なのは当然ですし,そこから荷重を抜いた時に高反発の方が早く伸びる(ノーズが早く浮き上がる)のも,原理的には当たり前の話です.ただ,ここまで明確にポンッ!と跳ね上がるとは思ってもいませんでした.実は内心「中反発と高反発なんて言ったって,レートが一緒だったらほとんど差が分からんレベルだろう・・・」と思っていたのですが,まさかここまで違うとは! この車載を見る限り,高反発の方は頭が揺れるレベルで跳ね返っているので,タイヤに掛かっている荷重は相当抜けていそうです.
(注:この跳ね返りはタイヤ+スプリングの動きなので,跳ね返りの原因がタイヤにある可能性も残ってます)


気づき②:フロントがインリフトしてる
先程はブレーキを抜いた瞬間にスプリングの力でノーズがポンッ!と跳ね上がりましたが,ブレーキを完全に抜いた訳ではないので,跳ねた後再びフロントに荷重が掛かり,若干沈み込む動きはしています.



そこから完全にブレーキをリリースして,ステアリングを切り込んで行き,ロールが始まるのですが,この捻りの動きが始まった瞬間,高反発(右)の方はイン側がスッ・・・と浮き上がってます.



ロールが始まった事でイン側の荷重が抜け,スプリングの反力で車体が持ち上がるのは,これまた当たり前の話なのですが,中反発(左)はその持ち上がる動きがあまり見られず,イン側も沈んだままのようにも見えます.

イン側が浮き上がる=スプリングが素早く伸びるという事は,ロールが素早く完了するという事で,姿勢が不安定な時間も短くなります.また,ロール方向(左右方向)の荷重移動も早くなりますから,ステアリングレスポンスも良くなります.まさに高反発化で狙った通りの結果である訳なのですが,高反発(右)のこういった自然な動きに対して,中反発(左)はそれを全く無視した動きをしているんですね.そりゃ,乗ってて違和感がある訳だ(苦笑).



でも,イン側が浮きずらい=イン側の荷重が抜けきらないという事でもあるので,全体のグリップとしては中反発の動き方の方が上のはず・・・.加えてイン側が浮きずらいという事は,FFの場合トラクションが掛かるという事でもあるので,クルマが前に進んでいる感を中反発の方で感じたのも正しそう.

また,レートが上がっている訳ではないので,中反発も最終的に到達するロール角は同じはず.従って,最大ロールに到達するポイントが遅れる=コーナーの後半にシフトするという事になるのですが,これがアクセルを開け始めるポイントでもまだロールが収束しておらず,「不安定だな・・・」と感じる要因なんでしょうね.あと,コーナーの後半で踏ん張り切らず,タイヤのグリップが限界を迎えている訳でもないのに,ひたすらクルマが外側に向かって流れ続けるように感じるのも,ロールが収束するのがコーナー後半になっているせいなんでしょうね・・・.色々納得.


以上,中反発 vs 高反発でした.

纏めると,多少性能を犠牲にしてもステアリングレスポンスを重視したい場合(ドライバーの操作にクルマをついて来させる場合)は「高反発」.クルマの動きは違和感だらけだが絶対的な性能を重視したい場合(クルマの動きにドライバーが合わせる場合)は「中反発(or 低反発)」という事なのかな?

あとは,ドライバーか? クルマか? どちらがどちらに合わせた方がタイムを縮められるか?って話ですね.勿論これはケース・バイ・ケースで変わってきて,例えば,車速域が上がればドライバーに合わせた方が良いでしょうし,反対に車速域が下がればクルマに合わせた方が良いかもしれません.なんだか,当たり前の事を当たり前だと確認しただけな気もしますが,ま,いっか(笑).

ホームコースであるTC1000をターゲットにするなら,違和感だらけでも乗りこなせますし,あとはなるべく中反発のデメリットを打ち消せるアライメントを探るくらいかなぁ~?と思いました.
2023年02月12日 イイね!

80Rの溝落とし

80Rの溝落としショップで「ヘッドライトの右側の方が黄ばみが酷いんだよねぇ~」と言ったら,店長から「左右でモノが違うんじゃない?」と言われ,履歴を確認したところ左右共に2016年の12月に交換しているので一緒っぽい・・・と思いつつ,左側のヘッドライトだけ部屋からストックが発掘された(=右側だけ使用した)ので,多分別だな・・・と思い直したOXです.

さて,車検でクルマが手元にないので,1日中やる事もなくベッドの上でゴロゴロしながらSNSを見ていたら,「(80Rで)溝落としを決めているヤツがいる」なんて情報が流れてきました.

撮影された画像を見ると結構ボッコリ穴が空いていて,「こんなトコに溝なんてあったっけ? 最近出来たヤツなのかなぁ~?」と思い,筑波の主に聞いてみたところご存知ない様子.気になったので自分の車載を確認してみたところ,



バッチリ映ってました・・・(↓).



溝はダンロップアーチを過ぎた80Rの入口.イン側の白線の,更に内側にある緑色の舗装(縁石?)の,更に内側(半分芝生)にある黒い部分です.ロガーデータで確認すると場所はこの辺り(↓)でした.



ちょうど横Gが最大値に達する直前辺りなので,左側(イン側)のタイヤの荷重はかなり抜けてそうですが,逆に言えば荷重が抜けているので溝落としとして使うには,最も効果的なポイントなんですかね? 画像を見る限り,結構深そうな溝なのでタイヤ落としたらイン巻きするケースの方が多そうな気もするのですが・・・.




ダンロップの進入でボトムを上げる事に躍起になっていると,ダンロップの出口でクルマがコース外側の緑の部分にまで流れる場合があり,この場合はそのままインカット気味に80Rへ進入するため,意図せずこの溝の上を通過してスピン!なんて事になりそうですね.

パワーのあるクルマだったらダンロップの出口であまり外側に膨らまず,80R入口は外側からアプローチするので,イン側のこんな溝なんて気にもしないのでしょうが,パワーのないクルマは,極力車速を落とさないように目一杯幅を使って走るため,案外ローパワー車の方がこの落とし穴にハマるのかもしれません・・・.


次回走る時の自らへの戒めの意味も込めて,ちょっとした小ネタでした.
2023年02月10日 イイね!

雪とヒルクライムと

雪とヒルクライムと燃料ポンプ交換を週末に予定していたので,タンクを空にしないといけなかったのですが,予定していた走行会がキャンセルとなった事で,フルタンク状態で預ける日を迎えてしまったOXです(どうしよう・・・).

さて,予定では1ヵ月前に申し込んだ日光の走行会に参加する事になっていたのですが,雪で中止となってしまいました.この1ヵ月,この走行会に向けて失火の原因究明に奔走し,ようやく1週間前に特定,「何とか間に合った!」と安堵していたのですが,結局,走れないとなるとガックリきますね(苦笑).

例年通り,この時期の日光は新路面となり,はやぶぅさんが39秒台出したり,たとゆさんが40.7秒出したりしているのを見て,「今回こそ41.3秒の壁を破るぞ!」と気合を入れて,同じ枠を走る人達の車載とセクタータイムを分析しながら,当日を待っていたのですが,


(一人,実力39秒台のはずなのに,40~41秒台の枠に下りて来た人がいますけど・・・)

最終的には,主催者が安全性を優先して中止の決断を下しました.行きの路面凍結や帰りの混乱した高速道路等,クルマを壊すリスクはなるべく避けたかったですし(自分はミスらなくても他人に突っ込まれるリスクがある),折角の機会を逃す事は残念ではありますが,当日の雪の降りっぷりを見ると主催者の判断は正しかったと思っています.


そんな感じで休暇をキャンセルして当日は仕事をしていたのですが,隙間時間でSNSを見ていたら,「パイクスピークにスターレット!?」なんて情報が流れてきました.

「いかに日本車が人気とはいえ,わざわざスターレットを選ぶなんて物好きなアメリカ人がいるもんだなぁ~」と記事を読んでみると,「エッ!? 日本人??」と驚き,どこのチームが遠征するんだろう?とエントリーリスト(タイトル画像)を確認してみたら,

 Residence(住所)              ・・・ Tokyo - Japan
 Entry Year/Market/Model(参加車両) ・・・ 1990 Toyota Starlet EP82

となってました(ちなみにその2個上には大井さん&LEAFの名前もありました↓).




「ほぅ・・・」と思い,北米で雪練中(↓)のEF8の先輩にパイクスピークの事を聞いてみると,



「パイクスピーク? 20年前に走った事がある」とまだ舗装されていない当時の写真が送られてきました(↓).







ヒルクライムの過程でクルマにどんな事が起きるのか?体験談を聞いていると,「レース当日の様子はこんな感じ(↓)」と更に写真が送られてきました.









私のパイクスピーク知識なんて,雑誌の記事を眺めたくらいで(大半は一番上のクラスの話),どんなクルマが出ているのか全く知らなかったのですが,こんな雰囲気なんですね・・・.一応,グランツーリスモ(GT2)でコースを走った事もあるはずなのですが(↓),



ダートはあんまり好きじゃないので,ほとんど記憶に残っていないですね・・・.


一番上のクラスである「Unlimited」はともかく,このスターレットが出る「Pikes Peak Open」クラスなんて全く知らないので,どんな車両規定なのかルールブックを覗いてみたところ,ざっくりこんな感じでした(↓).

 0.「Pikes Peak Open」に参戦出来るのは,市販車 or レプリカ車両.

 1.メーカーで製造されたモデルをベースとする.

 2.ボディの外観はバンパーを含めて市販車の外観を維持.
   ボルトオン出来る部品であれば材料置換はOK.
   窓ガラスは同じ素材 or Lexan製(ポリカーボネート?)ならOK.

 3.主催者が承認したオーバーフェンダーとスポイラーのみ装着可能.

 4.ウイング等の空力部品も装着可能.
  (但し,ボディ全幅から飛び出してはならない)

 5.ドライバーを含めた最低重量は816kg.

 6.フレーム,サスペンション,ブレーキの改造は無制限.

 7.ホイールのサイズも無制限.
   (但し,タイヤは必ずフェンダーで覆われている必要がある)

その他,危険な競技らしく安全性関連のレギュレーションは事細かに規定されてましたが,エンジン/トランスミッションは同じメーカーのものであれば交換可,内装は可燃性のモノを排除するためにむしろドンガラを推奨,タイヤはレーシングタイヤ(≒スリック)の使用可,ウォーマーも使用可となっていました(海外ではSタイヤという概念がないので,当然でしょうね).

スリックも可なのでS耐車両に近いかと思いましたが,フレーム・サスペンション・ブレーキの構造変更可となると,ダートラのD車両に近いのかな? 排気量のクラス分けはなさそうですから,如何にターボとはいえ,スターレットの小排気量のままだとなかなかに大変そうですね.


予選が6/20~22.決勝は6/25.今から楽しみですね~♪

Posted at 2023/02/11 12:06:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | その他 | 日記
2023年02月04日 イイね!

LINK 燃料制御(充填温度補正編)

LINK 燃料制御(充填温度補正編) ドノーマルのS2000に乗った若い子が「サーキット走るのにどのパットが良いですかねッ!?」と目をキラキラさせながらショップで聞いている姿を見て,「若いっていいなぁ~」と思ったおっさんのOXです.

さて,失火対策の一環として「吸気温センサの位置戻し」をしたのですが,それによってセッティングがズレてしまい,前回の走行ではs氏さんにご心配頂く事態になってしまったので,反省の意味も込めてLINK ECUの温度補正をおさらいしておきます.

詳細に入って行く前に,まずは温度補正のセッティングがズレるとどんな事態になるか?というと,こんな感じです(↓).



私のEF8は油圧計が付いているので,エンストすると油圧がゼロになり,アラームがピーーーッ!と鳴るので分かり易いと思います.上の動画の流れとしてはこんな感じです(↓).

 ①スタートラインギリギリまでクルマを前に進めた瞬間にエンスト(1回目)
 ↓
 ②そこからキーを捻って,再始動 
 ↓
 ③しかし,回転数がアイドリング領域まで落ちてくると再びエンスト(2回目)
 ↓
 ④再びキーを捻って再始動を試みるも,今度はエンジンが掛からず・・・
 ↓
 ⑤少し間を置いて,再びキーを捻ったら始動成功
 ↓
 ⑥このままだとまたエンストするので,アクセル煽って無理やり2000rpmキープ
 ↓
 ⑦コースインのメロディーに合わせて,クラッチミートして前進するとまたエンスト(3回目)
 ↓
 ⑧キーを捻って,再始動成功
 ↓
 ⑨アクセルを開けて,そのまま強引に前に出ようとすると今度は失火し,ガクン!とショック
 ↓
 ⑩ただ幸いにしてエンストまではしなかったので,そのままアクセル煽ってコースイン!

一度走り出してエンジンルーム内の熱気が取れれば,この症状は出ないので,以降は問題なく走れます.なんせ相手が温度なので,寒い時期だとセッティングが難しく,トライ&エラーで直していくしかないのですが,こういう酷いヤツに遭遇すると毎回焦りますね.
(今回は再始動出来ているのでまだマシな方.ワーストだと始動すらしなくなります・・・)


・・・で,こうなる原因が燃料制御の温度補正です.

コースイン待ちの隊列で停車アイドル状態になると,エンジンルーム内の温度はどんどん上がっていきます.それを吸気温として拾ったLINK ECUは「吸気温が上がって吸える空気が減ってるんだから,その分燃料も減らすよ!」と補正します.トルクがあるエンジンなら多少燃料が減っても影響はないのですが,失火症状を抱えて青息吐息な今のB16Aだと,それに耐えられません・・・.結果,始動→即エンストとなる訳です.従って,対策としては「吸気温が上がっても燃料を絞りにくいセッティング」にすれば良い訳で,それを司っているのが「充填温度補正」になります.


「充填温度」とは,「エンジンのシリンダーに充填される空気の温度」の事です.

「それってまんま吸気温じゃね?」と思いたくなりますが,厳密には異なります.「吸気温度」は吸ってる空気の温度そのままで,ほぼ外気温とイコールです.一方,「充填温度」は先述の通り「シリンダーに充填される空気の温度」なので,外気温とイコールになりません.なぜか?



インテークマニホールド(インマニ)を通るからです.インマニはエンジンの熱(≒水温)で温められますので,当然外気温よりも高温です.このため,外から吸った空気はシリンダーに向かう途中,インマニに触れる事で温められ,外気温よりも上がります.LINK ECUではこの水温の影響を受けた後の吸気温として「充填温度」というパラメータを用いて燃料噴射量の補正を行っています.

この「充填温度」は,エンジンの発熱量はもとより,吸気温センサの位置,インマニのサイズ等によって異なりますので一義的に決まりません.このため,LINK ECUではセッティング要素となっており,具体的にはエンジン回転数と負圧(MGP:Manifold Gauge Pressure)を軸としたマップに値を入れる形となっています.



このマップの値は%表記となっており,0%だと「充填温度」=「吸気温」,100%だと「充填温度」=「水温」となります.
・・・と文字で言われもイメージしづらいと思いますので,図にするとこんな感じです(↓).



水温=80℃,吸気温=20℃くらいのイメージで見て下さい.この図だと「充填温度」は「水温」と「吸気温」のちょうど真ん中(50%)にいる感じです.水温:吸気温=50:50となるので,(80℃ × 0.5) + (20℃ × 0.5) = 50℃って感じでしょうか.


ここから「充填温度」マップの値を50%→20%に下げていくと,「吸気温」に近づいていきます(↓).



水温:吸気温=20:80となるので,(80℃ × 0.2) + (20℃ × 0.8) = 32℃となり,「充填温度」は下がります.
(吸気温に近い値になる)


反対に,「充填温度」マップの値を50%→80%に上げていくと,今度は「水温」に近づいていきます(↓).



水温:吸気温=80:20となるので,(80℃ × 0.8) + (20℃ × 0.2) = 68℃となり,「充填温度」は上がります.
(水温に近い値になる)


図にするとこんな感じなのですが,最初,私はこれで1つ勘違いをしました.

「吸気温が上がった時に燃料が減って薄くなってエンストするなら,吸気温変化に対する反応を鈍くすればいい」→「充填温度マップの値を水温側に寄せれば(=値を大きくすれば),吸気温の動きを無視して水温の動きに連動するようになるはず・・・」と.確かに過渡変化に対してはその通りなのですが,これだと「充填温度」の絶対値は上がります.



LINK ECU内の燃料制御は「充填温度が上がったら燃料を減らす」「充填温度が下がったら燃料を増やす」という考え方なので,「充填温度」の絶対値が上がると燃料が減って,余計薄くなっちゃうんですよね・・・.

なので,「吸気温が上がった時に燃料が減らないようにしたい!」なら,「充填温度マップの値は小さくする」方向にセッティングする必要がありました.過渡特性と絶対値の動きは正反対なのに,最初これを勘違いして「アレッ? 対策して良くなったはずなのに,余計エンストし易くなった・・・」と混乱しました.


では次に,「吸気温センサの位置戻し」をしたら,なんでセッティングが変わるか?です.

B16Aは元々インマニのところに吸気温センサが付いています.これをダイレクトイグニッション化する際,ショップの判断で吸気温の影響を減らすために,インマニ→エアクリーナー(エアクリ)直後に配置変更をしてくれました(↓).



インマニよりもエアクリの方がエンジンの輻射熱の影響が小さいので,吸気温の変化も小さくなり,制御も安定するだろうという考え方です.イメージにするとこんな感じですね(↓).



これによって,確かにエンジンルーム内の温度上昇の影響は小さくなり,空燃比は安定したのですが,今度は水温・吸気温共に何も変化していないのに,突然空燃比が乱れる現象が起きるようになりました.考えてみるとそりゃそうで,エアクリのところで拾った吸気温と,インマニのところの温度は10~20℃違うので,「充填温度」として考えた場合には温度補正が合わなくなる訳です.実際のエンジンの燃焼に用いる温度は「充填温度」な訳ですから,青息吐息な私のB16Aでこのズレは痛いだろうと考えました.

そこで吸気温センサの位置をB16A本来のインマニ側に戻した訳なのですが,「充填温度補正」のセッティングが同じまま位置を変えるとどうなるか?というと,こうなってしまいます・・・(↓).



「吸気温」として見た場合,エアクリ側よりもインマニ側の方が温度が高くなるのですから,絶対値が上がって,LINK ECUとしては燃料噴射量を減らしにいってしまいました.こうして再びトルク不足に陥り,最初の動画のようなエンスト病が発症します・・・.

対策としては「充填温度」の絶対値が上がった分,マップの値を小さくして辻褄を合わせに行けば良いので,今回の結果を踏まえて後日セッティングし直しました.今の時期であれば多分これで大丈夫なはず・・・.
(カンカン照りの日だとエンジンルーム内の温度がもっと上がるので心配ですが)

なお,「エンストし易いならひたすら濃くすれば良いじゃん!」と考える人もいるかもしれませんが,濃くし過ぎると今度は始動出来なくなります.始動・アイドリング両方のバランスを踏まえつつ,水温・吸気温・エンジンルーム内の状況(日射の具合等)を踏まえてセッティングをしないといけないので,温度補正の適合はホント面倒です・・・.


以上,「充填温度補正」のおさらいでした.
Posted at 2023/02/06 20:33:04 | コメント(1) | トラックバック(0) | セッティング(ECU編) | 日記
2023年02月03日 イイね!

中反発 vs 高反発(仮) その①

中反発 vs 高反発(仮) その①今日初めてCR-Sのタイヤカス除去作業を行ったのですが,A052に比べて驚くほどカスが固くてびっくりしたOXです(やっぱりCR-Sは低温だとゴムが動かないんだな・・・).

さて,先日の走行で,ようやく失火の原因が特定出来ました.これで安定してマトモなタイムを刻めるようになり,最終枠で更にパワーを上げようと設定を変更したら再び失火し出したので,まだパワーを制限した状態でないと走れなそうです.

なので,現状はまだ暫定対策の状態.真因を究明して恒久対策を施すまでは,枷を背負った状態で走る事になりますが,一先ずドライビングには集中出来る状況になったので,その点は良かったと思っています.

・・・という事で,ドライビングに集中出来た結果,ようやく気づいた仕様変更の影響ですが,既報の通りフロントスプリングの中反発→高反発への変更は失敗に終わったようです.同じレートの反発力違いで何がどう変わったのか? 今回はロガーデータを眺めつつ纏めておきたいと思います.なお,今回の仕様変更ではスプリングの変更に合わせてフロントタイヤも同時に変更してしまっているため,その影響も含みます.よって,分析結果としては(仮)って感じです.


まずは,今回の変更点のおさらいです.



【フロント】
 HAL springs 7インチ 12キロ (中反発) → HAL springs 7インチ 12キロ(高反発)
 A052 205/50R15 → CR-S 225/45R15
 
【リア】
 HYPERCO 6インチ 11.6キロ + ヘルパースプリング 0.2キロ → HAL Springs 7インチ 12キロ(中反発)
 A052 195/55R15 → A052 195/55R15


フロントは同じレングス・レートのまま,反発力を中→高に上げました.これは中反発だとS字での切返しでレスポンスが悪く,クルマの姿勢が不安定になるのでそれを改善するのが狙いでした.このレスポンスの悪さが顕著に出ていたのが,TC2000のダンロップ→80Rの切返しで,クルマが左に傾いたまま80Rに突っ込んでいくので,かなりおっかなかったです・・・.

リアは単純に銘柄を合わせたいと思っただけですが,HYPERCOよりもHALの方が反発力が低いので,それを使ってリアのインリフト量を増やす狙いもありました.EF8の場合,インリフトさせ過ぎるとコントロール不能に陥るのですが,以前の経験から7インチであればコントロール出来る範囲内だと判断し,トライしてみました.


ではロガーを見つつ,各コーナーの感触を振り返ってみます.

1コーナー
ここは正直特に違いを感じませんでした.若干「ブレーキがロックし易いかなぁ~?」とも思ったのですが,中反発の頃でもロックはしていたので「気のせいかも?」と思って流してました.タイヤの幅が205→225に広がっていますし,「止まらないはずはないよなぁ~」と信じてフルブレーキングしたらこうなりました(↓).



こうなった直接の原因は,フロントタイヤがまだ温まっていなかった事なのですが,今振り返ってみると,実はフロントのスプリングが少し突っ張り気味になっている(ノーズダイブが減った)事も原因の一つに思えました.その理由の1つとして,スプリングを変更してから,やけにフロントタイヤの表面温度が高くなり,この時期の路面でも60℃オーバーとなっていました.当初はCR-Sの特性なのかな?と思っていたのですが,コレ,多分フロントタイヤを潰せていないせいな気がします(表面のゴムのグリップだけで走ってるので,タイヤの負担が大きくなり,表面温度が上がってしまっている・・・).

ロガーデータ上は,オーバーランした後でビビリミッターが発動しているため,今回(赤)の方が前回(青)よりも早く切り込んでいるのですが(↓),



車速で見ると,実は今回(赤)の方が4km/hも進入速度が低いので,単純に速度を抑えたから早く切り込めただけな気がします.


ヘアピン
2コーナーはとある事情から飛ばさせてもらって,お次はヘアピン.
ここも特に違いは感じませんでした.実際ロガーデータ上も違いがありません(↓).



1コーナーと違い,ココは若干ブレーキがよく効くようになったような気もしますが,ロガーデータを見ると減速度に違いはないので,多分気のせいでしょうね.


インフィールド
ここが一番違いが出るポイントでした.



インフィールドの進入で今回(赤)の方が前回(青)よりも切り込むタイミングが遅い(外側に来ている)のが分かると思います.コレ,ステアリングの切り始めが遅いのではなくて,純粋に曲がんないんです.乗っていた時はココのブレーキングで踏んでも曲がらず,ひたすら外側に膨らんでいって戻って来れないので,「アレッ? 突っ込み過ぎたか??」とか思いながら走ってました.

ロガーデータを見てみると(↓),



ブレーキングポイントは同じなので,ドライバーの操作の問題ではなく,単純にクルマが曲がらないようです.

私はインフィールドの進入で弱いブレーキを掛けてフロント下がりの姿勢を作り,姿勢が出来た後にブレーキを強めて一気にタイヤに荷重を掛けて曲げるのですが,この最初の弱いブレーキ(=低荷重域)でフロントが突っ張ってしまい,姿勢が作れないんです.察するにフロントスプリングの反発力が上がっているので,低荷重域ではスプリングが突っ張って潰れず,それによってクルマの姿勢が変化しないため,アンダーステア状態に陥っているのだと思われます.HYPERCOの14.3キロを使っていた時もフロントが突っ張って曲げるのに苦労しましたが,ここまでではなかったですね.その時よりレートは2キロも低いにも関わらず,「高反発にするとこうも姿勢が変わらないのか!」と驚かされました.

一方,インフィールドの出口の方は,先程とは反対で今回(赤)の方が向きが変わっています(前回=青より内側にいる↓).



これはフロントではなく,リアのスプリング変更の影響で,大舵の時にインリフトするようになりました.先述の通り進入で曲がらないので自然と後半で舵が大きくなるのですが,その際,クイッ!とクルマの向きが変わるのを感じ取れました.「ああ,インリフトしたな・・・」って感じです.立ち上がりで向きが変わるので楽と言えば楽なのですが,正直インリフトするタイミングよりも手前で向きが変わってくれないとアクセルを早く踏めないですし,リアがケンケンしたりもするのでトラクションも掛からず.あんまりタイムには寄与しない部分かなぁ~?と思います.


左高速コーナー
「インリフトして向きが変わるのにタイムに寄与しない」と思った理由が,この部分です(↓).



インフィールド出口で向きが変わったのはインリフトのおかげですが,逆に言うとリアが接地して以降はアンダーステア方向にしかいかないため,その後が曲がりません・・・.右に掛かったGをなかなかニュートラルに戻せず,結果,左高速コーナーへの姿勢作りがワンテンポ遅れています(今回=赤の方が前回=青より外側にいる).これがタイムには繋がらないかなぁ~?と思った理由です.


最終複合コーナー
左高速コーナー~洗濯板にかけてがTC1000唯一のS字セクションで,ここは対策の効果が出ました.



左→右と切り返してもレスポンスが良いので,それほど外に膨らみません.外に膨らまないという事はそれだけアクセルを開けられるので,今回(赤)の方が前回(青)よりもタイトなラインで進入しているのに,ボトムスピードは同等です(↓).



つまり,中荷重領域での旋回速度が上がっているという事なので,ここが今回の変更で唯一のメリットですね.ただ,先程と同様に高反発は低荷重域で曲がらないので,アウトクリップに達した後の向きの変わりは今回(赤)の方が悪いです(↓).



ここは複合コーナーなのでほぼ定常円旋回ですし,大舵を入れて強引にインリフトさせる技が使えないため,苦しいですね.ちなみに前回の2本目で,おっとっと!な挙動を出してしまったのは(↓),



後ろのクルマのアタックを邪魔しないように早くこのセクションを抜けようと,そこそこの速度で洗濯板を避けて,グイッとステアリングを切ってしまった(大舵気味になった)ため,リフトしてイン側のタイヤの荷重が抜けたんだと思われます.

タイム的な観点で見ると,進入でどんなに曲がってもそれほどタイムには寄与せず,逆に立ち上がりで曲がんないとアクセルを戻さざるを得ないので(↓),



この動きだとタイムは削れないですね.


以上,中反発と高反発の比較(仮)でした.

繰返しになりますが,前回と今回でタイヤも違うので,私が乗って感じた事はスプリングのせいではないかもしれません.それでも感じた事とデータを突き合わせて考えてみると,フロントスプリングを高反発化したのは,やっぱり失敗かな?と思いました.

これは「高反発が悪い!」という意味ではなく,私はTC1000において低荷重の領域を積極的に活用するので,そこで姿勢が変わらない高反発とは相性が悪いという意味合いです.当然ですが,コースが変われば(高荷重域を多用するコースであれば),また印象も変わってくると思います.私のEF8のセッティングは,もはや重箱の隅を突っつくような領域に入っているので,正直ドライバーの好みの話でタイム云々ではない気もします.ただ,積極的に姿勢が変わる方を好むドライバーもいれば,姿勢が変わる事を嫌うドライバーもいる訳ですし(↓),


(PLAYDRIVE:2019年8月号より)

ワンメイクレースじゃない以上,自分の好みに近づけた方が速く走れるのも当然な訳で,そういう意味で今回のフロント高反発化は失敗だったかな?と思いました(少なくともTC1000では).

プロフィール

「ドライバーズパレードカー http://cvw.jp/b/1684331/47697369/
何シテル?   05/04 17:15
EF8乗りの先輩にタイムアタックで挑んでいます.現在までの通算成績は9勝20敗.GPSロガーを使ってマシンとドライビングの問題点を洗い出し,アップデートさせなが...
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