3月末に地元で用事があり、
例によって車が無いので、今回もレンタカーを。
ヤリスハイブリッドです。グレードはたぶんX。
ラパンで頑張って行っても良かったのですが、
倍近く違う燃費とETCの割引分を考えると、
実はほぼ変わらないんじゃないか、という次第。
市街地・山道含め800kmほど走ってきたので、簡単にレビューしておきます。
ヤリスハイブリッド…というか、GA-Bプラットフォームはこれが初乗り。
結論から言うと、これもまた「現代版パーソナルカーのひとつの答え」です。
4年半前のカローラスポーツのドライブでも同様の印象で記事を書きました。
販売トップがカローラ(セダン)からフィット(ハッチバック)に取って代わられ、一時プリウスとアクア(HV)が席巻したあとでN-BOX(軽スーパーハイト)へ。
SUVが「車の標準形」になり、猫も杓子も軽スーパーハイトかミニバンという時代において、「ハッチバック車が果たす役割」とは何か。
車名においてはN-BOXと拮抗してますが、過半数はヤリスクロスだと聞きます。
身内にすら上下にライズやカローラクロスがいる激戦区のヤリスクロスと、ほぼフィットくらいしかライバルらしいライバルが存在せず、かつ法人需要もあるHBでは、同じ販売台数でも「数の意味」が違うでしょう。
背が低くリア席や荷室も狭いハッチバックを「わざわざ所有」するということ。
トヨタが一人勝ちしているのも、過去の価値観の延長線上だけにとらわれない、「自ら流行を提案する」クルマづくりが一段と上手くなってきた、と感じます。
…まぁ、会社の規模と販売店の数が背景のニワトリタマゴではあるんですが。
<良かった点>
まずは最初の交差点までの走りで分かるTNGAプラットフォームの素性の良さ。
GA-Cはひととおり乗ってます(
40プリウス前期、
カロスポ前期、
カロツー前期、
C-HR前・
後期)が、GA-Bもしっかり「同じ意思」が通っているのを感じます。
TNGAといえば、「剛性が高すぎてスポーティ側にしか振れないんじゃ?」的な不安が若干あるのですが、レンタカー用グレードが故の厚いタイヤ+鉄チンで、コンパクトカーとしてトコトコ走るなら上手いこと帳尻が合っているのかも。
過去「1日乗った」ハイブリッド車というと30プリウスとコレだけですが、走りの質感の面では、燃費一辺倒というイメージからは隔世の感。
「ボクこんなだから燃費走行してね!!!」という自己主張は鳴りを潜め、走りを楽しむこともできたり、意図的に燃費優先にしたり、ドライバーの側から「走らせ方」の自由度が上がったのが一番のポイントでしょうか。
それでも、最終的にはエネルギーゲージを見ながら走るのが「自然と楽しい」状態に落ち着くあたり、やはり「クルマづくりの上手さそのもの」を感じます。
THSIIの味付けの幅?自体も懐が広くなったのでしょうか、意図的に「走りのパーソナルカー」へ振っているような印象を受けました。
ヤリスクロスやアクアがこれと同じパワートレインだとちょっと違うくない?くらいに思います。いずれこちらも乗ってみたいですね。
パーソナルカーとは言っても、広さも必要十分です。
運転席を僕に合わせ、後ろに自分がちゃんと座れます。膝の狭さは感じません。
助手席の人がゆったり下げると、その後ろは大人はちょっと辛いかな?程度。
1~2泊程度ならラゲッジも十分。基本・通勤車&シティムーバーで、ときどき少し頑張って遠出してみる?のような使い方であれば十分すぎます。
キャラクターを明確にしつつも、やはり使い勝手はヴィッツはヴィッツですね。
ちょっと安心しました。
燃費は相変わらずめちゃくちゃ良いです。大して燃費走行は意識せず、旧来のTHSIIがどちらかというと苦手としていた高速走行と山道の高負荷走行が全体の8割近くを占めながら、最終リザルトは28km/Lという良好な数値。
現地で給油したときにあまりに量が入らないので「?」となったほど。
クルーズコントロールの制御もだいぶ優秀です。
C27セレナ前期のプロパイロットと遜色ないくらい。
欠点という欠点は、パーキングブレーキがハンドなので全車速追従じゃない(30km/hを切ると機能しない)のと、LKAがややフラフラするくらいです。
ビシッと中央を走り続けるのではなく、ひとたび制御が入ると、右行きすぎて…左戻って…を繰り返していつまでも収束しないような挙動をします。
基本的には自分でしっかりハンドルを握り続けるタイプの制御レベルです。
(そのわりには結構アシストトルクが強くて気になる人は気になるかも)
<気になる点>
マイナスポイントとしては、車格からしてある程度仕方ないですが、やはり騒音は大きめ。
特に高速で旧式の排水強化アスファルトの場合は前後で普通に会話ができないくらいゴーゴー音が常時します。
走行中はエンジンがかかっているのがほぼ分からないくらい、パワートレインの遮音は効いているので、タイヤ起因のノイズがメインですね。
装着タイヤがグッドイヤーだったので、ここを国産のコンフォート系にすればある程度良くなるだろうな、と思います。
同時に、Xグレードでは70扁平の14インチなりの動きをするので、硬さとのトレードオフにはなりますが、もう少しシッカリ感が欲しい場合はスポーティ系でインチアップするのも手。このあたりは好みですね。
また、山を下り続けてるときにバッテリーが満充電になるとエンジンを回すことで負荷を逃して減速しますが(回生失効?)、そのときのエンジン回転音が少し大きめ。
他にはブレーキタッチと走行中のトルク変化、ヘッドライトの暗さ。
ブレーキタッチは、回生をギリギリまで使うようになった弊害か、極低速域(クリープをブレーキで制御する状態)ではカックンが復活(?)してます。
車庫入れのときに滅茶苦茶不評を買いました←
トルク変化は、走行中に電動走行→エンジン動力が合成されたときに、結構ハッキリ分かるレベルで「コンッ」と車が動くのが分かります。
ヘッドライトの暗さは、開発タイミングのせいなのか分かりませんが、なんで今日びプロジェクターハロゲン、しかもバイビーム…と思う次第。
このあたりは改良での変更を期待したいです。
とはいえ、このサイズ・価格でこの走りと燃費が手に入ると思えば、ほぼ気にならないレベルだと思います。
総じてコスパは文句無いですよ。
今ではポン替えの明るいLEDも多いですし、補助としてDOPフォグもあり。
この「クルマ乗ってんだ!!」感は、古いタイプの車好きならしっくりくるでしょうし、ミニバンを乗り継いできたような方々からすれば「あれ?なんだか楽しいぞ?」というキッカケになる、本当に上手い味付けです。
あれ、今回「上手い」ばかり言ってるな…?
久しぶりの初乗り車種、なかなか楽しめました。