モーガンスリーホイラーの修理

某喫茶店マスター所有のモーガンスリーホイラーを、都内のレーシングショップまで運びました。






この↑写真のフロントタイヤをよく見て下さい。

純正のAVONタイヤではなく、２輪用のタイヤが装着されています。




モーガンスリーホイラーはノンパワーのステアリングのため、ハンドルの据え切りがかなり重い上、コーナーのターンインで“手アンダー”に陥りやすいという、操作上の特徴が有ります。

フロントタイヤを２輪用に換えることで、接地面積を劇的に減らすことになり、据え切りの重さや“手アンダー”を克服することが可能になるため、ユーザーの間では積極的に２輪用タイヤを使う方も多いようです。

操作性だけで無く、国内ではAVONタイヤが目茶苦茶に高価なので、リーズナブルな２輪用タイヤは経済的効果も高いようです。




しか〜し・・・

実はこれには大きな落とし穴が隠されているのでありまして・・・




２輪用タイヤの剛性不足が関係するのか、はたまたキャスターアングルによる接地面変化が原因か、ウィッシュボーンのアッパーフレームの付け根あたりにクラックが発生します。











英国筋の情報によると、２輪用タイヤに換えた事によるフレームのクラックは、世界的に発生している様子です。

もっとも設計段階では考えても見なかった、ハーレー由来の1979ccエンジンによる振動も無視は出来ないと思われますが・・・

今回は幸運にも、オーナーがギシギシという異音に気付いたため、完全に分離してしまう前のクラック段階で発見することが出来ました。




オーナーから相談を受けた私は、元レーシングメカニックの友人に助言を求めたところ、チームとして一緒にルマン24hに参戦した、元シャーシ担当のメカニックのショップを紹介して頂きました。（友人はエンジン担当）




事前に何度か行き来をし、クラックの状態を確認した上でフレーム修理を快く受けて頂くことになりました。

初期予定では、レースのオフシーズンの１月の終わり頃に入庫の予定でしたが、ガレージが満杯のため本日やっと入庫の運びとなりました。






今回は、ボディーを外した状態で各部点検の後必要箇所を状況に応じて溶接または鑞付けを行い、有効と思われる補強と共にジオメトリーの見直しを行う予定です。

作業の経過は折を見て、本ブログで紹介したいと思います。