シビックTypeRに試乗させて頂いた直後に、WRX・STi・typeSにも乗せて貰いました。
WRXはTypeSそのものに関心があったというより、S207とか208とかいうSシリーズに興味があるのですが、限定販売で抽選で購入するようなクルマなので、試乗は当然ムリッ!
そこで、ベースとなっているTypeSに乗れば、ある程度想像出来るのではないかと言うわけです。
事前に電話しておいたので、受付のおねいさんが「お待ちしていました~♪」と三つ指ついて対応してくれました(イメージです)。例によって、誓約書にサインしてから出発。
クルマは既に建物の前にスタンバっています。

横に立つと、おねいさんから試乗コースの説明を受けます。
どうやら、シビックTypeRと同じコースです。
こりゃ~イイ。運が良ければ同じポイントで踏めるはずです。
WRX・TypeSは、シビックTypeRに比べると一回り小さく、少し背が高い印象です。
カタログを見ると4595×1795×1475となっています。
ちなみにTypeRは4560×1875×1435と、実際は、WRXの方が35mm長く、80mm幅が狭く、40mm背が高いのですね。
意図した訳ではありませんが、両車とも2Lターボの4ドアで、ボディサイズもまぁまぁ近く、価格も450万円程のスポーツセダン(TypeRは450万円余り。ハッチバックと云ってます。TypeSは、426万円~464万円弱です)と、十分比較対象となる訳です。
大きく違う部分は、WRXは四輪駆動であること、そのおかげで車重が100kgも重い1490kgとなっています。
その重さを跳ね返す様に、パワー&トルクは308ps/6400rpm,43kgf・m/4400rpm(TypeRは320ps/6500rpm,40.8kgf・m/2500-4500rpm)とトルクで2kgf・m以上上回っています。
ちなみにカタログ燃費を比べると、9.4km/Lと12.8km/Lとなっており、100kgの重量差が大きく影響しているのが分かります。
さて、カタログでの比較は程々にして、早速試乗をスタートしましょう。
前席シートにはレカロが奢られてます(オプションです)。
座ってみると、ヒップポイントが高いです。シートリフタを手探りしてシートを下げようとしますが、コレが一番低い様です。
ドライバーズシートからの眺めは、WRXがボンネットを少し見下ろす印象で、TypeRは空が広い感じです(イメージです)。
直前にTypeRに試乗していなければ、高いとは感じなかったかもしれません。TypeRの低さが際立ちました。

プッシュボタンを押してエンジン・オンッ!
迫力の初爆音。
ディーラーの出口を左折して50mも行くと元R1の主要幹線です。
アクセルを少し踏み込んでみます。
少しターボラグを感じますね。
踏み込んだアクセルに、ほんの一瞬のタイムラグをおいてエンジンの回転が上がっていきます。回転上昇には少し重みが伴う感じです。そして、豊かで力強いトルクが沸き上がります。
このエンジンフィールはワタシの知っている4気筒のそれではありませんね。
アルピナの直6とは勿論異なりますが、マルチシリンダーなのか?と思わせる様な音が車内に響き渡ります。
何と言うか、すごく沢山のパーツが絡み合って回転している様なメカニカルサウンドです。スバルさんは、きっとこの音を積極的に聴かせるようにしていますね。
お世辞にも、車内が静かだとは言えませんが、静かさよりも、この音で車内を満たすことを優先しているに違いありません。
これはコレで、病み付きになるサウンドです。アクセルを踏み込み、この音がどんどん早く大きくなると、きっとドライバーの心拍数も跳ね上がるのではないでしょうか。
アクセルを踏んで気がつくのは、その最高43kgf・mを発生するトルクの変動に伴って、ボディが一瞬揺れることです。もしかすると、四輪へ駆動力を配分している関係で前輪も動くのかもしれません。一瞬ですが、そのトルクステアのような動きが感じられました。
コースを走って、アクセル○開ポイントまで来ました。
信号で停まると、お誂え向きにTypeRの時と同じように、一番前です。
シグナルグリーンです。
左折してみると、片側2車線の広い道路には、クルマもバイクもいません。
アクセルを踏み込みます。
やはり、ほんの一瞬、前輪が動く感じがあります。
加速はTypeRとどちらが速いのか?
計らなければ分からないと思いますが、どちらかと言えば、WRXの方が刺激的ではあります。
TypeRは、トレッドが70mm広く、全高が40mm低い分?ビタッと安定したまま加速していきますが、WRXは、室内に響くメカニカルな音や足の設定や100kg重い車重で、重い塊をグワンッ!と加速している印象なのです。WRXの方がボディの揺れを少し許す足になっている様に感じました。
ところでワタシ、WRXでも失速させちゃいました(^-^;
やはり、ターボカーはアクセルを踏み込むとエンジン回転の上昇が速いのでしょうね。スピード自体はさほどでもないはずですが、タコメーターの針がククッと下がり、アレッ?とか言いながらシフトアップをする訳です(笑
シフトアップしてさらにアクセルを踏み込み、相応なスピードに達したら、減速です。このクルマにもブレンボが装備されていますが、なぜか鳴きが入りませんね。遮音が効いているのかしら?
さて、この○開区間が終われば、あとは粛々とディーラーへ戻るのみ。
ディーラーでは、オプションのナビに付いているバックカメラに頼って、バックで車庫入れです。TypeRの後方視界は絶望的かもしれません(ミラーを見ずにバックカメラで車庫入れしたので未確認です)が、WRXの方も大きなウイングを背負っているので後方視界はそれなりでしょう。

ちなみに、後部座席はボディ形状の関係でWRXの方が頭上が広く、着座位置も高く、座り易いですね。真っ当なセダンとして成立しています。
短い試乗でしたが、2台の違いがこんなに感じられるとは思いませんでした。
今回の試乗に限れば、踏み込まなければ室内が静かで、ヒップポイントが低く、安定感が高く、渋滞でも運転が楽だと思われるTypeRの方が印象が良かった様に思いますが、長時間乗れば印象が変わる可能性もありますね。
あのメカニカルサウンドや路面を問わず速く安定していそうな四駆を備えたWRXは、嵌まれば逃れ難い魅力を有しているのではないでしょうか。