
近くの駐車場にいつもミニバンが停まっている。
よく見かけるアルファードやセレナなどではない。
本来の意味のミニバンの語源となったミニバン。
アメリカンなドッシリと大きい箱型のミニバンである。
サイドには観音開きのドアが付いていて、
内部は広く、数人の大人がゆったり寝られそうだ。
良い雰囲気だが、経済性を考えると……、な存在感。
たぶんシボレーのアストロという車だと思う。
だが、このミニバンが動いているところは、見たことがない。
夜になると、時々低い唸りを発している。
シャッターを閉めてTVを見ていると、
夜な夜な ドロドロドロドロ~、ドロドロドロドロ~
とエンジンが唸る音が家の中まで響いて来る。
動かすことが少ないので、アイドリングでエンジンをケアしているのだろう。
一体どんな人が乗っているのだろう。
アメリカかぶれのマッチョか、デップリしたヤンキーが、
どこかで中古車を手に入れてきたのだろう。
比較的若い怖そうな鬼遺産を想像していた。
※画像はイメージです。
ある日、駐車場の方向へ歩いていると、ミニバンの横に誰かがうずくまっていた。
近付くと、コンプレッサーのノズルを持って右前輪を弄っているのが見えた。
初めて所有者らしき人を発見したので、何となく声をかけてみた。
ワタシ「パンク修理ですか」
すると、前輪の前にうずくまったままのオーナーから返事が返ってきた。
オーナー『長いこと乗ってないんで空気が抜けちゃったんだ。バッテリーも逝っちゃってる。ネットでバッテリーを買えば1/3で済む。バッテリーは来たんだけど、交換するには車体を上げなきゃ外せない。
タイヤの空気がぺちゃんこなんで、とりあえず空気を入れてる。バッテリーも普通のと違ってデカいんだよ。』
ワタシ「小さいクルマでもバッテリーは重いですから、このクルマじゃ大変ですよねぇ」
オーナー「全然乗らないのに金ばかりかかる。とりあえず空気入れなきゃ。」
多弁である。驚いた。アメリカンはフレンドリーなのだった。
40代くらいまでの体格の良い人を想像していたのだが、まったく違った。
頭は真っ白の小柄な…、年齢は分からないが、どちらかといえば爺ちゃん?
タイヤの空気が抜けてしまうほど、ほとんど乗ることのない、バッテリーもダメになっちゃった古い巨大なアメリカンなミニバンを持ち続ける。
アメリカン・ドリーム
Posted at 2017/11/28 07:52:08 | |
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