2021年10月23日
10kmウォークの最中に、ふとBRZのシートの事が頭を過った。
何度も書くが、あのシートはワタシにぴったんこカンカンだった。これまで、それなりの数のクルマに乗ってみたが、あんなにピッタリとフィットするシートは記憶にない。
背中から太腿まで、ホントに何も違和感が無い、出っ張りも突っ張りも沈み込みも感じられない素晴らしいシートだ。
スバルの技術者が、こっそりワタシの身体を計測して特別に誂えてくれたに違いない。
いやいや、待て待て。
実際にそんな事があるハズもない。
身体を計測された記憶は無いし、型取り用鋳物に寝そべった覚えもない。
とすると、BRZのシートがワタシにドンピシャだというのは錯覚なんじゃなかろうか?
最近ドラポジがイマイチなN-ONEにばかり乗っていたからなぁ。
ここはひとつ、似たようなクルマに座って確かめてみるか。
ちょうどお誂え向きに、マツダさんの看板が見えるじゃないか。
ヤードに展示されているクルマに、ちょいと座らせて貰おう。
という事で、マツダさんの屋外展示スペースを彷徨(うろつ)いていると、エンブレムにペケ印が付いているクルマがあった。
おぅ、おぅ。
コレはあのスカイアクティブペケとやらじゃないか?
確か、世界中のクルマ屋さんがトライして、マツダさんだけが実用化したとかいう、スンゴいエンジンを積んでいるんだとか。
まるでNHKのプロジェクトペケでやってたロータリーエンジンだ。
あれも確か、マツダさんだけが実用化に成功したというぞ。
日本の誇りエンジンを2個も創ったマツダさん、エライ。
ここはひとつ、マツダさんに敬意を表して是非とも乗ってお金場。
随分お高いクルマだったはずだが、発売から随分時間が経って、渦中の人じゃなくなっているようだから、気楽にお願い出来るってもんだ。
それに、✘エンジン搭載車なら、気分はスポーティって感じだろうから、BRZとのシート比較という元々の目的にもぴったんこだ。
もしかしたら、スンごく、スンごく気に入って、人生最後のスポーティカーとしてお買い上げ〜♪ もないとは言えないかも?
そんなノリでエントランスをくぐり、タノモ〜❢とやったら、時間は丁度お昼時。
デスクで下を向いていた新人くんが、お相手を命じられてカウンターから出てきた。
『踏みたくなっても我慢します』という誓約書に渋々サインして、エントランス前に出てきたマツダ3スカイアクティブ✘に乗り込もうとすると、新人くんが先回りして、ササッとドアを開けてくれた。
あな、ハズカシや…。
平静を装ってドライバーズシートに潜り込む。
バーガンディセレクションは、試乗車にあり勝ちな最上級グレード。なんでも有りのテンコ盛りだ。
パワーシートのスイッチを押し下げると、ヒップポイントがエレベーターの様にいつまでも下がり続ける。
リアルスポーツもかくやというくらい地べた近くまで下がるものだから、つい嬉しくなって歓喜の声を洩らすと、助手席の新人くんが嬉しそうに微笑む。
序でに、ステアリング調整スイッチを弄ると、コチラも自由自在に伸びたり下がったりするじゃないか。これでグニャグニャ曲がったりしたら、ろくろっ首ステアリングとでも名付けてやろうと思ったが、さすがにそこまでフレキシブルではなかった。
マツダさんのドラポジに対する拘りには敬服至極である。
室内の手触り、目映りもなかなかのモノで、黒基調のシックな設えは、はやるドライバーの心を幾分落ち着かせてくれるかもしれない。
坊主印のオーディオは、音量を上げると良さが分かり易い。大音量でも耳障りにならないばかりか、それなりの透明感と音場の奥行きすら感じさせてくれる優れもので、純正OPとしては乳首、いや、白眉と言っていい。
そう言えば、✘エンジンのマネジメントは、発売後のお試し期間を経てバージョンアップを果たし、既購入者には無償アップデートを振舞ったというニュースを思い出した。
試乗車も当然最新バージョンだろうと新人くんに確認すると、どうやらそうじゃないらしい。
ありゃりゃ。
可能性は低くても、まかり間違って買っちゃうかもしれない試乗客に、古いバージョンを充てがってどうするッ❢
新人くんの経験のために、一喝してやろうかうと思ったが、ま、試乗車の設えは彼の責任の埒外だし、斯く斯く大人の事情があるのだろう、と流行りの忖度を大盤振舞いして、スターターボタンを押した。
それにしてもこのクルマ、ドライバーが感じる気持ち良さにとことん神経を使っている。
シフトレバーがホントにショートでコクコク決まる。
アクセルを軽く踏んで走り出すと、意外なほどのトルク感があり、低速域でとても走り易い。
扱い易いシフトレバーと相まって、ストップ&ゴーが連続する街なかも、気持ち良く走れそうだ。
実際、試乗中には車が混み合う市街を通過する場面もあったのだが、シフトレバーやペダル類の操作が煩わしく感じられる様な事はただの一度も無かった。
この辺り、並の2リッターエンジンとは違うスカイ✘のアドバンテージなのだろう。
走行中に触れる、ナビ、オーディオ操作ダイアル等のスイッチ類の操作感、クリック感もしっかり詰めてあるのがわかる。安っぽさがどこにも無い。
新人くんが試乗コースの話をしたので、長いコースでヨロシクとリクエスト。
景気が良かった頃は、試乗でも普通に高速道路へ入ったりしたものだが、最近はそんな事はほぼ無い。自前のETCカードでも構わないのだが、そんな事を云う時代じゃなくなっているようだ。
しかし、下道であっても、ちょっと長めに走ってみると、興奮気味の気持ちは落ち着き始め、車への馴染みも進むのか、作る側が意図したモノが多少なりとも見えてくる。
クルマ全体の成り立ちが感じられる様になるとでも言えばいいのだろうか。
最初は、低速トルクが厚くて運転し易いが、踏んでも刺激は無さそうだ、と感じていたが、コレはそういう意図で全体を調和させているクルマなのだと分かってくるのだ。
トルクの山谷を排し、ドライバーや同乗者に余計な刺激を感じさせないスムーズネス、大人の気持ち良さ、といったところを目指したクルマなのだろう。
右足の踏み加減に敏感に反応するという話も聞いていた。あまりピクピクと鋭敏に反応すると、クルマ全体の調和にそぐわない様な気もするが、よもやそんなヘマはしてはいまい。
まぁ、その辺りは、バージョンアップ版で確認させて頂く機会を待とう。
普通より少し長めの試乗の終盤。
低くセットした居心地の良いシートに収まって、このクルマをドライブする気持ち良さに包まれていた。
長く乗るほど、ドライバーにしっとり馴染んでくれるクルマかもしれない。
マツダ3 スカイアクティブ✘はそんな印象を受けるクルマだった。
✤追記
1 ディーラーに戻り、車外へ降り立とうとしてフラついた(笑)。
低いポジションから立ち上がるための筋力が衰えたらしい。
2 右前方で2回ほど「ギギギ」という異音。静かなクルマなので異音が入り易いのかもしれないが、気持ち良さを追求したクルマだと、こういう事も意外に気になってくる。
3 後席は、見た目ほど狭くない。というか、177cmのワタシでも普通に座れる。
4 エンジンマネジメント
2速から3速にチェンジすると、回転が高いまま残っていて不自然。何度もあったので仕様だと思われる。
5 シートの件を書き忘れた。
バーガンディセレクションだけかもしれないが、シート調整機能もてんこ盛りだ。本文に書いた様に、高さ調整代が大きいし、たぶん前後調整も同様だろう。
電動ランバーサポートまで付いているので、どなた様でもピッタリのポジションが作れるのではなかろうか。
Posted at 2021/10/23 19:36:55 | |
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