三菱重工業長崎造船所の横田宏所長が15日、長崎大(長崎市文教町)で開かれた「基幹製造業合同説明会」で登壇し、大型客船建造の撤退に至った経緯や造船所の今後の展望について語った。10月の撤退発表以来、同造船所トップが公の場で語るのは初めて。
「毎日のように長崎港に船が訪れているが、一番格好良いのがダイヤモンドプリンセス」。冒頭、地元造船関連メーカーや学生ら約450人を前に、2004年に造った大型客船を誇らしげに紹介した。
だが、2隻で累計2300億円超の特別損失を出した欧州アイーダ・クルーズ社から受注した大型客船の話題になると「客船は難しい」と漏らした。
「新しいマーケットに取り組んでいきたい」
「欧州向けの客船は船を造る人たちのほかに、内装する人たち、室内の調度品を作る人たちが存在する。日本では少ないこの部門を、欧州の人の助けを借りてやらざるを得なくなり、大きな損失を出してしまった。このビジネスモデルが変わらない限りは、ヨーロッパの客船は受注できない」
説明した通り、造船部門の見直しを迫られた。今後は他社との協業や、長崎と下関造船所の一体運用に向け、本社と長崎、下関の両拠点にある設計開発部門の分社化も検討している。
「客船建造で学んだ技術を捨てるのは惜しい。今は客船とフェリーの間のようなクルーズフェリーというものがある。長崎には客船建造で得た技術があり、国内向けのフェリーは下関造船所で造っている。この二つの技術を合わせて、新しいマーケットに取り組んでいきたい」
「造船技術センター」計画についても言及
三菱重工本体が8月に表明した、新たな造船技術の開発や人材育成に向けた「造船技術センター」計画についても言及した。
「(センターは)長崎に作りたい。何を教えるか、誰に教えるか。みんなが納得いくように仕上げたい。単なる技能研修センターではなく、設計技術を含め、当造船所のために新しいものを開発するようなセンターにしたい」
合同説明会は長崎都市経営戦略推進会議が主催。これまで地場企業向けだったが、6回目の今回は学生の地元就職率向上につなげようと大学で開かれ、東芝三菱電機産業システム長崎事業所、三菱電機長崎製作所、三菱日立パワーシステムズ長崎工場からも説明があった。
船体や推進システムを作らせたら三菱重工はきっと世界でも群を抜くものを作るだろう。でも客船の最も大事な部分は船としての性能ではなく内装、家具調度や快適性、あるいは洋上リクリエーション施設としてのエンターテインメント性と言ったものが柱になるのだろう。そうなると洋風生活を始めて100年とちょっとの日本は極めて分が悪い。高級洋風家具調度など欧米の足元にも及ばないだろう。今後日本が客船を建造することがあるかどうかは分からないが、技能研修センターを作ってノウハウ、ノウホワイを研修するのは良いことだろう。
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2016/11/30 16:52:12