2018年10月19日
「神はサイコロを振らない」、・・(^。^)y-.。o○。
「神はサイコロを振らない」というのは古典的量子力学を批判したアインシュタインの言葉だそうで、彼は観測される量子力学的現象の結果が偶然によって選ばれるという古典量子力学の説明に対し、結果の発生には常に科学的合理性が存在すると主張して古典的量子力学を批判したそうだ。
でも、今日はアインシュタインの話ではなく大石英司氏の同名の小説の話だ。大石氏は架空軍事ものが多くその類の作家と思っていたらたまたま書店の店頭でこの本を見かけ、ちょっと興味を惹かれて買ってみた。話は10年前に遭難して行方不明だったYS-11が10年後の世界に出現して搭乗員や乗客は当時の姿のままで10年後の世界に現れる。本来、墜落するはずだったその機体は地球の付近を通り過ぎた微小なブラックホールの影響で時空が歪んで10年後の世界に出現したが、3日後にもう一度時空の歪みが生じて元の世界に戻され乗員乗客は全員死亡するという。
42名の乗客と4名の搭乗員は航空会社のスタッフや周囲の人たちの様々な支援を受けて家族や関係者との失われた10年を取り戻そうとする努力が始まる。10年の時間を取り戻すものもあれば欲や虚栄に溺れて破滅するものもある。ただ話の内容は全体に暖かい優しさが感じられる話にはなっている。
で、最も記憶に残ったのは「今この瞬間は二度と訪れることはない。それをどれだけの人間が理解しているだろうか。」と言う遺族会代表の言葉だった。生きとし生けるものはすべて例外なく死を迎える。そのことは理屈では分かっていても現実として生活の中ではなかなか捉え難い。今のこの瞬間が永遠に続くような錯覚を起こして大切な何かを失っているのかもしれない。
時空が歪もうと裂けようとタイムトラベルなどと言うことは起こり得ないとは思うが、決してサイコロを振らない神の気まぐれが大切なものを失って彷徨っていた人たちを再び立ち上がらせたというのはあってもいいように思う。こういう話はサイエンスファンタジーと言うんだろうか。何となく温かさを感じさせる話ではある。
もしも神が気まぐれを起こしてくれたら、そのまま消えてもいいのでちょっと戻って足りなかった一言を伝えたいと思うことがある。でもまあ、現実にはそんなことはあり得ないので今のこの瞬間を大切に生きることにしよう。話の類は違うが、「幽霊人命救助隊」と同様に基本的には悲劇ではあるが、読み終わって何となく温かさを感じてほっとするような話ではある、・・(^。^)y-.。o○。
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Posted at
2018/10/19 15:12:35
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