イランにとって鳩山由紀夫元首相の訪問は「飛んで火に入る春のハト」なのか。あるいは「ハトがネギを背負って来た」のか。いずれにしろ日本外交はまたも自爆してしまった。
「私の言ったことに非常に感謝していただきながら率直な話を聞いた」
鳩山氏は帰国後の9日夜、記者団にアフマディネジャド大統領らとの会談を振り返った。どうやら自己満足に浸っているようだが、現実はそんなに甘くない。
欧米諸国と協調してイランへの制裁圧力を強めてきた日本政府は「身内」に足をすくわれ、逆にイランは、日本と欧米の足並みを乱し、相互不信を助長させる情報戦に勝利した。
「わが国の国益を損失するような事態だけは避けなければならない」
鳩山事務所がイラン訪問に際し、5日に発表した文書にはこんな文言が記された。実際には鳩山氏が何か言い、何か動く度に国益は失われていく。
しかも鳩山氏は元首相というだけでなく民主党最高顧問(外交担当)である。いかに本人が「個人」「一議員」を強調し、首相官邸や外務省が鳩山氏を引き留めようとしたことが事実であっても、関係各国は「背後に日本政府の意向がある」と受け止める。
イラン国営プレスTVは早速、鳩山氏が国際原子力機関(IAEA)について、イランなど特定国を不公平に扱っていると批判したと伝えた。鳩山氏は「捏造(ねつぞう)だ」と強調するがあとの祭り。イランの宣伝工作に利用されるのは最初から明々白々だった。これでは日本に核拡散防止の意思がないかのようではないか。
ところが鳩山氏にその自覚は全くない。そういえば最高顧問への就任直後にはこう述べていた。
「民主党は若さを売り出してきたが、経験に裏付けられた行動をしないといけない。少しまだ役立たせてもらいたい…」
何の経験がどんな役に立ったというのか。海上自衛隊によるインド洋での補給活動を打ち切り国際社会の失望を招き、米軍普天間飛行場移設問題を座礁させたのは誰なのか。3月に訪米した島田洋一・福井県立大教授は「米側の外交スタッフの多くは名指しで鳩山氏を無責任だと怒り、ばかにしていた」と証言する。
そんな鳩山氏を最高顧問に任命し、その人事を正当化し続けたのは誰か。野田佳彦首相である。政権が鳩山外交の危険性を何も理解していないことの証左ではないか。もはやつける薬はない。
そもそも鳩に外交など無理に決まっているのに何でこんなのを最高顧問などに祭り上げるのか、民主党の政治感覚には理解に苦しむ。鳩などは鈴玉の中に入れてにぎやかに飛んでもらうとか、手品のネタに使ってもらうとか、その程度で十分だろう。その程度ならこの鳩でもできるだろう。断わっておくが鳩を外に出してはいけない。籠の中に入れて飼うべきだろう。
Posted at 2012/04/10 21:37:28 | |
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