北朝鮮は13日午前7時40分頃、「人工衛星」と称して発射を予告した弾道ミサイルを発射した。ミサイルは発射直後に爆発した模様で、発射は失敗に終わった。
国際社会は、ミサイル発射が北朝鮮による弾道ミサイル技術の利用を禁じた国連安全保障理事会決議に違反するとして強く自制を求めてきたが、北朝鮮が発射を強行したため、新たな金正恩(キムジョンウン)体制が国際的孤立を深めるのは避けられない情勢だ。日本政府は、米国などと連携し、安保理の開催を求める方針だ。
防衛省によると、午前7時40分頃、北朝鮮の西岸にある東倉里(トンチャンリ)周辺から南に向けてミサイルが発射されたのを、米軍の早期警戒衛星が探知。同省幹部によると、ミサイルは高度約120キロまで上昇したが、約1分後に空中で分解し、10個程度に分かれて北朝鮮の沿岸部から韓国西方にかけての黄海に幅広く落下した模様だ。発射から落下までの時間は数分だったという。自衛隊と米軍が航跡や破片の落下地点の分析を進めている。
藤村官房長官は午前8時半過ぎから緊急に記者会見し、「落下物による我が国への影響は一切ない。国民は冷静に平常通りの生活と業務に就いてほしい」と発表した。また、午前10時過ぎからの2回目の記者会見では、「ミサイルとの最終確認はできていないが、少なくとも飛翔(ひしょう)体が発射され、失敗したという判断だ」と述べた。その上で、「失敗だったとしても、我が国の安全保障上の重大な挑発行為と言わざるを得ず、国連安保理決議に違反する行為だ。極めて遺憾で、外交ルートを通じ厳重に抗議した」と語った。
政府は今回の弾道ミサイル発射について、韓国や米国の両政府側から発射情報が流れた後も、「発射を確認していない」と混乱をうかがわせる発表を行った。
2009年の北朝鮮ミサイルの際も、実際には発射されていない状況で「発射」と誤った発表をしており、2回続けて情報発信の未熟さを露呈した格好だ。
ミサイルを探知したのは米軍の早期警戒衛星で、防衛省も瞬時にその情報を入手。その2分後には、防衛省から藤村官房長官に連絡が入った。韓国や米国のメディアは、当局者らの情報として、午前8時前後から「ミサイル発射」を一斉に速報し始めた。
日本政府も午前8時5分に文書を出したが、「発射を確認していない」というもので、米韓の報道を否定するような内容だった。
政府が発射を初めて公式に認めたのは、田中防衛相が記者会見した8時23分。探知から約43分が経過していた。政府から情報を住民に速報する全国瞬時警報システム(Jアラート)も作動させなかった。政府が自治体に専用回線で情報を一斉送信する「エムネット」も「我が国の領域内への影響はない」と送信されたのは、発射から1時間近い8時30分だった。
あまりにも見事な失敗にさすがの北朝鮮も発射成功との強弁を通すことが出来なかったようだ。ロケット打ち上げもなかなか難しいものでわが国も、「おおすみ」打ち上げには5回目でやっと成功させているのだから、やはり長い間の技術の蓄積が必要なのだろう。
それにしても政府の対応もあまりに見事な不手際でこれもなんとも言い訳もないだろう。発射したら瞬時に通報するというJアラートも 発射を確認できなければ無用の長物だろう。日本の情報収集能力というよりも政府の情報処理能力は何ともレベルが低い、お寒い限りだ。
ダブルチェックで確実な発表をしたというが、落っこちてから、どうも飛んだようですと言ってもそれがなんの役に立つのだろう。自衛隊は瞬時に発射を確認していたというのだからその時点で発射を公表しても良いのではないか。今の政府には緊急という観念が抜け落ちているようだ。
Posted at 2012/04/13 22:52:27 | |
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