• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+

ntkd29のブログ一覧

2016年08月30日 イイね!

翼の向こうに(10)




「この戦争の原因はともかく米英は圧倒的な力を持って日本に迫ってきているんだから今は戦わなければいけない時なのかもしれない。日本と日本民族の存亡をかけて。そういうわけで戦う理由が見つかったことだし、鬼畜米英と戦う前に目の前にいる素敵な敵さんと一戦交えるとするか。」


高瀬についた若い方の女はそれで充分に意味が通じたらしく立ち上がって廊下を何処かに小走りに走って行ってまたすぐに戻って来た。


「小桜姉さん、こちらの海軍さん、お願いね。さあ、いいわよ。行きましょう。」

 
高瀬は女に手を引かれて部屋を出て行った。私は小桜と呼ばれた芸者と二人部屋に残された。


「支度は出来ていますけど、どうします。もう少し飲みますか。それとも・・・」

 
私は小桜と呼ばれた女の顔を見て苦笑してしまった。何だかあまりに素っ気ない言い方で気勢を殺がれてしまったからだった。


「何故笑うんですか、何がおかしいんですか。」


「君は芸妓だろう。随分素っ気ないんだな。ところでここにはビールはあるか。酒はもう飲みきれない。」

 
女は黙って立ち上がると部屋を出て行った。そしてしばらくするとお盆にビールを載せて戻って来た。


「この時代、ビールは貴重品だからあまり沢山は困るって、帳場でそう言っていました。」 


「その貴重なビールが味わえるわけだ。ありがたいな。」

 
コップに注がれたビールを口に含むと生温い苦みが広がった。それでも日本酒の粘りつくような口当たりよりはずっとましな気がした。


「さっきの人が言ってたこと、本当ですか。この戦争は間違いだって。する必要はなかった戦争だって。本当なんですか。」

 
口に含んだビールがよけい苦くなった。


「必要か必要でないかを決めるのは政府のやることだ。俺達は軍人だ。戦えと命令されればそれに従って戦うだけだ。」


「私の弟はフィリピンで戦死しました。弟は無駄に死んだのですか。しなくてもいい戦争で死んだのですか。」


「君の弟は軍人なのか。」


「あなたと同じ海軍でした。兵学校を出て山城という戦艦に乗り組んでいました。最期に帰ってきた時、『出撃だ。これでやっと国のために働ける。姉さん、海軍に入れてもらって本当にありがとう。』と言って。」

 
連合艦隊がレイテ沖で壊滅的な打撃を受け、何等得るものがなかったことは噂で聞いていた。撃沈された艦船の中には不沈艦と言われた戦艦武蔵や歴戦の空母瑞鶴、快速重巡洋艦、駆逐艦群、小桜の弟が乗り組んでいた戦艦山城など多くの精鋭艦が含まれていて、その結果連合艦隊はもう二度と艦隊としての作戦行動が出来ないまでに消耗してしまっていた。そんな戦いで命を落としたことに何かの意味があるのかどうか私には分からなかった。


「艦隊は米空母群に決戦を挑んで、その多くを撃沈したと聞いている。君の弟さんもきっと立派に任務を果たしたのだと思う。」

 
私は小桜の気持ちを思ってその場を取り繕うとした。


「そうして日本は勝った、勝ったと誰もが言っていますけど、それならどうして皆死んでしまって誰も帰って来ないのですか。戦争に勝ったのなら皆帰って来られるでしょう。本当に人が言うように日本はこの戦争に勝っているのですか。」

 
小桜のこの一言で私は観念してしまった。真実は言えなくともある程度の事実は話すべきだと思った。


「勝っているとは言えないと思う。俺は俄か雇いの臨時士官だから詳しいことは分からないが、米英の国力は日本とは較べものにならないくらい巨大だ。それを日本だけで受け止めるのには無理がある。相当に苦戦しているようだ。君の弟さんもそんな戦いの中で戦死されたのだろう。今、敵は徐々にこの日本に迫ってきている。もしも敵が日本に上陸したら大勢の非戦闘員、つまり民間人が犠牲になってしまう。それを食い止めるために君の弟さんたちは必死で戦ったんだ。それが無駄なことだったのかどうか、それは何とも言えない。」

 
小桜はそっと涙を拭って笑顔を見せた。


「そう言ってもらった方が難しい理屈を言われるよりも分かりがいいです。弟のことも少しは救われたような気がします。」

 
小桜はビールを取って差し出した。私はそれをコップで受けて無言で口に運んで飲み込んだ。炭酸の泡が弾けるたびにその一つ一つが心に刺さる針のようだった。

 
私は不器用な慰めはやめて黙ってビールを飲むことにした。報道や言論の操作も今の日本のように行き過ぎれば返って不信を招くことを思い知った。


『勝っているのなら出征した兵士達は元気な姿で帰ってくるはずだ。』


それは帰りを待ち侘びている者からすれば身につまされる真実だった。その真実の前では何の裏付けのない『勝った、勝った。』の大合唱は色褪せた使い古しの看板のように真実味がなかった。


「ねえ、あなたもすぐに戦地に出て行くのでしょう。」

 
小桜が独り言のように言った。


『戦地に行くも行かないももうすぐにこの日本自体が戦地だよ。』

 
そう言いたかったがすんでのところで言葉を飲み込んだ。

「そうだな。今は飛行機と飛行機の戦争だから海軍も陸軍も搭乗員は喉から手が出るほど欲しいはずだ。僕みたいな新米でもすぐに何処か激戦地に出されることになるだろう。同じ仲間にも高瀬のようにフィリピンで何度も死線を潜ってきた者もいるくらいだから。」

 
フィリピンという言葉に小桜が一瞬体を強張らせた。


「また思い出させてしまったな。悪かった。」


「いいんです。よく分かりました。弟は私達のために戦ってくれたのだと言うことが。私達のために戦ってくれている人達に感謝しています。でももう誰にも死んで欲しくはないんです。」


「日本は、戦争をしているのだから。」


「もう沢山です。負けてもいいから戦争なんかやめればいいんです。貧しくてもいいから静かに平和に暮らせばいいんです。」

 
小桜はそう言うとまた涙を流した。国家の主権や独立、尊厳と個人の幸福、そのあまりの隔たりに、一言死ねと言われればすぐにでも死ななければならない我が身を忘れて、ただ立ちすくむだけで私には言葉もなかった。


「抱いてください。こんなおばさんじゃ、嫌でしょうけど、商売じゃなくていいんです。私、お客を取ったことはありません。私を抱いていてください。辛いんです。」

 
小桜のその言葉に私は抗しようもなく、気がついた時には小桜を抱いて寝具の中にいた。小桜は自分の立場もすっかり忘れたようにその大柄な体を私に預けて安心しきった様子で小さな寝息を立てていた。そんな小桜を抱きながら私は今日ここで起こったことをあれこれと考えていた。国家の大儀名分はとにかく、『死んで来い』の一言で死ななければならない我々の方が、個人の立場からすれば少なくとも小桜よりもずっと悲劇には違いない。そんなこともお構い無しにこうして他人に自分を預けて一時の安眠を貪る女という生き物が何とも不可解に思えて仕方がなかった。


Posted at 2016/08/30 22:39:40 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説2 | 日記
2016年08月30日 イイね!

MRJ、再出発は9月下旬以降とか、・・。




三菱航空機が開発中のジェット旅客機MRJが米国行きの飛行を2日連続で中止したのを受け、同社は次の出発を1カ月前後遅らせる方向で検討に入った。部品の取り寄せや経由地のロシア政府の飛行許可を取り直すのに時間がかかる可能性が高いため。米国で飛行試験を始めるのが遅れ、開発スケジュールはさらに厳しくなりそうだ。

 

MRJは、米ワシントン州で飛行試験を行うため、27日と28日に愛知県営名古屋空港(同県豊山町)を出発したが、2回とも飛行中に空調システムの不具合が見つかり、引き返した。システムをつくった米国のメーカーとともに原因究明を進めている。

 

三菱航空機によると、同じ部分の故障が続いたため幅広く調査しており、時間がかかっている。交換部品を米国から取り寄せる可能性があり、その場合、次の出発は9月下旬以降にずれ込むという。

 

また米国行きでは、途中にロシア・カムチャツカ半島で給油するため、ロシアの航空当局から領空通過と着陸の許可を得る必要がある。数週間がかりで取った前回の許可はすでに切れているため再申請が必要で、この手続きにも時間がかかる見通しだ。




飛行許可を取り直すのに数週間かかると言うならその間しっかり点検し直したらどうだろう。米国の会社が作った空調センサーなら向こうに飛んで作った会社に見直させればよかったのにねえ。黙って気合で飛んで向こうで直せばいいのに、・・。そうもいかないか。
Posted at 2016/08/30 15:19:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | その他 | 日記
2016年08月30日 イイね!

中国様、TICADを巡り日本を非難




安倍総理大臣が出席し、ケニアで開かれたTICAD(アフリカ開発会議)を巡り、中国外務省は「私利私欲のために会議を利用した」と日本を批判しました。

 

中国外務省・華春瑩副報道局長:「日本はTICADで、強引に自らの意思をアフリカ諸国に押し付けようとした。私利私欲のためで、中国とアフリカ諸国の間に不和の種をまこうとした」
 


中国外務省の報道官は、日本がTICADの議題を本来の経済発展ではなく、南シナ海などを念頭にした海洋安全保障問題や常任理事国入りを目指す国連安保理の改革の問題に引っ張ろうとしていたと批判しました。そのうえで、日本の最終的な目的はアフリカ諸国と中国の仲を引き裂くことだと指摘しました。中国は2000年からアフリカ諸国との会議を3年に一度、開催していて、アフリカを巡る日本と中国のつばぜり合いが続いています。




私利私欲のために不和の種を撒こうとしたって自分たちはどうなんだ。偉そうなことを言えた立場じゃないだろう。そんなことは個々の国がその立場において判断すればいいことだ。当事国がとやかく言うことじゃない。
Posted at 2016/08/30 15:17:52 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治 | 日記
2016年08月30日 イイね!

中国戦闘機技術、飛躍的進歩と言うが、・・。




#1.24日、米ジョージア州ロッキードマーチン社の工場で生産された新型ステルス戦闘機1機が離陸した。この工場で生産された同じ機種の戦闘機と違う点は、機体と翼に日章旗が描かれている点だ。日本の航空自衛隊に初めて実戦配備されるF-35A戦闘機だった。日本は42機のF-35を順に導入し、青森県三沢基地に配備する方針だ。42機のうち4機はロッキードマーチンで生産し、残りは日本の三菱重工業で生産する。老朽化したF-4EJ戦闘機の代わりに航空自衛隊の主力機F-15Jとともに運用する予定だ。



#2.その前日の23日、中国西南部四川省成都の試験飛行基地の上空を飛行する灰色のステルス戦闘機の写真が、中国インターネットサイトに掲載された。中国当局は公式確認をしていないが、観察者網など中国メディアは専門家らの話を引用し、「開発を終えて工場生産に入ったJ-20(殲-20)が初めて中国空軍に引き渡された」とし「初期配備は4機」と報じた。J-20はロシア製エンジンを利用して中国が独自で生産したステルス戦闘機。2010年に開発に入って6年目だ。軍事評論家の陳光文氏は「各生産ラインで月に2機ずつ開発する量産体制に近く入る見込み」とし「2018年初めには計36機のJ-20が配備されるだろう」と述べた。中国はその間にエンジンも国産化する方針だ。



F-35、J-20ともに最先端ステルス機能を備えた第5世代戦闘機に分類される。偶然の一致か意図的な結果かは分からないが、日本と中国がほぼ同時に第5世代戦闘機を実戦配備し始めたのだ。



さらに韓国も2018年からF-35を導入する予定だ。同じ頃、ロシアも次世代ステルスT-50で武装する。これに先立ち在日米軍は来年1月から山口県岩国基地に16機のF-35Bを配備する計画だ。F-35Bは空軍用のF-35Aとは違い、垂直離着陸が可能な海軍・海兵隊用だ。読売新聞は「米軍には、核・ミサイル開発を進める北朝鮮や海洋進出を強める中国を念頭に、F35の配備でアジア太平洋地域における抑止力を高める狙いがある」と分析した。



ステルス戦闘機の生産量がまだ少ないため、各国の主力機種になるにはさらに多くの時間がかかる可能性もある。しかしはっきりしている点は次世代ステルス戦闘機が北東アジア空の制空権をめぐり競争する時代に入るということだ。



最も士気が高まっているのは中国だ。これまで空軍力で劣勢だっが、J-20実戦配備で一気に挽回することになったと自信を見せている。観察者網は27日、「1981年に日本がF-15Jを実戦配備した当時、中国空軍のJ-7は数も少ないうえ戦闘力もはるかに劣っていた」とし「97年に日本がF-2を配備する時、中国のJ-10やJ-11はまだ試験飛行もしていない状態だった」と伝えた。しかし「J-20の性能がステルス性能と機動性、遠距離攻撃能力などのいくつかの面でF-35を上回り、日本の航空自衛隊との戦力の差を減らし、逆転できるようになった」と評価した。



陳光文氏は「J-20は性能が卓越したF-22の対抗機種として開発された」とし「F-35はJ-20のライバルにならない」と自信を表した。日本はF-22導入を推進したが、高い価格や技術移転問題で交渉が失敗に終わった。現在、F-22は生産が中断した状態だ。




確かに欧米諸国と中国との技術差は縮まっているようだ。だけどあのJ20を見る限りどう考えてもF22以上には見えないんだが、・・。今時の戦闘機は機体の運動性などよりもFCSとミサイルの性能と言うが、そうなるとさらにF22以上とは思えない。張りぼてステルスと言う気がしないでもない。まあ金かけ放題、技術盗み放題だからそれなりに進歩はしているんだろうけど、・・。





Posted at 2016/08/30 15:16:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | 軍事 | 日記

プロフィール

ntkd29です。CB1300スーパーボルドールに乗って11年、スーパーボルドールも2代目になりました。CB1300スーパーボルドール、切っても切れない相棒にな...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

リンク・クリップ

愛車一覧

トヨタ GRヤリス トヨタ GRヤリス
基本的には前期型と大きな変化はないが、インパネは液晶デジタルになってずいぶんすっきりした ...
ホンダ CB1300 SUPER BOL D'OR (スーパーボルドール) CB1300スーパーボルドールM2018 (ホンダ CB1300 SUPER BOL D'OR (スーパーボルドール))
外観 もうこれは美しいという以外にはない端正なバイクではある。ホンダは「威風なる血統」 ...
トヨタ GRヤリス トヨタ GRヤリス
今度はGRヤリス、・・(^^♪。昨年GRヤリスの納期が1年半以上と聞いて速攻で契約してし ...
トヨタ 86 トヨタ 86
元々トヨタ党だったが、ちょっと浮気してダイハツコペンに乗っていた。しかし、ディーラー氏と ...
ヘルプ利用規約サイトマップ
© LY Corporation